校長室から

こんにちは、シスター大原眞実です。

ここでは、私からのメッセージをお伝えします。朝礼等で生徒に語ったことや学院発行の冊子等に掲載したことの中から、また日頃感じていること等を含め折々に更新してまいります。

 「不二聖心女子学院公式Facebook」にも担当の一人として写真やメッセージを掲載中です。様々な角度から、学院生活の様子を感じとって頂けたら幸いです。

カムサハムニダ!(2017年8月5日)

 今、生徒たちは様々な場所で体験的な学びを行っています。私も一昨日、韓国のソウル聖心との交流プログラムより戻ってまいりました。事前学習の後、日本の姉妹校(札幌、東京、小林の聖心)の生徒たちとも一緒に出かけました。仏国寺、水原華城、宗廟等で歴史・文化にふれ、独立記念館、戦争記念館、板門店等では日韓や南北分断の現実を目の当たりにし、ソウル聖心では交流会や生徒宅へのホームステイもいたしました。一番、心に残ったのは、様々な出会いの中で、生徒たちが変えられていく姿です。世界の未来を拓いていこうとする若さが光っていました。

温情の灯を掲げて (2017年7月4日)

 7月2日、今年も学院で「温情の灯会」が開かれました。1920年に岩下壮一神父様を校長として創立された「温情舎」(本学院の前身)の卒業生の方々の集まりです。この場で、オリンピック・イヤーでもある2020年に、温情舎創立からの100年を「創基100年」としてお祝いすべく準備に入ったことをお伝えしました。

 昨年の集まりから今日までの間に、3名の会員が天に召されました。会員の皆様の「オリンピックはともかく、このお祝いまでは生きていましょうね」というお言葉が印象的でした。お祝いに向けて、温情舎時代からの歴史をより深く知るよう努めていくにあたり、温情の灯会の皆様のお力添えをお願いしつつ、再会を期してお別れしました。
            

母の会新作「マグカップ」(2017年6月20日)

 「校章」と、「本年度の学院目標」 "Bring Joy to Others" の入ったマグカップを母の会の方々が作ってくださいました。

 折しも、ケニアの聖心会から、新たに聖心の小学校をケニアに建設するためにお送りした寄付のお礼状が届きました。ケニアは、昨年、学院にいらしてくださったシスターコンソラータの母国であり、今、小習いしているシスター寺田やシスター石崎と深いつながりがあります。日本の小学校にあたる年代の子供たちが学校に行く割合は約80%、中高生にあたる年代は約50%、大学生になると4%ともいわれるケニアの現状をふまえ、聖心の小学校建設のもつ意味を、生徒たちと共に考えました。

 「山と山とは出会うことができないが、人と人とは出会うことができる」というスワヒリ語の諺にあるように、いつかケニアの聖心の生徒たちと出会う日もくることでしょう。
         

Little Sophieのように(2017年6月12日)

 6月は、カトリック教会では「聖心の月」。イエス・キリストの「聖心」を校名にいただく学院にとりましては、アイデンティテイを意識し直す月でもあります。この6月を目指して準備してまいりました「聖心会ソフィー・バラ センター」が本館にオープンいたしました。

 この中に、"Little Sophie"と名付けられた小さなコーナーを作り、少女時代の創立者の小さな御絵を飾りました。学院で学ぶすべての子どもたちが、少女時代の創立者のように、知恵(ソフィア)に満ちて成長していくよう願いつつ。
        

Peace is deeply rooted here. (2017年6月1日)

“The stories of the prescient people who built this school flow from its hills out into the world and the surrounding fields. Peace is deeply rooted here.”――、創立者の祝日にご講演いただいたアーサー・ビナード氏が残してくださったメッセージです。

カトリック教会で「聖心(みこころ)に捧げられた月」である6月は、学院にとって自らのアイデンティティを強く意識する月です。美しい自然の中に創立され今日まで歩んでこられたことに感謝しつつ、先人たちの思いをつなぎ、不二聖心女子学院に与えらえた使命を深めていきたいと思います。

アーサー・ビナードさんの芳名帳

創立者の祝日行事(2017年5月26日)

毎年、5月25日のあたりの金曜日に、創立者マグダレナ・ソフィア・バラの祝日行事が行われます。今年は26日に行われ、チャプレンの牧山神父様によるごミサ、アーサー・ビナード氏による講演会が行われました。

