学校法人聖心女学院 不二聖心女子学院・ 中学校・高等学校
アクセス Q&A リンク 卒業生のページ
文字を大きく デフォルト 文字を小さく
サイトマップ HOME
不二聖心の教育 学校生活 寄宿舎 図書館 奉仕活動 海外体験学習 不二の自然 入試情報 不二農園
 
不二聖心の教育
在校生・卒業生の保護者の方へ
在校生・卒業生の声
校長室から
聖心女子学院
 

  2009年6月3日放送の宗教朝礼より

おはようございます。これから宗教朝礼を始めます。

先日私の元に一通の手紙が届きました。愛情いっぱいの優しい大きな文字で一画一画丁寧に書かれた封筒の表書きを見て、すぐに実家の祖母からの手紙だと分かりました。手紙には、ゴールデンウィークの家族の様子などの近況報告と今読んでいる本のこと、私への励ましの言葉や質問などが便箋2枚にぎっしりと書いてありました。「あゆみちゃんから今までもらった手紙を最近読み返してなつかしんでいます。字をどんどん忘れてしまうので読みにくい字だけどまたお手紙させてください。身体を大切にね。」手紙の最後はこんな文章で結ばれていました。

大学に入って一人暮らしを始めてから、私と家族の連絡方法の中のひとつに“手紙”がありました。もちろん急ぎの用事や、普段の連絡などには携帯電話やFAXもフル活用していましたが、誕生日やクリスマスやバレンタインデー、母の日や父の日などの決まったイベントの日には、実家の家族に宛てて手紙を送ることが私の習慣になっていました。どんな便箋やカードで送ろうか、どんな文章にしようかなど、家族の顔を思い浮かべながら考えることが私の楽しみのひとつでもありました。仕事をするようになってからもずっとそれは続いていましたが、祖母からの手紙を受け取って、ここのところ私が家族に宛てて手紙を書く回数がグッと減ってしまっていることに気が付きました。

手紙を受け取り一度読み終わった後も、無意識のうちにその手紙を何度も読み返していました。少し震えていてお世辞にもきれいとはいえない祖母の字ですが、手紙を書いている祖母の姿が自然と浮かんできて何とも言えず、心がじーんとあたたかくなりました。

私の祖母は文字練習帳というノートを持っています。「手に上手く力が入らなくて字が震えちゃうし、ひとつの文字を書くのにも時間がかかる。もの忘れもひどくなってきて文字もよく忘れちゃうから訓練、訓練」と言って、体の調子が良い時に新聞記事や、本のよい言葉を写して文字を書く訓練しているようです。書かれた手紙の文字からは、きっと何度も書き直しをしながら時間をかけて完成させたであろう、一生懸命私への手紙を書く祖母の姿が想像できました。

実家に電話をかけ祖母からの手紙が届いたことを母に伝えると、案の定何度も書き直しをしたり、内容を見て欲しいと母や弟に文章確認をしてもらいながら、ようやく書き上げた手紙だったことがわかりました。読んだだけでも十分に祖母の気持ちが伝わってきてすごく嬉しい手紙でしたが、私の元に届くまでの祖母の様子を聞いて更に何とも言えない気持ちになりました。

私が今までに送った手紙を祖母が読み返してくれているように、私も無性にこれまでの祖母からの手紙を読み返したくなり、母との電話を終えた後、大切にしまってあった手紙を何通も読み返しました。いくつかの手紙の中でも一番印象的だったのは、仕事を始めて間もない頃の私に祖母が送ってくれた手紙でした。手紙にはっきりと日付が書かれている訳ではありませんでしたが、内容から社会人になったばかりの私に送ってくれたものであることと、私が5月の祖母の誕生日に送った手紙へのお礼であることがわかりました。手紙と一緒に新聞の切り抜きも1枚入っていて、「新聞の切り抜きをノートに書き写して練習しました。素敵な言葉だったので「かきくけこ」の切り抜き送ります」と手紙の最後に書いてありました。「かきくけこ」の切り抜きって何だろう?と思い、さっそく読んでみると、ノンフィクション作家の方が書かれた随想記事で、友達に若さの秘訣を聞いたら「かきくけこ」を意識することだと言われた・・・というものでした。 “か”は感動する、“き”は興味を持つこと、“く”は工夫すること、“け”は健康であること、“こ”は恋をするつまりあこがれの気持ちを持ったり、こうなりたいと願って努力をすること、と書いてありました。私を励ますために祖母が送ってくれた手紙と新聞の切り抜きを読むと同時に当時のいろいろなことを思い出し、とてもなつかしい気持ちになりました。また、震えのほとんどない、繊細でありながらしっかりとした筆圧で文字が綴られた昔の祖母の手紙に時の経過も感じました。

祖母から届いた一通の手紙を通じて、改めて手書きの持つ不思議なパワーのようなものを感じました。

「文字は人なり」という言葉がありますが、手書きのよさは文字がその人を表現していることではないかと私は思っています。上手いからよいとか下手だから駄目だとかそういう形の問題ではなく、人の手で書かれた文字には個性や味があってよいなぁと私は思います。手紙は相手あってのもの、書いた手紙を読んでくれるだろう相手を思いながら書くと自然に心の入ったあたたかい字になるのではと思っています。

数年前よりも弱々しくなった手紙の書き文字からは、祖母が年をとったという現実を感じずにはいられませんでした。それでも、震えながらも一画一画丁寧に書かれた文字からは、祖母のきっちりした性格を感じ取ることができましたし、やっぱり私のおばあちゃんだと思える、ほっとするような言い回しや、優しい大きな文字からにじみ出るあたたかさでいっぱいの手紙でした。今までにもらった祖母からの手紙を読み返すことで、その時の自分や自分を取り巻いていた環境、当時の思い出が蘇ってきました。内容はもちろんですが、文字をたどることでその人の状態やその頃の思い出をも蘇らせることができるなんて、手書き文字は奥が深いなぁと今回あらためて思うことができました。

高校生は明日から、中学生はあさってから中間試験が始まります。

みなさんが、今まで習ったことや覚えてきたことを自分らしい文字で一生懸命あらわすのが試験だと思います。そして、答案用紙の先にはその成果を見てくださる先生方がいらっしゃいます。答案用紙も数年経って見返してみると、試験前後の気持ちや不二聖心でのその時の自分、さまざまなことが蘇ってくる思い出の品に変わる日が来ると思います。そんな今回の答案用紙が悔いる思い出の品にならないように、そして先生方から愛情いっぱいの○がひとつでも多くみなさんの答案用紙にいただけるように心からお祈りしています。

これで宗教朝礼を終わります。


A.H.(図書館)     

宗教朝礼のトップページに戻る

 
個人情報保護方針 サイトポリシー 免責事項
Copyright 2009 Fujiseishin Jyoshigakuin. All Rights Reserved