
2010年6月16日放送の宗教朝礼より
今週の金曜日に講演会があります。チベット出身で日本に暮らして16年になる声楽家、バイマーヤンジンさんが来て下さいます。彼女は音楽活動の他、教育を受ける機会が少ないチベット遊牧民のために小学校を建設する活動にも携わっていらっしゃいます。袴田先生が、バイマーヤンジンさんの紹介、そしてチベットの地図を掲示して下さってあります。みなさんはもう目を通してありますか。
質問です。チベットはどこにあるでしょうか。そしてチベットという国は存在するでしょうか。――チベットは南にヒマラヤ山脈、北には崑崙山脈に囲まれた山岳地帯にあります。そしてチベットという国はありません。中国の一部として存在しています。チベット自治区として、その他青海省全域、甘粛省、四川省、雲南省にもチベット自治州があり、バイマーヤンジンさんはチベット自治区の出身です。またチベット民族は中国の他、ブータン、インド、ネパールに分布しています。人口は中国に約540万人。ブータンに約60万人。あわせて600万人以上となります。中国においてチベット族の人々はどのような存在なのでしょうか。中国で最も多い民族は漢民族です。2009年末の大陸部の人口は13億3474万人で、チベット族の割合はわずか0.4%に過ぎません。中国には政府によって認められた少数民族が55あり、チベット族もその一つになるのです。
歴史的、政治的にはチベットは清朝の支配やチベットの独立運動など、非常に複雑です。中華人民共和国樹立後は弾圧政策により約1/5の人口を失ったとされ、多くの人々が亡命しました。その数は約15万人とされます。ダライ・ラマ14世も1956年から起こったチベット動乱の中で最高指導者でありましたが、亡命しました。ダライ・ラマはみなさんも知っていることでしょう。
話をバイマーヤンジンさんに戻しましょう。彼女は国立四川音楽大学声楽部で西洋オペラを学び、卒業後は同大学の専任講師になり、中国各地でコンサートに出演なさっていたそうです。みなさんはこの彼女のキャリアをどう感じるでしょう。順調な人生?確かにそうでしょうが、少数民族出身の人が大学まで出るのは大変だったと思うのです。日本で目にするニュースを見ていても少数民族の人々は決して豊かな生活はしていません。彼女の家も貧しかったと聞きます。私たちの想像できない苦労をしているはずです。講演ではぜひ伺いたいことです。みなさんもよく耳を傾けてください。
また、現在日本で暮らし、日本人と結婚しているバイマーヤンジンさんはチベット、中国と日本の違いもたくさんご存じでしょう。講演ではこの点にも触れてくださるかもしれません。歌も聴かせてくださるでしょうか。楽しみです。
バイマーヤンジンさんには4歳になる息子さんがいます。HPを見ると、日記を読むことができ、仕事で出会った方々のことやお子さんに対する愛情、仕事をしながら子育てをしている苦労、悩みも書かれています。私も共感を持って読みました。みなさんは娘としておうちの方とどのように関わっているでしょうか。うまくいっている人もいれば、なかなか気持ちがかみ合わない、うまくいっていないという人もいるでしょう。私も母親としてウーンとうなってしまいます。自分は子供の声に耳をちゃんと傾けているか、子供のことをどれだけわかっているか、胸を張って「はい」とはちょっと言えません。昨日も帰宅した時、二人の子どもたちは夕食を終え、テレビを見ながらごろごろしていました。私は急いで夕食をいただき、すぐお風呂に子どもたちを入れ、寝かせました。帰宅から寝かせるまで1時間。お風呂の中ではけんかを始めた二人を怒って、寝るときは3人ともプンプンしていました。昨日学校でどんなことがあったのか、わかっているようで知りません。先日は虫歯で歯茎が腫れてしまった次男に、「この前腫れているって言ったのに、ちゃんと見てくれなかった」と言われてしまいました。私の母は専業主婦でした。家に帰ったとき、いつも母が迎えてくれ、学校で何かあって泣いて帰ったときもすぐにわかってしまうような日々でした。特に理由を聞かれたり、話したりすることはなかったように思うのですが、母が知ってくれているというのは安心につながりました。ありがたかったと今でも思います。一方、母はそのころ社会に出て、自立したいという葛藤を抱いていました。その姿を私は見てきました。
今、私は母親になり、仕事をしています。不二聖心の先生という仕事はやりがいもあるし、すばらしい仕事です。けれど、働いていると言っても今でも私は母に助けられ、子供にも助けられています。一人の人間としてまた母として、娘として不十分なことがいっぱいです。みなさんもそうではありませんか。自分は足りないところが多いけれど、周りの人に助けられ、支えられていることを感じるときがあるでしょう。子は子なりに、親は親なりに喜んだり、悲しく思ったり、また嬉しかったり怒ったりさまざまな気持ちを抱くのだと思います。みなさんはまだ子どもとしての視点しかないでしょうが、私は子としてまた親としての視点を大切にしつつ一日一日を一生懸命過ごしたいと思います。バイマーヤンジンさんの講演もその思いで伺うつもりです。
M.H.(国語科)






