シスター・先生から(宗教朝礼)

2023.02.08

2023年2月8日放送の宗教朝礼から

  1月、図書委員会主催の「ビブリオバトル」を見学させていただきました。バトルという響きから、参加選手が1対1で舌戦を繰り広げるのだろうか、ディベートのように相手の論拠の弱いところをついて喧々諤々と議論するのだろうか、などと想像して少しドキドキしながら見学に行きました。ところが、実際のビブリオバトルは大変楽しく、平和的かつ友好的で、学びの多い時間でした。当日は、図書委員さんのスムーズな司会のもと、中1~高3までの9人のバトラーたちが、自分のお勧めする本を3分で熱く語ってくださいました。化学に関する本、現代社会の問題に関する本、ミステリー小説、青春小説、心に染み入る小説など、ジャンルも様々な上に、お勧めする理由も多岐にわたり、どれも興味をひかれるものでした。プレゼンの後の質問タイムでは、他のバトラーや見学者から、「好きな場面はどこですか?」「好きな登場人物は誰ですか?またその理由は何ですか?」などたくさんの質問が出て、それに対してバトラーが「質問ありがとうございます。実は・・・」と嬉しそうに答えて下さり、対話によってより深い世界に皆で踏み込む楽しさを味わうことができました。最後に、参加者と見学者の投票で優勝者が決まり、閉会となりました。熱意と愛情と互いへの尊敬にあふれた時間は、あっという間で、本当に良い時間をすごさせていただいたことに感謝して図書館を後にしました。そして、英語の授業でもビブリオバトルができるのではないだろうか、私がもし高校生だったらどの本を推すだろうか、などと考え、しばらくビブリオバトルの余韻を楽しむ日々が続きました。

 皆さんだったら、どの本をおすすめするでしょうか。多くの人に読んでもらうために、どのようなプレゼンをするでしょうか?おすすめする理由として、何を挙げるでしょうか?なぜその本が好きか、どのように説明するでしょうか?自分のおすすめ本について、バトラーになったつもりでプレゼンを考えてみると、結構楽しいものです。
 さて話は変わりますが、私自身は最近、英語の授業のヒントを探して本を読むことが多いように思います。最近読んでいる「Discussion Process and Principles」という本も面白いので、少し紹介させてください。訳すと「話し合いの過程と原則」でしょうか。ディスカッションのプロセス1には、「ディスカッションとは、分かち合い、共に探索・検討して、何かを決めるプロセスです。まず最初に、互いの経験を分かち合うことで、共に学び合います。そして皆で、まじめなものから少し馬鹿げたものまで、自由に意見を述べ合い、一人一人が持つ意見のカードを机上に集めます」とあります。次に、原則1として、「一人一人の声を尊重すること。よいリスナー(聞き手)になりましょう」と述べられています。本には色々な聞き手の絵が描かれており、それぞれ、「ペン回しをしている人、週末は何をしようかなあなどと空想をしている人、単語の1つ1つが気になって辞書ばかり見ている人、時計ばかり見ている人、比較ばかりしている人、自分のスピーチの準備に夢中な人」という単語が紹介されています。それに対して、Better Attitudes, Better Actionsという絵では、話し手に集中する、話し手をジャッジすることなく話を聞く、自分と異なる点ではなく似ている点や共通点を探す、アイコンタクトをとる、うなずく、などが良いリスナーとなるコツとして挙げられています。そして、話し合いのループとして、1.自分の経験を紹介する、2.自分の経験の詳細を話す、3.話し手に集中する、4.ジャッジすることなく話を聞く、5.相似点・共通点を探すというサイクルが紹介されています。私自身はこれを読んで、なるほど~と思いました。英語の授業のようになってしまいましたが、このように、英語の本は日本の本とは異なる視点や気づきを与えてくれることも多いので、皆さんにもぜひ英語の本も読んで欲しいと願っています。この後、皆さんの「おすすめ本」「押し本」を1冊選んで、あるいは、「おすすめの作家」を1人選んで、振り返りノートにおすすめポイントをメモしてみてくださいね。後で、「何の本にした?」などと分かち合ってくれたら、嬉しいです。同年代の友達のおすすめ本は、興味深いものが多いですよね。これで、宗教朝礼を終わります。
J.N.(英語科)