シスター・先生から(宗教朝礼)

2017.01.25

2017年1月25日放送の宗教朝礼から

 

 私の家の庭には小さな菜園があります。大きさは3m四方ほどですから畑というほどの物ではありません。せっかく菜園があるのだからと毎年4月、5月には野菜の苗を買ってきては野菜作りをしています。
野菜作りのはじめには何をするかといえば、それまで放置していた菜園の草取り、硬くなった土を掘り返し有機質の肥料分や化学肥料を加えたり、植物の多くが酸性土壌よりは塩基性に近い土壌で生育が良くなることを考え、消石灰をまいておきます。このような下準備を一週間前くらいに済ませておき、土が落ち着いてから苗を植える作業となります。草取りも丁寧に小さい草を一本ずつ抜いていくと結構時間と労力を必要とするのですが、そのことに集中していることで気持ちの良い疲労感を味わえて嫌いではありません。更に、一つずつ植え付けた苗が一列に並んだ畝を見ると、小さな達成感とこれからの成長への期待でいい気持になります。
菜園では農薬は使わないことにしているので、虫に食われたり、病気でだめになってしまう野菜も多くあります。ブロッコリーには蝶々が飛んできて卵を葉の裏に産み付けていきます。知らないうちにブロッコリーの成長と青虫の成長で半分以上虫食いの被害で葉っぱがなくなったり成長が遅くなったりします。何度か失敗をして農薬を使わず退治する方法は、ある一定期間は蝶々が近づけないように網をかけて育てること。この方法は、園芸の本には普通に出ています。網を掛けない方法も実践しています、3,4日に1回葉っぱの裏側を見ると小さな粒の卵がゴマ粒より小さい芥子粒ほどの卵があるのでこすり落とす。これでずいぶん被害は少なくて済みます。
農薬を使わなくても、思っていた以上にたくさん収穫できる野菜もあります。昨年の夏はゴーヤを4本植えただけですが、夏中毎日ゴーヤを収穫していましたし、ピーマンは6月から11月まで近所に分けたりしていっぱい収穫しました。ところが、何年やってもうまくいかないのが茄子で、2,3本はとれても後は実が割れたり、小さかったりでまともなものを育てたことはありません。茄子は水やりや枝切りなどしっかり手を掛けないとだめなのでしょう。多く収穫できたゴーヤやピーマン、トマトなどはあまり手を掛けなくても、たまたまうまくいったのかもしれません。
植物を育てる方法として、草もとらず、土も耕さずに、種を蒔いた後は手を掛けず虫よけもせずに収穫までする農法を自然農法といいます。草取りや土を耕すことはするが、薬は使わない、肥料は自然のものだけで化学肥料は使わない有機農法などがあります。健康志向の強い消費者は有機野菜などが割高でも一定のニーズがあります。
農法とは異なりますが、農薬を使わないための工夫として、マリーゴールドを畑に植えておくとその周りには線虫という土の中の虫が減り植物の成長には良い影響が出ます。また、ハーブの何種類かの物はそれが発する臭いで虫が近づかない効果があるようです。また、
一緒に植えると互いに生育を助け合う組み合わせの植物もあるなど、知っていれば手抜きの栽培を助けてくれる知恵がいっぱいありそうです。
 今日の話は私の家の小さな家庭菜園の話でしたが、今現在の世界に目を向けると、政治経済、環境など多くの課題があります。その中の一つに人口増加、飢餓や食料の問題もあり、農業、畜産、水産業など食べ物に関する生産や流通などの技術革新が問題解決の糸口を与えるかもしれないと大学等で研究を続けている方も多くいます。飢餓に苦しむ人々を救う方法は、食料支援だけではなく、間接的ではあっても農業技術の普及であったり栽培漁業であったり、もっと革新的な技術であるかもしれません。そうしたことに関心をもって将来の進路を考え頂ければと思います。
以上で講話を終わります。
S.S.(理科)