学校法人聖心女学院 不二聖心女子学院・ 中学校・高等学校
アクセス Q&A リンク 卒業生のページ
文字を大きく デフォルト 文字を小さく
サイトマップ HOME
不二聖心の教育 学校生活 寄宿舎 図書館 奉仕活動 海外体験学習 不二の自然 入試情報 不二農園
 
不二聖心の教育
在校生・卒業生の保護者の方へ
在校生・卒業生の声
校長室から
入試情報
聖心女子学院
 

 

宗教朝礼

2010年7月7日放送の宗教朝礼より

7月に入りあっという間に一週間が過ぎ、早いもので夏休みまであと数週となりました。すでに予定を立てて、夏休みを心待ちにしている人、日々の生活に追われるように過ごしている人、様々な時間の過ごし方があると思います。今の私はどちらかというと後者で、間近に迫ったものをひとつひとつこなすことに精いっぱいな慌ただしい日々を送っている一人です。そんな私の元に、先日母から宅急便で荷物が届きました。受け取った荷物の様子から書籍であることがわかり、なんだろう・・・と思いつつさっそく荷物を開けました。届いたのは「どうぞのいす」というタイトルの1冊の絵本でした。

 

「どうぞのいす」みなさんはどんなお話を想像しますか?

 

簡単に内容をおはなししますので、みなさんの頭の中に絵本のページを描いてみてください。

ウサギが小さな椅子をつくり、「どうぞのいす」という立て札と一緒に大きな木の下に置きました。はじめにやって来たロバは持っていたどんぐりの入ったカゴを椅子の上に置いて、近くの木の下でひと休み、眠ってしまいます。その間にクマがどんぐりの置かれた「どうぞのいす」にハチミツを持ってやってきました。どんぐりをどうぞと言われているように思えたので、クマはせっかくだからとどんぐりを食べてしまいます。しかし、それでは次の人に悪いからと、持っていたハチミツを「どうぞのいす」に置いて立ち去りました。ハチミツが置かれた「どうぞのいす」に次は焼きたてのパンを持ったキツネが現れて・・・というように立て札に書かれた「どうぞ」の言葉を見て現れた動物たちは“どうぞ”というならばいただこうとそこにあるものを食べてしまうのですが、どの動物も何も残らないのでは次の人に悪いと自分の持っているものを置いていくというお話です。絵本の最後にはきちんとオチもあります。シンプルな言葉で書かれていますが、何だか心があたたかくなる絵本でした。

 

母はなぜこの絵本を私に送ってきたのだろう・・・と思いながらも

 

とにかくお礼を言うために、母に電話をすることにしました。

「ねぇ、この絵本なに?」と聞くと、母は「私からのメッセージ」と答えました。

母は、いろいろなことに追われるとまわりが見えなくなり、自分のことばかり考えがちな私のことを以前から気になっていたと言います。それとなく、電話の中で私に忠告の言葉を投げかけているつもりだけれど、自分が自分がとなっている私にはそんな母の忠告は全く届いていないように感じていたらしく、絵本の言葉に私へのメッセージを託すという手段をとってみたと言います。

幼い頃、母は絵本をよく読んでくれました。そのおかげで、私の生活には今でも身近に絵本があります。年を重ねても、絵本は私の生活の一部と言えます。母はというと、私たち兄弟が大きくなって絵本からは少し遠のいていたようですが、昨年弟夫婦に子供が産まれ、自分がおばあちゃんになった事で、再び絵本に興味関心がいくようになり、何かよい絵本はないかなぁと意識的に出会うようになったようです。

絵本は小さな子どもがおとなに読んでもらうもの、子供のためのものと考える方も多いかもしれませんが、シンプルな言葉の中にたくさんのメッセージが凝縮されていると思います。その時の自分のコンディションでお話が違ってとらえられたり、言葉ひとつから感じるメッセージも様々に伝わってくるように思います。幼い頃はただ絵がかわいいから好き、と思っていた絵本も今読み返すとそれだけのものではなく、内容が深みを増していると思うこともあります。この「どうぞのいす」という絵本は30年前に出版された本ですが、今もなお読み継がれているベストセラー絵本だそうです。

 

「どうぞのいす」の「どうぞ」という言葉。みなさんにとってはどのような言葉でしょうか。みなさんは最近「どうぞ」という言葉をどこかで使ったでしょうか。

 

「どうぞ」という言葉は日常のどのような時に使われるのか少し考えてみてください。次の人のためにドアを開けておく、エレベーターのドアを押さえておくというように、次の人へおくる、つなげる気持ちを表す言葉です。また“どうぞお座りください”や“お先にどうぞ”というように人に何かを譲る時などにも使う言葉だと思います。

あまり意識して使うのではなく、普段何となく使う言葉であるのかもしれません。

あらためて絵本を見ると、絵本の帯には、「どうぞ」はやさしい心の合い言葉と記されていました。母の言いたかったことはここにあるようです。自分のことしか考えていないようではいけない、最近人のために何か考えるような時間を作った?誰かのために何かしようとか、心が向いた時間はきちんとある?と母は私に聞きました。

母との電話の後、春先から何度となく送られてきた何冊かの絵本のことを思い出しました。あまり深くこれらの絵本について考えてきませんでしたが、今まで届いた絵本を並べてようやく届いた絵本の意味を理解することができました。そして改めて1冊1冊読み返し、母からの私へのメッセージを感じる時間が持てました。

今回は1冊の絵本を通じてでしたが、言葉には人の心を動かす力があります。

「どうぞ」という気持ちを持てないような心の状態はよくないし、立ち止まって自分のまわりをみなさい、そんなメッセージを母は1冊の絵本に託して私に届けてくれました。そのことをそのまま母から告げられるよりも、絵本の言葉のフレーズから得る気づきの方が自分にとって深く考えるものであるとあらためて思いました。

この「どうぞ」は、とても丁寧で相手を思いやる言葉です。日常、友達同士の中などではなかなか使うことがないように思う人もいるかもしれません。ただどんなに良い美しい言葉も知っているだけで誰かに対して使わなければ意味がありません。そして私達が知らない素敵な言葉はたくさんあるはずです。絵本に限らず、本は言葉の宝庫です。もうすぐ始まる夏休みはゆっくり本に、言葉に触れるよいチャンスではないでしょうか。

今回、私が「どうぞのいす」という絵本を通じて「どうぞ」という言葉、その大切さに改めて出会ったように、新しい本、新しい言葉をみつける夏にぜひしてみてほしいと思います。

A.H.(図書館司書)

 

 

 

 
個人情報保護方針 サイトポリシー 免責事項
Copyright 2009 Fujiseishin Jyoshigakuin. All Rights Reserved