シスター・先生から(宗教朝礼)

2020.10.14

2020年10月14日放送の宗教朝礼から

 この週末も、日本列島に台風が近づきましたが、皆さんのお住まいでは被害などはありませんでしたか。私たちは今、疫病や災害など、多くの困難の中で生活しています。この困難は自分たちで乗り越えていかなくてはなりません。そして、助け合っていかなくてはなりません。

聖書の中にも「神はあらゆる苦難に際してわたしたちを慰めてくださるので、わたしたちも神からいただくこの慰めによって、あらゆる苦難の中にある人々を慰めることができます。(コリントの使徒への手紙2.1.4)」という箇所があります。神様は私たちがいま困難の中にあることを、神様が気遣ってくださっていることがわかります。自分たちで乗り越えていくためには、状況を知り、迅速な正しい判断をして行動をするということなのではないでしょうか。
例えば、現在は新型コロナウイルスの流行によって、新しい生活様式を送ることになりました。今となれば、当たり前なことですが、三密を避ける、人との一定の距離を保つ、マスクをつける、食事はしゃべらずになど・・・これは、コロナウイルスは「飛沫感染をする」という情報を知っているから、正しい判断による行動となっています。
  さて、最近、豪雨災害が頻繁に起こっています。今から、水害について「知る」ということをしてみたいと思います。「観測史上初」とか、「今までに体験したことがないような」というキーワードをよく耳にします。今年の8月に、東京のJR渋谷駅の地下のさらに地下に大きな貯水施設が完成したそうです。地面から25メートル下にあり、普段は私たちの生活には見えてこない場所ですが、豪雨が起きたら、こちらに4000トンの水を貯めることができる施設です。都市部では、降った雨水は地下にある下水管に流れ、川や海に流されるけれど、ゲリラ豪雨のような短時間で降る雨に対応しきれず、下水管の許容量を超えてしまい、街中に雨水があふれ出てしまうということになるのです。ニュースでマンホールから水が噴き出している映像とかを目にすることがよくありますが、この現象でしょう。この施設によって、地下水に水が流れるのを少しでも減らすことができるそうです。水害から守るものと言えば、ダムや堤防などが有名ですが、地下貯水施設を作る都市部が増えたり、地下に人工河川を作っている所もあるそうです。
 そもそも、なぜ、豪雨災害が多いのか。地球温暖化により、長期的な気温の上昇にともなって、大気中の水蒸気が増えることが原因ということはよく言われています。雨をもたらす低気圧などの強さが変わらなかったとしても、水蒸気が多いことでその分、雨の量も増えるようです。水害は、最近に始まったことではないのです。日本最古の堤防が作られたのはいつでしょう。時代は古墳時代まで遡ります。日本最大の前方後円墳「大山古墳」で知られる仁徳天皇が「日本書紀」に、淀川の洪水や高潮を防ぐことを目的として「茨田堤」を築いたとの記述があるそうです。大昔から水害とは付き合ってきていることになります。昔は、日本の国土の地形の大半が山間地であることが原因だったでしょうが、現在では、これに加えて、地面がアスファルトで舗装されたことにより雨水を処理しきれなくなることからの下水の逆流、地盤沈下により海水面より低い土地で生活していることなども影響しているようです。
 今回、色々な角度から、水害ついて知りました。現状を知ることでより強く、地球温暖化を食い止めるためにどのような行動をしようとか、地形や歴史、環境を知ることで、災害が起こりそうなときにどのような行動をすることが大切なのか、見えてくるはずです。知ることの大切さを感じます。
私たちは、災害だけでなく、多くの困難と共に生きています。日々の学びの中で「知ること」を大切に生活し、様々な場面で求められる正しい判断と正しい行動ができるように心がけていきましょう。
A.S.(数学科)