シスター・先生から(宗教朝礼)

2023.06.21

2023年6月21日放送の宗教朝礼から

 おはようございます。これから宗教朝礼を始めます。

今週の金曜日はみこころの祝日です。カトリック教会では6月を「みこころの月」としていること、みこころとはイエス様のこころ、自らを犠牲にして私達を愛するこころのことだと宗教の時間や朝礼で学び、皆さんは今どのようにその日をお迎えするのか奉仕活動などの準備をしていると思います。けれども、みこころの祝日とは単に自分の時間を奉仕活動に捧げる日なのでしょうか。
  2014年の不二聖心ホームページでシスター大原は聖心会第6代総長ジャネット・スチュアートのお言葉を引用なさいました。ジャネット・スチャートは語っています。
「私たちは、子どもたち一人ひとりが人生の使命を負っていることを忘れてはなりません。それが何であるかは、私たちにも子どもたちにもわかりません。しかし、私たちは、一人ひとりに人生の使命があること、それを見つける義務があること、神のための特別な仕事があり、それをしなければやり残されてしまうこと、人生の中で他の誰にも埋められない場所があることを知り、それを信じさせなければなりません...私たちの子どもたちと自分自身に、自分の才能が持つ責任を思い出させなければなりません。私たちは、自分の才能を土に埋めず、興味あるところに置かなければなりません。その理由は、それが神のものであるということで十分です。(ジャネット・E・スチュアート)
みこころの祝日は私たちが神様がお示しになるミッションに気づくきっかけとなる日の一つです。私にとってもそうでした。私の不二聖心での旅はまさにこの日に始まったからです。初めて迎えるみこころの日、私は奉仕活動として山の家のお掃除が担当でした。何人かの上級生と山の家に向かった私達を待っていた作業はお手洗い、しかも和式のお手洗いのお掃除でした。私もあなた達とほぼ等しく、それまでお手洗いのお掃除をしたことはなかったのでお手洗いの前で呆然としてしまったことを今でも覚えています。冬の間あまり使われることがなく締め切った日が多かっただろう山の家はなんとなく薄暗く、窓を開け、新鮮な空気を入れてもなお私の心はこれからしなくてはならないお手洗いのお掃除でとても憂鬱でした。その時に引率をしてくださったのは不二聖心の前前前校長先生でいらしたシスター岩井でした。シスターはぼんやりとしていて気の利かない風情の私達に「さあ、これでお掃除をしましょう。」と声をかけながら一人一人に雑巾を渡されました。もちろんゴム手袋を着用してもよいとのことでしたが、雑巾を持ち私はお手洗いの前に立ちすくんでいました。そんな生徒の様子を気にも留めず、シスター岩井はすぐにお手洗いにしゃがんで素手で雑巾をお持ちになり磨き始めらしたのです。黒い修道女の服を着てかがんでお掃除をしていらっしゃるお姿に私は、これは続かなくてはならないのだと何かを駆り立てられたかのように素手で雑巾を持ち掃除を始めました。抵抗はあったものの始めてみるとどうっていうことはありません。夏に山の家をお使いになる方々が気持ちよく過ごせるようにと心を込めてお掃除しました。シスター岩井は私たちの姿をご覧になり、とても素敵な笑顔で「そうね、それでいいのよ。良い一日になりますね。」と励ましてくださいました。その時の私にはそのお言葉で充分でした。とても良い気落ち、幸せな気持ちになって帰宅しました。これが私の初めてのみこころの祝日、そして聖心での旅の始まりでした。その後もシスター岩井は校内でお会いするたびに笑顔でご挨拶をしてくださいました。その声の温かさと笑顔に何度励まされたことでしょう。私にはシスター岩井のかがんだお姿、声こそがイエス様のみこころとなり、お手本となり、気づきとなりました。それは今まで自分が知ることがなかった一歩を踏み出した瞬間でした。
みこころの祝日の日にあなたの汗がどなたかを幸せにする。そしてあなたも満たされ、何かを発見する、金曜日はそんな一日になってほしいと願っています。
これで宗教朝礼を終わります。
Y.S.(英語科)