子どもたちが帰宅後、創立者の精神を学ぶための教職員研修会が行われます。今回の講師は、聖心女子大学の安達まみ先生でした。その後、修道院のシスター方との懇談会が催され、皆で創立者に捧げる賛歌を歌い一日を終えました。

今年の祝日の御絵はかつてマザーニールスの書かれたもの、本年度の目標である創立者のお言葉 ”Bring Joy to Others” が書かれています。創立者の思いが、子供たちや私たちの教職員の中で豊かに実っていくよう願いながら作られました。

心のみちを 神に任せて (2017年5月16日)

 新年度を迎え、市内の小中学校にご挨拶に伺っています。須山を訪れた際、偶然、須山浅間神社の近くを通り、その清廉な空気に心が洗われました。神社横には、道興准后が詠んだ歌の碑、

 よそにみし ふしのしら雪 けふ分ぬ 心のみちを 神に任せて

富士山須山口が歴史上に登場するのは、1200年のことだそうです。いつも「童話の世界に迷い込んだような」思いに駆られる須山と、新しく出会ったような気がしました。

パリの祈り(2017年5月8日)

 3月に生徒たちと共に出かけたフランスで、創立者聖マグダレナ・ソフィア・バラのご遺体が安置されている教会で祈りました。ここは、パリの聖心があった場所に近く、創立者が亡くなられた建物も残っています。帰国後、イースターの時に、教会などを案内してくださったシスターマリボンヌからメールが入りました。

 「今回の出会いで、不二聖心がとても身近なものになりました。学院のパンフレット(英語版をお渡ししました)も、とても興味深いものでした。私は、毎朝、教会でミサに与る度に、不二聖心女子学院の子供たちのために祈っていますよ。」

 今はサマータイムなので、フランスと日本との間の時差は7時間です。午後2時頃になるのでしょうか、金色のシャスの前で、ソフィア・バラに取りなしを願いつつ祈っていてくださる方があることに大きな支えを感じます。

2017年度のはじめに (2017年4月7日)


不二聖心女子学院2017(平成29)年度学校目標
実行力を養う Bring Joy to Others


 不二聖心女子学院では、カトリックの精神に基づき、「魂」「知性」「実行力」の各領域をバランスよく育み、「社会に貢献する賢明な女性」として成長していくよう準備します。これら3つの領域が統合されていくためには、皆さん自身が各領域をご自分と関連づけて意識していくことが必要です。そこで、本学院では、毎年、一つの領域に焦点をあて、年度目標に取り入れています。本年度は、「実行力を養う」を意識する年にあたります。より具体的な目標としては、“Bring Joy to Others”を掲げることといたしました。

1)「喜びの訪れ」 “その子はあなたにとって喜びとなり、楽しみとなる。”(ルカ福音書1:14)

  クリスマスで読まれる聖書の箇所には、「喜び」について語られたものが多いです。クリスマスとはイエス・キリストの誕生の出来事をいうのですが、イエスの誕生そのものが大きな「喜び」の訪れであったということです。それを告知された母マリアは「私の魂は主をあがめ、私の霊は救い主である主を喜びたたえます」(ルカ1:47)述べ、イエスに先立って生まれ、その道を準備するよう召されたヨハネの誕生に関しても「その子はあなたにとって喜びとなり、楽しみとなる。多くの人もその誕生を喜ぶ」(ルカ1:14)と書かれています。
 新しい命の誕生の喜び――、これは皆さん一人ひとりにもいえることです。生まれたばかりの時、何かができたわけでもないでしょう。この世に生を受けたという事実、そして皆さんの存在そのものが、ご家族にとって大きな「喜びの訪れ」であり、神様がくださった最高のギフトなのです。これは、あなた方が本質的にもっているかけがえのない価値です。どうぞ、ご自分を大切にしてください。同じように他の人をも大切にしてください。そして、決して消えることのない深い喜びとはどういうものなのかを思い巡らしてみましょう。  皆さんが「物」としてのギフトと異なる点は、成長の過程で、思考し、学び、変化し、周囲に変化をもたらす力をもっているということです。人は、常に”will be”(「なっていく」存在)です。本年度は、一人ひとりがもつ「喜びを生み出す力」を意識しながら、「実行力を養う」一年といたしましょう。

