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宗教朝礼

2010年6月30日放送の宗教朝礼より

皆さんは、昨夜の日本-パラグアイ戦を観ましたか?私は普段はあまりサッカーを観ないのですが、やはり昨日は観ずにはいられませんでした。当初は、ワールドカップ自体にもあまり興味がありませんでした。しかし始まってみると、弱いと噂されていた日本チームの快進撃や若い選手の台頭に心が躍りました。それとともに、開催国である南アフリカを始めとした諸外国の現状が、新聞やテレビで特集され、今日の世界を知るよい機会としても大変楽しませてもらっています。本校で使用している英語の教科書プログレスのBook5に、南アフリカでアパルトヘイト(人種隔離政策)と闘ったネルソン・マンデラ氏についての読み物があります。マンデラ氏は、27年の獄中生活の後、1万1000人が拷問などで死亡し8万人が不当拘束される壮絶な闘争を経て、1994年に黒人初の大統領に選出され、白人支配体制を終わらせました。私が知っていたのはそこまででしたが、今回、このワールドカップを通して、それからわずか15年足らずのうちにブラック・ダイヤモンドと呼ばれる裕福な黒人層が出現したこと、黒人優遇政策の陰で一部の白人の貧困化が進んでいること、黒人の間でも所得格差が広がり、貧しさへの不満による犯罪が頻発していることなどを知りました。また、アジアにおいては、日本が16強入りした際、中国や韓国が共に喜んでくれた、という嬉しい記事を見つけました。それによると、「歴史的要因から反日感情が根強い両国にあって、民族感情がほとばしるサッカーはこれまで、一種の『反日イベント』であった。『反日』を超えたエールは、急速に国力を伸ばす中韓に表れ始めた対日観の変化の兆しを反映しているようだ」(2010年6月26日、読売新聞)というのです。中国では今回も、グループリーグの第1戦、第2戦では、日本の勝利に落胆したり、敗北に安堵したりする反日的な声はあったものの、デンマーク戦の後にはインターネット上に「素晴らしい試合だった。日本が好きでない私も心から祝福したい」「自らのスタイルを貫いた日本の長年の努力が報われた」「日本の守備は完璧だ」「遠藤選手のフリーキックは芸術的」などの賛辞が寄せられ、明らかに日本代表の技術を客観的に評価する声が増えたそうです。2004年の夏に中国で行われたアジア大会での日本チームに対するブーイングやペットボトル投げつけ事件などを鑑みると、日本と中国の関係もたかだか15年の間に大分変わったように思います。また、韓国では、デンマーク戦が行われた夜、ソウル市内の飲食店で日本人や韓国人らが一緒になって店のテレビの前に陣取り、日本チームに声援を送り、本田選手がゴールを決め先制すると、韓国人からもどっと歓声があがったそうです。そして日本が勝つと、日本人客の手を取り、「一緒に8強に行こう!」と声をかける韓国人の姿も見られたようです。韓国の新聞社である朝鮮日報は「韓国と日本がアジアサッカーのプライドを保った」と報じました。中国や韓国の目覚ましい経済成長は脅威ではあるものの、隣国との間にようやく生まれ始めた温かいつながりを本当に嬉しく思いました。

今回のワールドカップを観ていて、また、普段の生活においても感じていることがあります。以前イギリスに旅行した際、泊った宿のご主人の温かいもてなしに感動し、「本当にありがとうございます。イギリスには以前も来ましたが、今回の旅行では前に比べてイギリスの人々が我々外国人に対してずっと親切になったように感じました。」と言ったことがありました。今考えると大変失礼なことを申したと思うのですが、そのご主人は穏やかに微笑んで、「世界はだんだん狭くなっているからね、僕たちはお互いに仲良くしないとね。」と温かい言葉を返して下さったのでした。「世界はだんだん狭くなっている」、皆さんもそう感じることはありますか。中には「私は日本が好きで日本から出るつもりはないから、外国なんてあまり関係ない」と思っている人もいるかもしれません。でも、日本で外国の方に道を聞かれるということもありますよね。私自身、道を聞かれたり、猪苗代湖という昔なら外国の人などほとんど来なかったと思われる場所で、「自分たちはここで降りるがスーツケースだけ駅に運んでくれ」と主張する外国人客と路線バスの運転手さんの間の通訳をすることになったりしました。企業に就職した友人たちは更に深いレベルで国際化の波にのまれています。ある日突然社長が外国の人になり、主要な会議は英語で行われるようになった、とか、コストの安い外国に技術移転をすることになり、外国人の同僚が入ってきた、とか色々な話を聞きます。ご主人の海外転勤により、海外で生活している友人も少なくありません。国際化の波は、日本にいても避けられるものではありません。そして、英語の需要も年々高まっています。それでは、国際化が進む現代を生きるために、私たちはどんなことを心がけたらよいのでしょうか。

先日読売新聞で、現在三菱商事で社長を務めていらっしゃる小島順彦(こじまよりひこ)さんという方が次のように述べていました。小島さんは、37歳の時に突如サウジアラビアへの出向を命じられ、初の海外勤務、しかも日本人が誰もいない会社へ一人で出向しました。この小島さんは、海外勤務で培った独自の「英語3原則」を掲げていらっしゃいます。それは、①上手に話す必要はない ②英語が話せる人が頭がいいとは思わない ③下手な英語でも自分の意見をしっかり言う というものです。英語をうまく話そう、と思うと緊張してしまいますが、確かに小島さんがおっしゃっているように下手な英語でも自分の意見をしっかり言えるか、ということがコミュニケーションを広げていく上では一番大切なように思います。また、彼は若手社員に大切にしてほしいこととして、2つのことを挙げています。一つは、世界的な視野に立ち、事業を通して社会の発展に貢献し、品格ある行動をとるということです。もう一つは「3つのC」です。常に「①好奇心」(curiosity)を持ち、良いと思ったことには果敢に「②挑戦」(challenge)し、そして縦と横の人と「③対話」(communication)することです。中でも彼は特に「挑戦」が大事で、若いころからリスクのある面倒な仕事から逃げてばかりいると、本当に困難に直面した時、リスクの取り方がわからなくなる、と挑戦することの大切さを説いています。そして先ほどあげた3つ目のCである「対話」には大前提として4つ目のCの「謙虚さ」(courtesy)があると述べています。常に謙虚に相手の立場を理解する努力をする、そうすれば、相手に「また、この人と話したい」と感じてもらえると言うのです。

 今、世界は確実に、そして急速に狭くなっています。私たちも、小島さんがおっしゃるように、英語で自分の意見を言う力と度胸を養うとともに、好奇心を持ち、謙虚な姿勢で対話することを大切にし、挑戦することを恐れずに、国際化する社会を生き抜く力を身につけていきましょう。

J.N.(英語科)
 

 
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