シスター・先生から(宗教朝礼)

2023.02.15

2023年2月15日放送の宗教朝礼から

 今日は「若さ」「今を生きる」の2つをキーワードにお話ししたいと思います。

 昨日の送別会は全学年が講堂に入ることはできませんでしたが、教室からもどよめきが聞こえたりして、学院全体で高3を送ろうという気持ちが感じられました。コロナ前とは異なり、それぞれの学年の動画づくりも創意工夫があって、若者たちのアイディアは尽きることがないのだとしみじみ思いました。社会のあり方はもちろん、私たちの学校生活も変化しています。今年は大学生と協働したり、企業からのテーマに対して課題解決型のプログラムに取り組んだりした生徒がいます。みなさんの経験の機会は、広がってきています。ぜひアンテナを高く張って、新しい情報には敏感であってほしいと願います。

 

学院の初代院長 エリザベス・ダフのお言葉「希望を持って生きる人の眼にはいつも高い理想がある。若さを価値あるものとせよ。」は、みなさんも聞いたことがありますよね。まさに「若さ」のただ中にいるみなさんにとっては、「若さ」の価値を実感することはないのではないでしょうか?若さから遠ざかった人間にはその「価値」はかけがえのないものと、よーくわかります。自分の中にある「よい自分」の声に耳を澄ましてみましょう。小さなことでもいいのです。未知のものに挑戦することは恐れを伴います。その恐れを乗り越える勇気やつよさを意識してほしいと思います。

 

 先週6日にトルコ南部を襲った大地震は、現地時間4時頃にM7.8、9時間後にM7.5と大きなものが2回続いて発生しました。活断層の近くでは、建物を倒壊させるような特徴的な地震波も発生していたとみられます。建物があっという間に崩壊する映像を見た人も多いでしょう。震源付近では最大2mも地盤が変動し、最新の衛星画像からこの地震は長さ250キロの長大な活断層が90秒かけて次々と破壊する連動型だったことが分かってきたといいます。亡くなった方は日に日に増え、今朝は39000人を超えたそうです。ただ、人命救助におけるタイムリミットト72時間を越え、地震から1週間以上経った今日も生存者の発見があったことは、本当にうれしいことでした。

 この地震の全容は見えていませんが、考えなくてはいけない事柄がいくつかあるように、私は思います。

 まず、この地震はトルコだけではないこと。隣接するシリア、特に内戦から逃れてきた難民も甚大な被害を受けていること。先週の報道では現地といえば、トルコがほとんどでしたが、今日のニュースではトルコ・シリア地震という見出しを見ました。物事を俯瞰する大きな視点は常に必要ではないでしょうか。

一方、SNSを中心にデマ投稿・フェイクの動画が拡散していることも深刻です。ロシアのウクライナ侵攻でも、私たちは日本からはるか離れたウクライナでの様子をほぼリアルタイムで知ることができました。これは以前の紛争・戦争ではあり得なかったことです。今回の地震でも別の爆発映像が、原子力発電所の爆発として拡散しました。デマ投稿・フェイク動画が意図的に流されたり、拡散したりすることによって誤った認識が植え付けられる危険性は高まっています。真贋(本物と偽物)を見極めることはなかなか難しいように思います。どこから配信されているものか、信頼に足るサイトなのかを確認すること、あたりでしょうか?せめて、私たちが目にする情報の中にフェイクが混じっていて当然だという認識は必要に思います。こんなことは、私がみなさんの年齢の頃には考えたこともありませんでした。

 時代は大きく変わってきています。「今」をいきるみなさんをはじめ、私たちには時代に合った力が求められているのです。

 そしてもう一つ意識してほしいことは行動力・実行力についてです。1995117日、阪神淡路大震災が起こりました。このとき、地震の翌日、当時の校長様シスター奥井と体育科の田中先生は救援物資をもって小林聖心に駆けつけました。西宮北口からは2時間以上線路を歩いたそうです。学院では温情の会委員会を中心に募金、卒業式の前後に高3の生徒たちや先生方がボランティアに現地へ行きました。当時、私は不二聖心へ来て数年であり、不二聖心の生徒たちの行動力に本当に心を動かされました。

今回の災害に私たちは何ができるでしょうか?温情の会にまかせておけばいい、ではなく、何ができるかみなさんの中からアクションが起こることを期待しています。

 

今を生きるみなさん、若さを存分に生かし、大きく育ってほしいと願います。そして、高校3年生のみなさん、卒業式も4日後になりました。一人ひとりが抱く思いはそれぞれでしょうけれど、不二聖心での日々はみなさんの土台の一つです。これから、大きく飛躍することを期待し、お祈りしています。

 

最後に、今朝の先生方のお祈りではトルコ・シリアの地震災害被災者のためのお祈りを鈴木和枝先生が唱えてくださいました。みなさんとも分かち合いたいと思います。

災害被災者のための祈り

父である神よ、

すべての人に限りないいつくしみを注いでくださるあなたに、

希望と信頼をこめて祈ります。

災害によって、苦しい生活を送り、

不安な日々を過ごす人々の心を照らし、

希望を失うことがないよう支えてください。

また、亡くなられた人々には、永遠の安らぎをお与えください。

すべての人の苦しみを担われたキリストが

いつもともにいてくださることを、

祈りと行動によってあかしできますように。

わたしたちの主イエス・キリストによって。アーメン。

(2021216日 日本カトリック司教協議会認可)

M.H.(国語科)