校長室から

2013.04.16

第2回 中高別朝礼の話(4月15日・16日)

連日のように朝鮮半島をめぐる緊張したニュースが流れています。皆さんも心を痛めつつ、関心をもって見守っていらっしゃることでしょう。

 現韓国大統領の朴槿惠(パク・クネ)氏は、ソウル聖心で中高時代を過ごした方です。昨年、彼女の自伝『絶望は私を鍛え、希望は私を動かす』(2012年 晩聲社)の日本語訳が出版されました。在学当時、父の朴正煕(パク・チョンヒ)氏も大統領でしたから、青瓦台から聖心に登校したこと等も書かれています。また一年間の寄宿生活の様子や聖心の制服を来た写真も掲載されています。

 彼女は、大学もまたカトリックの西江大学という学校に入りました。大学卒業後に留学したフランスのグルノ-ブルは聖フィリピン・ドゥシェーンが生まれ育った町ですが、この留学中に母を(文世光事件1975年8月15日)、その5年後に父を(朴正煕暗殺事件1979年10月26日)亡くしました。いずれも政治的な背景から凶弾に倒れる、という壮絶な最後でした。

  「絶望は私を鍛え、希望は私を動かす」――、これは彼女の生き様そのものを表す言葉ですが、私たちにも通じるメッセージがあるように思います。誰でも絶望的な思いにのみこまれそうな時がある、けれど明けない夜はない。絶望までいかなくても、日々の生活において、気にそまないこと、嫌なこと、大変なことを引き受けなければならないことはしばしばある、けれど、それらが自分を鍛え得ることを私たちは経験的に知っています。今よりもっと成長したいと願うなら、マイナスに思える事柄とどう向き合うかが鍵なのかもしれません。

 また新しい一週間が始まりました。皆さんは、どんな気持ちで今日一日を始めようとしていらっしゃいますか?希望を感じている方もあれば、大変だな・・・という気持ちの方が強い方もあるかもしれません。どんなに大変に思える日であっても、丁寧にみると必ずどこかに希望の光はあります。たとえ小さくても希望につながる光に導かれて、今日を始めましょう。