シスター・先生から(宗教朝礼)

2021.05.26

5月26日放送の宗教朝礼から

 おはようございます。これから宗教朝礼を始めます。

 先日の体育大会はいかがでしたか? 2年ぶりの体育大会、体育委員や団長、副団長を中心に皆さんが力を合わせて活躍する姿には、本当に胸の突かれる思いがしました。皆さんが一つ一つの競技や準備、後片付けに真摯に取り組む姿はとても輝いていました。その輝きを今後の活動においても増していってほしいと思います。
さて、本日、このような機会をいただき、何を話そうかとずっと考えていたのですが、先日、研修会に参加させていただきましたので、そこから学んだことを分かち合いたいと思います。
 先日、私は「学校における子どものレジリエンスの育成について」というテーマで講義を受けてきました。皆さんは「レジリエンス」という言葉を知っていますか? 「レジリエンス」とは「精神的回復力」「立ち直り力」という意味の言葉です。トラウマや大きなストレスを受けたときに回復する力、立ち直る力といわれています。この力は誰もが持ち、誰もが学び、発展させることができる力だそうです。皆さんは日ごろ、どのようなストレスを感じていますか? コロナ禍での先の見えなさ、お友達との関係、学校での勉強のこと、一人ひとりが多くの悩みを抱えていることと思います。「レジリエンス」はそのようなストレスによって落ち込んだ時、そこから立ち直るための力です。
 それでは、「レジリエンス」を育むためにはどのようにしたらいいのでしょうか? 研修会では、これから申しあげることにより育むことができるとおっしゃっていました。「つながりを築くこと・人助けの経験をすること・毎日の日課を守ること・ひと休みすること・セルフケアをすること・目標に向かって進むこと・自分を肯定すること・事実を正しく捉え、楽観的な見通しを持つこと・新しい自分に出会うこと・人生に変化はつきものだと受け入れること」このようにたくさんの方法が紹介されましたが、ここで皆さんに特に紹介したいのはこのなかの1つです。
それは「つながりを築くこと」です。当日配られた資料にはこのように書かれていました。「レジリエンスを育てるコツ つながりを築く 相手の気持ちを考え、相手の痛みを理解しようとしましょう。友達を作るために、自分から声をかけましょう。人とのつながりは、社会的な支えとなり、レジリエンスを強化します。」皆さんは、今日、誰かに自分から声をかけましたか? 誰かに笑顔を向けましたか? まだでしたら、これから誰かに笑顔で話しかけてみてください。マザーテレサは「平和は微笑みから始まります」という言葉を残しました。私たちは相手の気持ちを考えて自分から行動をすることで「平和」というつながりを築くことができるのかもしれません。そのつながりのなかで互いに支えられて立ち直る力「レジリエンス」を大きく育てることができるのかもしれません。
 少し、私の体験談を紹介したいと思います。私が学生時代、特に落ち込んだのは受験に失敗したときでした。寝ても覚めても失敗したことばかり考えて、まったく先のことを考えることができず、他の学校の受験準備をすることもできず、ただただ落ち込んで友達と目を合わせることもできずにいました。当時私は寮生活をしていたのですが、そんな中、優しく支えてくださったのが寮長をしていたシスターでした。その時のシスターの口癖は「気にしない、気にしない」でした。あのとき、シスターがどうしようもない私を受け入れてくださったから私は行き場を失わないですんだのだと思います。今の私があるのはあの時、シスターをはじめ多くの方々が支えてくださったお陰だと、今でも思います。
 このように私はシスターとのつながりにより、失敗から立ち直ることができました。これが「レジリエンス」です。
一つだけ、私の体験談を紹介させてもらいましたが、この体験のほかにも周囲に支えられていることはありますし、気づいていないところでもたくさんの方々に支えられているのだと思います。場合によっては、私から見たら嫌な体験も支えとなっているのかもしれません。
さまざまな方々とのつながりを大切にし、一緒に「レジリエンス」を育てていきませんか? そのためにも、まずは自分から周囲の方々に笑顔で話かけてみましょう。笑顔で話しかけられたら笑顔で話を返して、互いに「レジリエンス」を高めていくのはいかがでしょうか。
そして、誰かがつらいとき、悲しんでいるとき、落ち込んでいるとき、互いに支えあえる人間関係をつくっていきましょう。私自身も、かつて自分が支えてもらったように、今度は私が周囲の人を支えることができたらと思っています。なかなか難しいことではありますが、私もまずは笑顔で話しかけるところから始めていきたいと考えています。
 今週の金曜日は聖マグダレナ・ソフィアの祝日です。「たった一人の子どものためにもこの学校を建てたでしょう」という言葉を残した創立者に思いをはせるとともに、今目の前にいる方々、影で支えてくださっている方々、多くの方々とのつながりを改めて大切に思い返してみるのはいかがでしょうか。
 これで宗教朝礼を終わります。
M.S.(国語科)