2)子供たちを通してこの世界に愛の力が花開くように

 この目標は、創立者聖マグダレナ・ソフィア・バラのお言葉 ”Be humble, be simple, and bring joy to others.” からとりました。皆さんには、ソフィア・バラの思い、学院の教育理念、そして世界やご自分をとりまく現実に照らしつつ、具体的に取り組んでいただきたいと願っています。
 私たちの創立者は、未来を担う子供たちの教育にこそ世界をよりよく変容していく鍵があると考え、聖心女子学院を創立しました。1852年に生徒に向けて書かれたお手紙の中に、次のような箇所があります。

利己主義が蔓延して悲しむべき荒廃をもたらしている現代こそ、聖心(みこころ)の子供である
ということに神様の特別な使命が与えられています。この特別な使命とは、イエス・キリストの愛をまだ知らない多くの人に、その愛を伝えるために生きるということです。皆さんの行いは、言葉にまさって世の人々の心を動かすものとなるでしょう。しかし、そのためには、神様が下さるはかりしれない恵みに信頼しながら、日々の生活を通して、今のうちに自分を準備しなければなりません。

このお言葉は、21世紀に生きる私たちにも褪せることのない響きをもっています。教皇フランシスコは、『福音の喜び』(使徒的勧告:2013年11月24日)の中で、「多様で圧倒的な消費の提供を伴う現代世界における重大な危機は、個人主義のむなしさ」であり、それは人と人の間のきずなの成長と安定性を弱めるものであると述べ、その後も無関心のグローバル化について繰り返し述べておられます。同時代の空気を吸っている私たち自身も、このような傾向と無関係ではありません。どうぞ、時代に流されず、キリストの聖心(みこころ)に捧げられた学院で学ぶあなた方が共有する使命について考えてみてください。そして、一人ひとりに与えられている固有の使命についても深めていっていただきたいと思います。


3)“Bring Joy to Others” 身近な実践を通して <創基100年に向けて>
 本学院は、日本の聖心女子学院の中で、唯一、前身となる学校をもつ学院です。不二農園(1914年創設)の創設者である岩下清周が、1920年、長男の壮一神父様を校長に創立した温情舎小学校です。農園も学校も、ヨーロッパの文化や思想に親しんだ岩下家のキリスト教的ヒューマニズムに則った先駆的なものでした。2020年には温情舎小学校の創立から数えて100年となりますので、3年前にあたる本年度から、創基100年の準備を進めていきたいと考えています。
 このような聖心となる以前の歴史の中にも、“Bring Joy to Others”の実践をみることができます。たとえば、清周は地域の人たちのため、私財を投じて黄瀬川に県内初のコンクリート製のアーチ橋を架け、幅広い人脈を生かして新しい専門的な農業を学ぶ場を作り、地域の発展に寄与しました。茶園の中に今も残る大きな桜や楓の大木は、清周が農園で働く人々が木陰で憩えるようにと植えたものです。復生病院で日本人初の院長を兼任された壮一神父様は、毎夜、どんなに忙しくても、必ず病棟を一回りしてから床につき、その足音はハンセン病で苦しむ人々の「闇を照らす足音」と言われました。ロンドンで邦人初の聖心会のシスターとなった三女亀代子の存在が、不二農園・温情舎の流れと、聖心の流れを一つにしていくのですが、彼女もまた聖心女子大学などで教鞭をとった後、戦後の混乱期に困難な状況にあった女性を支えるため清周寮の建設に尽力されました。この方々は皆、身近なところから“Bring Joy to Others”を実践された方々でした。だからこそ、大きな功績を残されたともいえるでしょう。

将来、「社会に貢献する賢明な女性」となっていくようここに集められた皆さん、皆さんの存在や言動が、周囲の人にとって、安心感、信頼、希望、勇気、慰め、励ましにつながっていくよう努めてまいりましょう。学院での友人、上下級生や先生方とのかかわり、そしてご家族や社会とのかかわりが、喜びを分かち合う日々の積み重ねとなっていきますように。お一人おひとりの喜びを生み出す力に期待しています。
                                                  2017(平成29)年度 始業式にて

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