シスター・先生から(宗教朝礼)

2017.07.05

2017年7月5日放送の宗教朝礼から

 これから、宗教朝礼を始めます。今年の3月、不二聖心の高校生を対象に、視覚障害者の方々と一緒に山を登ろう、というボランティア活動を企画しました。この企画は、私が大学時代に所属していた山岳部の先輩のOBの方から持ちかけられたものです。朝礼で募集をかけた結果、今の高校3年生の5名の方が参加を申し出てくれました。

当日、天気にも恵まれ、早朝に御殿場線の駅に集合しました。視覚障害者の方6名と、私たちを含む、全部で30名、そして盲導犬1頭の大所帯です。視覚障害者の方には原則、2名のサポーターがつきます。視覚障害者の方の前方に立ち、歩くコースを考え、コース上の起伏や周囲の様子を伝える前サポーターとして1名、後方に立ち、視覚障害者の方が転倒しそうな際には後ろからひもを使って支える後サポーターとしての1名です。高校生たちは、危険の少ない場所で、前サポート・後サポートをそれぞれ体験させてもらうことになりました。それぞれの視覚障害者の方を中心に小グループが作られ、出発です。目指すは神奈川県・丹沢山塊にある標高721mの大野山です。
最初は自動車も通れるしっかりとした道から始まり、徐々に道は細く、また勾配も急になっていきます。ベテランのサポーターの方や、視覚障害者の方からアドバイスをいただきながら、高校生たちは前サポートや後サポートをしたり、お話をしたりしながら登っていきました。最初の頃は、高校生たちも不安と緊張を抱えていたようですが、明るく、優しく語りかけてくれる周囲の人たちのおかげで、登山の後半にはリラックスして、一緒に楽しんでいる様子がみられました。
活動を終え、彼女たちはこのような感想を述べてくれました。ある人は、

今回、初めて視覚障害者の方と交流いたしました。はじめは、どのように交流すれば良いのか、サポートはきちんとできているのかなど不安なことがたくさんありましたが、どの方もアットホームで、サポートについても、自分が楽しむつもりで、リラックスすれば良い、と適切なアドバイスをくださいました。また、どの方もフレンドリーで、お菓子やおしるこをくださるなど、私の方が、お世話になってしまいました。


と述べてくれ、また別のある人は、


私はこの活動に参加する前まで、視覚障害者の方が山を登るなんて無理だと勝手な偏見を持っていました。しかし活動を終えた今、その考えは間違いであったと気づかされました。
私がサポートをした方は全盲の方でした。最初に前サポートをしたのですが、サポート者は後ろを振り返ってはいけないのでしっかりできているか不安と緊張の中、歩いていました。でもメンバーの方が「上手だよ!」と言ってくださり、また視覚障害者の方も私に日常の話や学生時代の話をとてもフレンドリーにしてくださったのでだんだん楽しくなってきました。
また、私が後サポートをしたとき、視覚障害者の方はサポートのひもを持たなくても軽快な足どりで山道を歩いていて、本当に驚かされたと同時に凄いなと思いました。人よりもハンデを持っていたとしてもその人の生き方によって人生は楽しいものになるのだということを感じさせられました。皆さんとてもやさしくて参加して良かったと心から思います。家でなんとなく過ごすよりも何十倍、何百倍もの価値のある時間を過ごすことができました。


と感想を述べてくれました。
私たちは、日常生活の中で出会う様々なモノやヒトに対し、無意識のうちにカテゴライズし、自分勝手なイメージを抱きがちです。目の見えない人達だから、山道なんてきっと歩けないだろう。彼らは支援を受ける側であり、私たちはその支援をする側なのだ。彼らは恵まれない存在であり、私たちは恵まれた存在なのだ、と。ここまではっきりと言葉にしていなくとも、ぼんやりとそのようなイメージを持つ人たちが多いのではないでしょうか。
しかし、実際はどうでしょうか。目の見えない人たちでも、確かにサポーターの手助けはいるとはいえ、自らの足で、軽やかに山道を進んでいました。時にはサポートをするはずであった私たちの側が、励ましの言葉をもらい、進む元気を分けてもらうこともありました。視覚障害者の方々は、視覚による気づきはなかったとしても、私たちが見過ごしてしまうような音や匂い、足元の地面の感触から、自然の美しさを感じ取り、その豊かさを味わっていらっしゃっていました。今回、実際に視覚障害者の方たちと触れ合った5名の高校生たちは、1人の人間として視覚障害者の方々と直接に関わることで、彼らには彼らの幸せの形があるのであり、どちらが上でどちらが下だ、というものではなく、どちらの存在も尊く、不可欠なものなのだと、実感として感じ取ることができたことと思います。
私たちが無意識に作り上げてしまうイメージを塗り替えることはなかなか大変なことです。ですが、自分たちの中にそうした弱い部分を持っているということを、常に自覚することはできるはずです。そして、実際にお会いしてみる、一緒に何かを経験してみる、ということは、その弱さを克服するための、有効な手段の1つです。聖心で大切にしている奉仕活動は、まさにその手段の1つでしょう。夏休みも近づいてきました。サマーショートボランティアやワークキャンプなどに参加してくれる方もいらっしゃいますね。地区の奉仕活動もあることと思います。経験することで初めて得られる気づきを、大切にしてください。互いに互いの価値を認め合い、「私と違う」ということにこそ価値を見出せる女性に成長してくれることを願っています。これで、宗教朝礼を終わります。
S.N.(社会科、地歴・公民科)

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