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  2009年5月13日放送の宗教朝礼より

近年お笑いブームが続いています。テレビをつければお笑いの番組がよくやっているし、芸人さんの登場する番組も多いですね。皆さんにも好きな芸人がいるかもしれません。小学5年生になる上の息子の学校でもお笑い番組が話題となっているようです。それまで夜10時台だった番組が春休み頃からゴールデンタイム夜7時、8時頃に放映されるようになり、息子たちも土日の夜を楽しみにしています。子どもたちは「レッドカーペット」や「イロモネア」という番組が好きなのですが、わずか2~3分間で観客の笑いをとるという設定に無理があるのではないか、もっと長い時間があったら別な笑いが生まれるのではないかと私は時々思います。もちろん面白くて大笑いするものもありますが、たった数分ではストーリーのある笑いは成立し得ませんし、瞬間的な笑いさえ生まれれば良しとする薄っぺらさも感じます。また、会場は笑いに包まれていても無作為に選ばれた数名の観客が笑わない限り合格できないというのも、なんだかかわいそうです。一方で審査員の評価によって「大笑い-満点-」や「中笑い」といった評価が出る番組では、たいていの場合「大笑い」とされ、もっと厳しくつけないと差が出なくてつまらないと思うのです。どの審査員も評価が甘めに思えてなりません。

先日も子ども二人がこのお笑いの番組を見ていたときのことです。二人とも大笑いをして楽しそうです。画面を見ていなかった私は小学2年の下の息子に聞きました。
「何が面白かったの?」「わかんない」と返事します。「え、じゃあ何で笑ってたの?」「兄ちゃんが笑っているから」と答えるのです。「面白かったわけじゃないの?」「うん」ということでした。私はなんだか複雑な思いになりました。

何が面白いか理解も納得もせず、ただ兄が笑っているというだけで、弟の方は調子を合わせていたのです。二人揃って大笑いする姿は実に楽しそうで、仲がよいように見えるのですが、本当は少々背伸びをして兄に合わせて笑っていたのだと知ると、「分からなかったら笑わなくたっていいんだよ」と言ってやりたくなりました。

みなさんの生活の中でもこれと似たようなことはないでしょうか、本当の自分は違うことを思っているのに、「みんなと同じ」であるかのように振る舞っていることが。「みんなと同じ」であることは安心します。追及されたり、説明させられたり、変更を強いられることも少ないです。でも、あなたの心はそれで納得できるのでしょうか。自分の心に素直でないと、とても疲れるし、苦しくもなります。もちろん、なんでも我を通すべきと言っているわけではありません。自分に非がある場合もあるだろうし、他者の意見を知って自分の考えを変えることもあります。

金子みすゞの詩「わたしと小鳥とすずと」に出てくる「みんなちがってみんないい」は多様性を認めるすてきなことばですが、これを実践するのは難しいことです。まず、自分の気持ちを表現できる勇気と強さが必要です。そして、周囲の人たちには己の意見と異なるものを受け入れる心の広さが求められるのです。心の広さとはあるいは違った意見を発しやすい雰囲気といってもいいかもしれません。あなたの周りはどんな雰囲気ですか、自分の意見を言えて、受け止めてもらえるでしょうか?そして、あなたは周りにいる人の声なき声に耳を傾けているでしょうか、声なき声に気づいていますか?もしかして、暗黙の内に自分や仲間の意見に合わせさせるような空気を醸し出してはいないでしょうか?

「笑い」にはいろいろな笑いがあります。ほほえむ意味の「微笑」、口元をほころばせてほほえむ意味の「哂笑(しんしょう)」、声高く笑う「哄笑」、苦笑いの「苦笑」もあれば、冷たく笑う「冷笑」、あざけり笑う「嘲笑」などいろいろな笑いがあります。お笑い番組の笑いはどうでしょう。くすっと笑いたくなるもの、爆笑したくなるもの、時々相手を下に見るような笑いもあるように感じます。あたたかく、ユーモアを解するような「笑い」、誰もが自分を表現しつつ仲間と本当の意味でまとまることができる、「笑い」の絶えない人になりたいものです。

あなたの一番いい笑顔はどんなときに出るか、思い出してみてください。―――今のあなたはきっといい顔をしていると思いますよ。友達の顔を見てご覧なさい。友達もいい顔をしていませんか。

M.H.(国語科)     

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