
2010年7月14日放送の宗教朝礼より
今日はある私立校に通う高校3年生の佐野めいさんのことを話したいと思います。
めいさんは重い心臓病を患い、高校入学直後に「余命数ヶ月」と診断され、昨年、世界でも例のない心臓移植手術に挑みました。
この話は、6月号(6/10日発行)の高校生新聞に掲載され、高校黒板にも貼ってあったので読んだ人もいると思います。
『めいさんは小学4年生の時に「拡張型心筋症」を発症した。心臓の筋肉が薄くなり、機能が低下する難病。運動が禁止され、通院と薬で、体調を維持しなければならなくなった。中学2年になり、病状が悪化し、半年入院。中学3年に進級し、高校受験を考える時期になった。だが、病気を理解し、受け入れてくれる高校が見つからず、10校近くに断られた。「ダメなのかな、勉強しても意味がないのかな。」と思い出した頃、担任の先生に紹介されたのがある私立高校だった。そこの学校の先生は「病気も個性なので、気にしないで」と話してくれた。高校生になれる… それからめいさんは、別人のように受験勉強に打ち込み推薦入試で、高校入学を決めた。「周りについていけるだろうか」という不安もあったが、「何よりも普通に高校に通えることが嬉しかった。」ところが、体調が再び悪化。入学から間もない5月に一時、入院。6月に受けた検査の数値が極端に悪く再び入院。そして、東大病院に転院。診断は「余命数ヶ月」という予想しないものだった。生きるには心臓の左右に補助人工心臓を付けた上で、移植手術をするしかないと言われる。当時の法律では15歳未満の臓器提供は禁止されていた。めいさんの小さい体に合うドナー(臓器提供者)を見つけるには、海外での移植しか道はなかった。しかし、補助人工心臓を2つ付けて海を渡っての手術は世界でも例がなかった。あまりにも厳しい現実。めいさんは「もうわたしのことはあきらめて」と言った。これまでも家族やいろいろな人に苦労をかけてきたのに、これ以上迷惑をかけられないと思った。でもご両親は「いなくならないで欲しい。手術を受けよう」と励ました。それを聞いてめいさんは「頑張ろう」と決意し「世界初」の手術への挑戦が始まった。
8月に入り、補助人工心臓を付ける手術を受けた。しかし、術後の状態は非常に厳しく生死の境をさまよう状態が続いた。体調の回復を待ってリハビリを始め、医師団も総力戦で治療にあたった。
米国のコロンビア大学で、移植手術を受けられることになったが、渡航や米国での入院、手術にかかる費用は総額2億円近くかかると見込まれた。個人で負担できる金額ではなかった。「めいさんを救う会」が結成され、募金活動が始まった。同級生や高校の有志が募金を呼びかけた。知人・友人・学校関係者などがそれを支えた。そして、支援の輪は遠方や海外にも広がった。みんなの励ましを受け、めいさんも「早く学校へ戻りたい。学校に行くために頑張ろう」と思っていた。そして、募金も目標額近くなり渡米が決定。
2009年2月9日、2つの補助人工心臓が飛行機に耐えられるのかが、最初の難関だった。
日をおかずにめいさんの心臓にあうドナーが見つかった。心臓移植は脳死になった人の「命」をいただくともいえる。めいさんは喜ぶ気持ちにはなれなかった。ただ、「頑張ろう」と思った。9時間に及ぶ手術が行われた。翌日には意識が戻ったが、想像を絶する厳しさだった。何回も危険な状態を乗り越え、奇跡的に回復をとげる。4月7日退院。半年の経過観察を経て、帰国の許可が下りたのが6月。1年3ヶ月ぶりに自宅に戻った。待ちわびていた登校。ずっと空いていた席に戻ってこられた。勉強の遅れへの焦りはあったが、「マイペースでやっていけばいいさ」と励ましてくれる友達がいた。復帰以来、毎日朝7時には登校しているという。教室に入ってくる親友には抱きついて挨拶をする。
元気よく動く、みんなに声をかける。学校が楽しくてしかたがない。将来の夢は、外国人の患者のための医療通訳。看護師さんと話していて必要性に気付く。「応援してくれたすべての人に感謝しながら生きたい。」とめいさんは話している。』
<6月号(6/10発行) 高校生新聞 高校生新聞社発行 より抜粋 >
「めいさんを救う会」の募金活動は目標額に達したということで、現在は行っていませんが、「めいさんを救う会」のHPでは今までの活動の記録やめいさんの様子が紹介されています。
皆さんはこの話を聴いてどう感じたでしょうか。
「いのちの大切さはもちろんですが、生きていることの素晴らしさ、人の優しさ、そして人は支え合って生きている。」とあらためて思いました。
余命数ヶ月と診断され、生きる希望を失いかけることは今の私たちには想像もできないことです。米国に渡っての心臓移植。これも簡単な話ではないはずです。適合するドナーが見つかって自分は助かるかもしれない。しかし、逆にいうと、ドナーは命の源である心臓を提供するのです。脳死とはいえ、人の命である心臓をいただくのです。自分のことだけで手放しで喜ぶというわけにはいかず、ただ「頑張ろう」と思ったという気持ちもわかります。めいさんはドナーから命のバトンを受け取ったのです。
生と死を乗り越えると人は強くなります。そして優しくなります。いろいろなものを大切に思い、今を真剣に生きようとするからです。生きている・生かされているそのことに喜びを見いだせるからです。
でも、めいさんも一人でこの病気を乗り切ったわけではありません。みんなの支えがあったから、何度も生死の境をさまよっても希望を失わず、辛いことも乗り越えられたのだと思います。
めいさんの回復を信じ、募金を呼びかけ待っていてくれた家族・友人・知人・すべての人がめいさんを救ったのです。そして、約2億円という募金はいろいろな人の思いや善意が集まった金額です。それを支えてくれた人も知らない人からたくさんの善意をいただいたのです。
めいさんを通じてかかわりが広がりいろいろな人と繋がっていったのだと思います。
今年の学校目標は「かかわりを広げる ~賢明な女性を目指して~」です。
人と繋がる大切さ、人は一人ではなく支え合っていること、そして人と深くかかわることをもう一度意識してほしいと思います。
かかわりを持つためには、だれかのために何かを思い、笑顔ですることです。
この夏休みひとつでもいいです。自分のためでなく、だれかのことを思い、その人のために行動してみてください。きっと知らないうちにかかわりが広がり、繋がっていくことでしょう。
最後に 聖マグダレナ・ソフィア・バラの御言葉を1つあげたいと思います。
「あなたがたは、聖心に特別に愛されている子供たちです。あなたがたに託されていることは、とても大切なことです。それは言葉よりも、あなたがたの行いによって、世の人々が、聖心を知り、互いに愛するようになることです。」
これで、宗教朝礼を終わりにします。
Y.H.(保健体育科)






