シスター・先生から(宗教朝礼)

2016.11.09

2016年11月9日放送の宗教朝礼から

これから宗教朝礼をはじめます。

 秋のつどいが終わり、ここちよい充実感に満たされた人も多いことと思います。
 大きな行事を通して、お友達、上下級生の新しい一面に気付いた人もいるでしょうし、逆に、ぶつかりあってしまったこと、うまくいかなかったことが、私たちに何か成長する余地を残してくれていることもあります。
人との関わりの中では、物事がスムーズに進むこともあれば、順調にいかないこともあります。
伝えたいことがうまく伝わらないこと、人から言われたことに傷ついてしまったり、自分が意図せず人を傷つけてしまうこと、自分が誤解されてしまうこと、自分が人を誤解してしまうこと、立場の違いから対立してしまうこともあります。
 今日は、やむをえず起きてしまう問題や互いの違いを乗り越えるヒントを考えるために、あるゲームを紹介します。オレンジゲームと呼ばれるもので、最近もある番組でも紹介されていまいた。
目の前に1つのオレンジがあります。そしてそのオレンジを欲しいと望む人が2人います。AさんとBさんとしましょう。Aさん、Bさんにはそれぞれにミッションが与えられています。
Aさんには 「オレンジジュースと作るために、オレンジを手に入れること」
Bさんには 「大切な人のためにママレードを作るために、オレンジを手に入れること」
オレンジは1つしかなく、半分に分けては分量が足りません。2人は、いかに自分の方がオレンジを必要としているか、自分の要求の正当性を訴えますが、2人の条件を満たすよい答えが見つかりません。みなさんがAさん、またはBさんだったらどうしますか?
 この答えは、2人がそれぞれ、オレンジのどの部分を必要としているかを理解し、相手に伝えることにあります。
つまりAさんのオレンジジュースは身だけを必要とし、Bさんのママレードは皮だけを必要としているので、1つのオレンジを目の前で身と皮に分けて、必要な部分を分け合うことでお互いの希望が叶うわけです。「あっ、なんだ~」と、答えを知ってしまうと、意外に簡単な答えですね。
 ここには2つのヒントがあります。互いに相容れないような出来事にぶつかってしまったときに、自分の要求の背景を相手に伝わるように伝えようとすること、相手の要求の背景を理解しようとすること、です。
日常生活の中では、意見が異なる、立場が違うことで、にわかな対立的雰囲気ができてしまったり、この人とはうまくできるのかという不安感や、かつてうまくいかなかった経験があると、またうまくいかないのではというあきらめの感情など、問題の解決がもっと難しくすることもあります。
それでもなお、問題を克服できるとすれば、お互いにとってプラスになる答えを導くあきらめない気持ちがあるかどうかです。一見解決が困難だと感じられても、問題の原因や背景をよく見てみると、実は新しい解決方法が見つかるときがあります。
 中学生では、まだ互いをよく知り合っていないことから、上手に分かり合えなかったり、些細な出来事、行き違いから、自分が好かれていないのではという不安を感じることもあるでしょう。高校生になると、互いを知っているようで、意外に思い込みで相手を見てしまったり、自分はこんな人間で、こんなことはできるけど、こんなことは苦手と、自分を知っているようで、反って自分で自分の限界を作ってしまっていることもあるかもしれません。ですから、人に対しても自分に対しても新しい一面を探し続けてほしいと思っています。

 私たちは世界の平和を祈りますが、それは自分の周りの小さな平和の積み重ねから始まります。
身近なお友達、少し距離はあっても関わりのある友達、上級生、下級生、先生、家族との関わりの中で、自分を知り、相手を知ること、思い込みで相手と自分との可能性を不必要に狭くしないこと、より良い関係を築けるような言葉を選び、行動をすること、互いにとってプラスとなるより良い選択を導ければと思います。
 みなさんが社会に出た時、自分が望むベストな選択肢を選び続けることは難しい時もあります。おそらく、産む性としての女性には、男性以上にこの越えるべき壁は多いと思います。一見限られたAとBという2択しか見えなくても、その間に、よい良い解決方法を探し出そうとする姿勢、力を身につけることは、自分の今いる環境をより良くすることでもあり、将来、みなさんを取り巻く社会をよりよく変えていくきっかけになると信じています。

今日は、各クラスでプラクティスを決める日です。イエス様の誕生をお迎えするために、日々の生活の中で、心をしずめて過ごせるように、そして、小さなことでも人の喜びや幸せにつながる何か具体的なことを取り組めるように、素敵なプラクティスを導き出せるように願っています。
T.H.(英語科)