シスター・先生から(宗教朝礼)

2020.09.02

2020年9月2日の宗教朝礼から

 みなさんは自分の今までを振り返ってみて、願いが叶ったこともあれば、願いが叶わなかったこと、自分の思い通りにいかなかったこともあると思います。

 おそらく、みなさんが昨年の今ごろ、思い描いていた1年後とは大きく異なる今を過ごしています。一方、このコロナ渦だからこそ、みなさんが得られたことはどんなことでしょうか?家族と話す時間がとれたこと、読書に時間を費やせたこと、ゆっくり自分と向き合えたこと、新しい何かに挑戦できたこともあるかと思います。私自身は、家にいる時間が増えたことを機に何か習慣を変えてみたいと思い始めいくつか目標を立ててみました。その例が、夜のジョギングと早朝オンライン会話です。走ることはあまり好きでなかったのですが、ジョギングを続けてみて目標とする距離・時間を伸ばして少しずつ達成する喜びを重ねるだけでなく、何より基礎体力がついて体の調子が良くなったことが最大の効果です。オンライン会話では、アメリカ・イギリスだけでなく、世界各地の人たちとの会話の中で、コロナ渦でどんな生活をしているのか、教育がどのように維持されているのか、政策の背景にある社会情勢、価値観などを知ることができました。いくつか立てた目標の中で、まだ達成できていないものもあるので、まだまだ挑戦が続きます。

 私が尊敬し共感している女性の一人に、Facebook初の女性役員、最高執行責任者(COO)であるシェリル=サンドバーグという女性がいます。彼女を最初に知ったのは、『LEAN IN 女性、仕事、リーダーへの意欲』とう書籍でした。女性が社会で活躍することをテーマに、TEDでもスピーチをしています。(英語の勉強にもなるので、特に高校生におすすめします。)私は彼女の、大企業重役としての鋼のような強さというより、一人の女性として日々葛藤する中、自分の物事の捉え方、見方を変えながら問題を解決していく姿、二人の子育てと仕事の両立に奮闘しながら、一歩踏み出す姿に共感していました。その彼女が、5年前に最愛のご主人を失くし、精神的な支柱を失う悲しみの底から、立ち直る様子が、『OPTION B(オプションB) 逆境、レジリエンス、そして喜び』に記されています。最良の選択(オプションA)がかなわず、次の最善の選択(オプションB)を選ばざるを得ない時、その逆境からどのように立ち直ればよいのかのヒントが描かれています。

 シスター大原もよく「社会に出たら思い通りにいかないことも多くある。その時にどのように対処するのかが大切である」とお話ししてくださいます。またヘレンケラーの言葉の中でつぎのようなものがあります。

 「 しあわせのとびらがひとつ閉まると、別のとびらが開く。
でも閉じたとびらをいつまでも未練がましく見ていると、自分に開かれた別のとびらに気づかないことも多いのだ」

 オプションAではなく、オプションBを選ばざるを得ない時、「神様が与えて下さったことには、意味がある」と、神様に信頼することは大切です。合わせて、日々の学び、人との関わり、体験の中で、自分と向き合って努力し続けることは、自分の選択肢をより豊かしてくれることに繋がっていくでしょう。将来めぐってくる人生の分岐において、オプションAだけでなく、次の最善、オプションBやオプションCをより良いものに変えていく力になるのです。
 各クラスで、委員会・係、クラス目標が決まってきました。すでに高校3年生を中心に急ピッチで始動している団体もあります。学校行事、奉仕活動、海外体験など、例年とは異なる学院生活ですが、オプションBをより最善に、より最良にしていきましょう。一人ひとりが、今選択できる最善を求めて、冷静に状況を判断し、柔軟に頭を使い、自ら進んで仲間にはたらきかけながら、学院目標『実行力を養う~ Let Peace Begin With Me ~』に向かって過ごされることを期待しています。
                                                        T.H.(英語科)