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宗教朝礼より

 

 

 

 

2010年1月20日放送の宗教朝礼より

お早うございます。これから宗教朝礼を始めます。

昨年の12月10日にアメリカのオバマ大統領がノーベル平和賞を受賞しました。 実はオバマ大統領はこの授賞式の前、12月1日にアフガニスタンに2001年の同時多発テロから投入しているアメリカ兵をさらに3万人を送ると発表したばかり、ノーベル賞授賞式のスピーチでも「戦争は人類に悲劇をもたらすものの時には必要である。」と語るなどオバマ氏の平和賞受賞には、賛否両論あったことは皆さんも記憶に新しいことです。オバマ大統領もその事を認め、ご自身がキング牧師、ネルソン・マンデラ氏には遠く及ばないとノーベル賞授賞式のスピーチで語っていました。しかし初の黒人系大統領となったその選挙戦でのスピーチ、またその後の核軍縮の訴え、各国との対話路線などに、オバマ氏は志を高く持つ者という印象を私達に与えているのではないでしょうか。

さて、同じころ東京ではアフガニスタンで現地の人々に農業支援を行っていた最中、拉致され殺害された日本人伊藤和也さんが残した写真展が開かれていました。 彼はアフガニスタンに行くにあたっての志望動機をこう書いています。
 『私がアフガニスタンという国を知ったのは2001年の9・11同時多発テロに対するアメリカの報復爆撃によってです。その時までアフガニスタンという国がある事を知りませんでした。けれどもアフガニスタンの復興のために農業支援がある事を知り、アフガニスタンに行きたいという気持ちが強くなりました。私は、関心がないことには、まったくと言っていいほど反応しない性格です。  反応したとしても、すぐに、忘れてしまうか、流してしまいます。その反面、関心を持ったことはとことんやってみたい、やらなければ気がすまないといった面があり、今回は、後者です。 私の現在の力量を判断すると、語学は、はっきりいってダメです。農業の分野に関しても、経験・知識ともに不足していることは否定できません。ただ私は、現地の人たちと一緒に成長していきたいと考えています。私が目指していることはアフガニスタンを本来あるべき緑豊かな国に戻すことをお手伝いしたいということです。これは2年や3年で出来ることではありません。子どもたちが将来、食料のことで困ることのない環境に少しでも近づけることができるよう、力になれればと考えています。甘い考えかもしれないし、行ったとしても現地の厳しい環境に耐えられるのかどうかもわかりません。しかし、現地に行かなければ、何も始まらない。そう考えて、今回、日本人ワーカーを希望しました』。アフガニスタンに渡った伊藤さんは、現地の人々となじみ、荒れ果てた土地を3年で菜の花畑に変えています。その黄色い菜の花の畑でほほ笑む少女、収穫したサツマイモを掲げる男の子、アフガニスタンの大地、それらをとった伊藤さんの写真展は全国を巡回し東京の写真展には皇后さまも昨年の12月11日に訪れていらっしゃいます。 皇后さまは伊藤さんの残した写真をご覧になって「伊藤さんは志が深い方だったのですね。」というお言葉を残しています。「志が深い。」この表現は、今まで「志を高く。」「少年よ、大志をいだけ。」など、志とは高く持つものというイメージしか持っていなかった私の胸にとても深く響きました。「深い志」を持つ、それがどのような事なのか、深い志を持った人がどのような人なのか、しばらく考える日々が続きました。私達には思い描く理想はあっても大統領のように力強く、あるいは伊藤さんのように自分の身を投じて生きていく事はなかなかできません。それでは私達にとって深い志を持つとは不可能なのでしょうか。 その答えを私は先週の全校朝礼時の蒔苗先生の言葉の中に見つけました。 私達にとっての深い志とは「毎日を誠実に、懸命に生きる事」ではないでしょうか。そしてもう一つ、自分ができる事、自分でなくてはできない事の使命に気付くことではないでしょうか。

マタイの福音書に「タラントンのたとえ」というお話があります。ご主人から預かったお金をただ穴の中に埋めていた僕は叱られ、商売などでお金を増やした僕はほめられます。このお金は聖書の世界では私達の能力、使命と考えられています。私達一人一人には神様から与えられた、私にできる、私でなくてはいけない使命がある筈です。その与えられた使命をしまったままでなく、その使命に気づき実行を始めた時、私達も「高い志」ではなくとも「深い志」を持つ人になれるのではないでしょうか。

Y.S.(英語科)

 

 
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