シスター・先生から(宗教朝礼)

2023.03.01

2023年3月1日放送の宗教朝礼から

 今週は朝晩の冷え込みも和らぎ、日中は4月並みの暖かさとなりそろそろ暖房も必要なくなる季節を迎えます。我が家での暖房は薪ストーブを使っています。たまに火の付け方が悪くて、煙突が温まる前に煙が部屋の中に入ってくることもあって煙たい思いをすることもありますが、煙突がしっかり温まれば所謂煙突効果で部屋の空気を取り込みしっかりと燃焼してストーブは200℃から250℃となって周りを温めてくれます。そこでふと思うことがあります。それは、地球温暖化が叫ばれるこの時代に薪の燃焼という二酸化炭素を多量に出す暖房は温室効果ガスの削減に反するのではという思いです。

 最近そのことを考えるヒントとなるニュースに接しました。国際民間航空機関(ICAO)が2050年までに航空機の排出する二酸化炭素増加を抑え、二酸化炭素排出の実質ゼロを目指していて、ここ数年の目標は、持続可能な航空燃料(SAF)を航空燃料全体の10%にすることというものです。この持続可能な航空燃料(SAF)の原料としては植物由来のもの、例えば揚げ物やてんぷらを作るときに使用した後の油が注目されています。燃料として使えるものに変えるために化学プラントで水素などの元素を付加する処理を行い製造されます。ごま油や菜種油などの引火点が250℃から300℃と高温なのに対して、処理されたものはジェット燃料の引火点の35℃程度になり、通常の燃料と混ぜて使用することができます。通常のジェット燃料が石油由来のものに対して、このSAFは作るためにてんぷら油などを回収したりする手間や加工のために人件費や工場設備などの余分な費用がかかり、石油由来のものより4~5倍値段が高い状況です。それでも航空会社は社会的使命として燃料の10%を確保するため競って輸入先の確保や国内生産分の増産に期待しています。このSAFは植物由来のものであり、空気中の二酸化炭素が植物体に固定されてできているため、石油由来のものに比べて80%二酸化炭素の発生を抑えたことになるということです。飲食店で出る大量の廃油としてのてんぷら油だけでなく、家庭で出る油も回収のためのリサイクルのシステムが広がり、航空燃料に姿を変える日が来るでしょう。

 話は戻って、薪ストーブは燃えて二酸化炭素を発生するが、薪が植物由来のものであるので、石油ストーブの灯油などと比較するとトータルとしては二酸化炭素の排出は低く見積もることができそうです。一方で、暖房に電気を使うエアコンや電気こたつでは、使うときに二酸化炭素は発生しないので、二酸化炭素の増加にはつながらないと考える人もいますが、それは少し違います。エアコンなどを動かす電気は、発電時に日本では73%は石炭、天然ガス、石油などの化石燃料を燃やして蒸気を作りタービンを回しています。そこでエアコンを使うその場所では二酸化炭素は発生しなくても、巡り巡って二酸化炭素を排出していることになります。こうして見てくると、どの場合も人間生活の中で暖を取るためには少なからず二酸化炭素は排出されるのだと思います。
SDGSの目標13:「気候変動に具体的対策を」とあります。再生可能なエネルギーを燃料として使うことや、電気を作るときに使うことが今後求められるので、例えば発電では太陽光、水力、風力、地熱など再生可能エネルギー、自然エネルギーを増やすことが地球温暖化を抑えることに貢献するかもしれません。そして、私たち一人ひとりが今地球温暖化防止に貢献できる取り組みとして、使わないときは電気をこまめに消すこと、暖房や冷房の設定温度を少し控えることなど小さなことの積み重ねがあげられます。
S.S.(理科)