
2010年4月21日の宗教朝礼より
今年の春は、季節外れの雪などが降り、桜の季節も終盤を迎えつつあるのに、「春が来た!」と言い切るには肌寒い日々が続いています。それでも、スーパーの野菜売り場を回ってみると、たくさんの春野菜が並んでいます。菜の花やアスパラガス、筍や新玉ねぎ。春の、この季節だけ並ぶ野菜のなかでも、私が特に心惹かれるのは、莢に入ったままのエンドウ豆、つまり、生のグリンピースです。
ミートソースやカレーによく入っている冷凍のグリンピースは好きでも嫌いでもないのですが、収穫したままの、莢入りのグリンピースは、うまく調理すれば、鮮やかな緑も美しく、味わいは甘く、香りは春そのもの、という感じに仕上がります。
ここで、ひとつ、フランス風の、グリンピースとレタスのバター煮込みのつくり方をご紹介しましょう。
まず、厚手の鍋を中火にかけます。次に卵1個ぐらいの大きさのバターのかたまりを鍋に落とし、サラダ油を少々加えます。バターが焦げ付かないように水を大さじ1杯ほど加えたところへグリンピースと新玉ねぎの小さいのをひとつ、そしてレタスの芯を2,3枚入れます。後は、ときどき鍋をゆするだけ。決してスプーンなどでかきまわしてはいけません。静かに、静かに、そっと子供をあやすような愛情をもってやさしくゆすります。12分ぐらいたつと、グリンピースは、皺もなくつぶを保ったまま、口の中に入れるとトロッと自然にとろけるほど柔らかく煮上がります。
日本でおなじみのグリンピース入りの豆ご飯にしろ、フランス風のバター煮込みにしろ、手を加えすぎないこと、時間をかけすぎないことがグリンピースをおいしく調理する秘訣のようです。その際、一番大事なのは、何よりもグリンピースの鮮度だといいます。ところが、野菜を買うのはもっぱらスーパー、というような環境で、ほんとうに新鮮なグリンピースはなかなか買えません。買ってみて、細心の注意を払って調理してみても、香りが弱かったり、柔らかさが足りなかったりと、いまひとつ納得がいかないことが多いのが現状です。季節限定の野菜なうえに、ほんとうに新鮮なものにめぐり合う確率は低い、これが、私の中でグリンピースの希少性を高めてしまっているようです。そういうわけで、今年こそは、時期をはずさず、鮮度の良いグリンピースを手に入れて、鮮度を殺さないように調理したい、と思っています。
さて、私は乾燥した豆を料理するのも好きです。乾燥豆は、スーパーでも一年中普通に売っていて、大豆、小豆、とら豆、うずら豆といろんな種類があるのが楽しいと思います。乾燥した豆は、調理法ががらっと変わります。時間がかかるのです。まず、豆を水にひたします。夏だと3~4時間くらい、冬は一晩水につけて、吸水させます。そのあと、大豆だと1時間くらいゆでて柔らかくします。柔らかくなってから、和風に砂糖を加えて煮豆にしたり、洋風に肉などと煮込んだり、好みに仕上げていくのです。あせらず気長に調理するのがコツです。
生の豆は、時間をかけずに素材の持ち味を生かしていくのに対して、乾燥豆は、時間をかけてじっくりと調味料など別の素材の味をしみ込ませていく。同じ豆でも、生か、乾燥しているかで、調理の方向が正反対です。
私たちの日々の生活でも、時期を逃さず、迅速に対処したほうが適切な時と、焦らずじっくり取り組んだほうが良い時と両方あります。どちらの場合にしろ、前向きに取り組んでいけたらと思います。
*グリンピースとレタスのバター煮込みのつくり方は、戸塚真弓『パリからのおいしい話』(中央公論社)を参考にしました。
C.K.(寄宿舎・社会科)






