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  2009年9月2日放送の宗教朝礼より

おはようございます。 これから宗教朝礼を始めます。
長い夏休みが明け、学校にふたたびみなさんの元気な声が帰ってきました。先生たちが「やっぱりみんなの声が聞こえる学校はいいなぁ」と喜びを新たにするときでもあります。

さて、私は先日、今まであまり読書をしてこなかったという知人に「よい本があったら貸してもらいたい」と頼まれ、数冊の本を渡しました。数日後、その知人から連絡があり、「本の間から古い新聞の切り抜きが出てきたよ。大切そうだから今度返すね。」と言われましたが、心当たりもなく、何の切り抜きだろうと不思議に思っていました。しばらくたって、その知人が返してくれた、やや黄ばんだ新聞の切り抜きをみて、私は祖父とその記事を一緒に読み、心温まる思いをしながら切り抜いたことを思い出しました。

今は祖父母とも亡くなってしまいましたが、私の実家はかつて二世帯住宅と呼ばれる形の家でした。我が家で新聞を読み、勝手口を通って祖父母の家へ渡り、奥の部屋で横になっている祖母と話をし、祖父の座るリビングに戻って、そこで違う新聞を読むことが私の日課でした。興味深い記事を見つけては自分の考えを話してみたり、意見を求めてみたり、感動する記事をみつけてはそれを分かち合いたいと思ったり、いつもその相手をしてくれるのが祖父でした。新聞の脇には私の大好きなお菓子が2種類いつも置いてあり、それがなくなると必ず補充しておいてくれます。新聞が目的なのかおやつが目的なのか分かりませんが、とにかく私にとってはとても満ち足りた時間なのでした。新聞の内容から話が膨らんで、知らないこともたくさん教えてくれました。アフリカへの船旅、毎日ヒットラーの行進が行われていたというドイツでの生活、シベリア鉄道での旅。戦争のこと。社会の仕組み。人とのかかわり方。本のこと。歴史上の問題について話し合うときは、戦争を経験した祖父の話は意味が深いのだとは思いつつも、戦争を経験していないためでしょうか、私には理解できないこともあり、頭を抱えたこともありました。

私が高校を卒業すると同時に祖母が亡くなり、しばらくは気を張って生活をしていた祖父でしたが、1,2年たったころ、新聞を読みながら祖父に話しかけても以前のような会話ができなくなっていました。ある日、「今日の新聞に○○の記事があったでしょ?」と話を振ると、祖父が言いました。「最近新聞の文字を読むのが大変でね・・・。」 私はその言葉にはっとすると同時に、寂しさを感じたことを覚えています。祖父は体が弱ってきてだんだん新聞を読む根気がなくなってきていました。その後、私は新聞を声に出して読むことにしました。ペースダウンはしたものの、その後も以前と同じように新聞をはさみながら祖父と過ごす楽しい時間は続きました。

私が大学を卒業したころに祖父は亡くなりました。祖父の写真、残してくれた数々の本、使っていた食器。いまでも祖父を思い出す物や場面はいろいろありますが、不思議なことに、いまでもいちばん強く祖父を感じるのはやはり新聞を読んでいるときです。いろいろな記事を読みながら、もし生きていたら祖父は何と言うだろう?わたしの意見にどのように返してくれるだろう?と思ったり、感動する記事を読むと、一緒に分かち合いたいなぁと思ったりしながら、隣に祖父がいるように感じることが度々あります。

さて、最初にお話した「本の間から出てきた黄ばんだ切り抜き」は、なぜその本の間から出てきたのかは不明ですが、祖父と私が一緒に心温まる思いをした、78歳のある女性の投書をみなさんにもお届けしたいと思います。

「ばあちゃん、どうかあるか」

風呂をあがってほっと一息ついているとき、二十歳の孫が私に声をかけた。

「いつも思うことだけど、ばあちゃんの風呂は熱すぎる。血圧も高いのに、万一のことがあったらどうする。体を大切にして、一日でも長く生きなければ」と孫は言う。

ありがとう。でもね、あまり長生きして、ぼけて家の者に迷惑をかけてもね・・・。私がそう答えると、孫は怒ったように言った。

「なんてことを言うんだ。父さんが泣くよ。ばあちゃんは、今の幸せは父さんと母さんのおかげと言うけど、その父さんを立派に育てたのはばあちゃんじゃないか。ばあちゃんは家の宝だ。世の中の年寄りはみんな国の宝だ。戦後、食べる物もなかったとき、一生懸命頑張って働いてくれた。今の年寄りのおかげで若者の今日があるんだ。年寄りを粗末にすれば、家も国も滅ぶんだ」

私は返す言葉がなかった。かねてから優しい孫だとは思っていたが、宝だなどと言われるとは・・・。ありがとう、英ちゃんよ。あんたが学校を終わって、志望の会社に入るまで生きとくよね。

「早くお休み。夜更かしは体に毒だから」と、孫は小さく手を振って、私の部屋から出て行った。ただ涙が流れるばかりだった。世の高齢者のみなさま、こんな考えを持っている青年の方もたくさんいると私は信じます。残されたひと日ひと日を、大切に、ほがらかに、胸を張って生きていきましょう。

 いかがでしょうか。大切なメッセージの込められた、すてきな記事だと思いませんか?

 学校生活が再スタートしてまだ間もないですが、授業、学校生活、家族と過ごす時間、家や学校の外でのかかわり、色々なところにアンテナを張り、感謝と敬意の気持ちを大切にしながら、よいものをたくさん吸収して、9月からもたくさんの糧を培っていきましょう。

これで宗教朝礼を終わります。

 Y.Y.(英語科)     

 
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