シスター・先生から(宗教朝礼)

2023.05.24

2023年5月24日放送の宗教朝礼から

これから宗教朝礼を始めます。
おとといの体育大会、みなさんのひたむきな姿、充実した笑顔が鮮明に思い出されます。新型コロナによる行動制限がほとんどなくなり、コロナ前の姿がようやく戻ってきました。今年の体育大会、例年以上にすがすがしい充実感が伝わってきました。
-各色中1から高3までをリードし、鼓舞する団長、副団長
-ダンス、競技の練習で下級生の練習を支える上級生
-遅い時間まで、ヨハネパウロホールで団旗を作りつづける高3
-リーダーを支え、自分ができることを精一杯しようと東方西走するメンバーたち 
全力で行事を作り上げた姿があったからこその感動だったと思います。

時間には制限があり、もっと練習したい、もっと時間があればと思った人も多かったでしょう。
社会では、思い通りいかないことの方が多く、限られた時間、条件の中で最大限の努力をすることが求められますが、大きな行事はまさに、それを体験する場だったと思います。

高校生は日常の勉強もことさら大変です。自分のことを優先したい気持ちも大いにあったと思います。もしかすると、やらない理由を見つけることは簡単だったかもしれません。時に自分のことを後回しにし、仲間、下級生のために時間とエネルギーを注ぐことは、簡単ではありませんね。100歳を超えても、現役の医師として医療に従事した日野原重明医師は次のように言っています。「ほかの人のために時間をつかうということは、自分の時間がうばわれて、損をすることではないのです。それどころか、ほかのことでは味わえない特別な喜びでこころがいっぱいにみたされるのです」

京セラ、KDDIの創業者として日本の経済を牽引し、日本航空JALの再建に尽力した実業家、稲盛和夫氏も「瞬間、瞬間を完全燃焼すること。その点の連続が未来につながる」と述べています。下級生の中にも、委員会の仕事、係の仕事など自分の役割に尽力した人もいるでしょう。惜しみなく人のために尽くした経験は、将来みなさんにとって財産になります。

まもなく中間試験が待っています。いったんは自分自身と向き合い、勉強にベストを尽くしてください。試験が終わったら、次の行事にむかって、周りを見渡し、自分のできること、人のためにできることを増やしてください。

さて、日常生活の中で、同級生の間でも、リードする側とリードされる側では、互いに理解し合えないことがあることもあります。大きな行事など上下級生の交わりが多くなる時、関りがうまくいくこともあれば、うまくいないことも顕著になります。上級生、リーダーの姿にあこがれをもつこともあれば、厳しさを学んだ人もいると思います。いつの時代も同じです。好かれようとすることは簡単。でも関わりが増えるほど厳しくても伝えたえなければいけないことが増え、責任感ゆえに、言葉にするのは勇気が必要かもしれません。

一方、下級生の中には、伝えられたメッセージがその場ではすぐに理解できなかったり、言葉の背景に気づかないこともあるかもしれません。自分が上にたつ立場になったとき、下級生をリードする立場になったときに、その言葉の背景に、はじめて気づくこともあります。ですから背中をよくみて、追い続けてほしいと思います。

やさしさとは何か、与えるとは何か、守りたいものがあるとき人が変わることを教えてくる絵本を紹介します。宮西達也さんが描いた「おまえ、うまそうだな」という絵本です。肉食恐竜のティラノサウルスが、生きるためにはほかの恐竜をたべなければいけないのですが、ある日、他の恐竜の赤ちゃん食べようとしたら、赤ちゃん恐竜が父親と勘違いをして慕ってくる。2頭の恐竜のふれあいを描いています。守りたいものができたティラノサウルスが、いとおしくなってしまった相手だからこそ伝える、生きるために厳しさと、本質的な優しさとは何かを教えてくれます。

学院では暦の都合で明後日をお祝い日としていますが、明日5月25日は創立者聖マグダレナソフィアの祝日です。聖マグダレナソフィアバラは、私は「優しさにあふれたの人」だったと感じています。世界各地に送り続けた書簡の中には、聖心の学校を社会から守るために、時に厳しいメッセージも送っていますが、、厳しさの後ろには、宛先の相手大切にしている愛がありました。創立者にならって、本質的な優しさに根差して大切な人と関係を築きつづける私たちであることを願いたいと思います。

これで宗教朝礼を終わります。                                       ( T・H 英語科)