不二聖心からのお知らせ

2026.05.27

2026年5月27日放送の宗教朝礼から

  先日の体育大会では、限られた時間の中で精一杯準備や練習を行い、当日も様々な制約がある中で、全力を尽くした皆さんの姿に心を打たれ、たくさん元気をもらいました。皆さんを見ていて、「限界のある状況の中でも、知恵を使って工夫を凝らすことができます」「骨惜しみせず働くことができます」という「18歳のプロファイル」の言葉を思い浮かべました。

 この言葉を自分の生き方で示した人たちに、私は以前出会ったことがあります。今から15年前、2011年、東日本大震災があった年のことです。私は縁があって日本難民支援協会が主催する「難民と行く災害ボランティア」という企画に参加しました。この企画は、日本で生活している難民の方々が、自分たちを受け入れてくれた日本の人たちに恩返しをしたい、災害で避難している人々の役に立ちたい、という想いで実現したものです。私が参加した日程では、ミャンマーや中東出身の難民6名に日本のスタッフや学生ボランティア、留学生を含めた23人で岩手県陸前高田市に行き、清掃や炊き出しなどを行いました。最初は、被災地に行って自分にできることがあるのか、難民の方々とうまくコミュニケーションがとれるのか不安でしたが、実際に現地に行ってみると、仲間の行動力にたくさん助けられました。
 陸前高田で最初に行った活動は、津波の被害を受けた畑の清掃でしたが、いきなり問題が発生しました。畑の中にトラクターのような機械が埋まっていて、それを撤去しないと清掃ができない状態でした。色々と道具は持ってきたけど、埋まっているトラクターを掘り起こすなら重機が必要で、今日は諦めて帰るしかない、という結論になりかけた時、難民の方が「ここにあるもので動かせますよ」と言いました。よく見ると周囲には木材がたくさん落ちていました。ぬかるんだ地面に何本か木材を差してトラクターの下に入れて、みんなで木材をぐいっと押すと、トラクターが持ち上がり、撤去することができました。「てこの原理」は知識としては知っていましたが、ここでそれが使えるなんて思いつきませんでした。今までいかに机の上だけの勉強しかしてこなかったのかと反省しました。
 炊き出しのボランティアでは、難民の方の中に料理が得意な方がいて、避難所で生活をしている方々に料理を作ることになりました。キャンプ場の調理場を借りて調理を始めようとしたら、包丁が刃こぼれしたり錆びたりしてそのままでは使えませんでした。このときも最初は、諦めようかという雰囲気になりましたが、メンバーの一人が、砥石になる石を屋外で見つけてきてくれたので、無事に炊き出しを行うことができました。後で私たちも少し食べさせてもらいました。疲れがたまり、参加者の雰囲気が少し暗くなっていた中で、温かい料理のおかげで、みんなの顔に笑顔が戻りました。この料理を作ってくれた方は、本名も出身の国も明らかにできない方でした。難民の中には、政治的な理由で迫害を受け、避難先でも命の危険がある方がいます。そのため私たちは難民の方と写真を撮ったり、連絡先を交換したりすることが禁止されていました。そのような危険がある中でも、被災した人たちのために自分の力を役立てようとされた姿が心に残りました。
活動の最終日に、難民グループのリーダーの方からかけていただいた言葉は、今でも折に触れて思い出されます。「私たちは日本人を尊敬しているし、感謝もしている。でも君たちは学生だから、言っておきたいことがある。日本には立派な会社人はたくさんいるけど、本当の社会人は少ないように感じる。」
「会社人」と「社会人」のちがいは何だろう、今の自分自身の在り方はどちらなのだろう、この問いは私の中で今もずっと宿題になっています。
 今週末には聖マグダレナ・ソフィアの祝日があります。他者のために物惜しみせず尽くした創立者の精神に触れ、自分自身を見つめ、生き方を考える一日にしていきたいですね。
以上で宗教朝礼を終わります。
M.O.(社会科 地歴・公民科)