校長室から

2021年01月

2021.01.26

紅梅の香に


 木の花は濃きも薄きも紅梅  清少納言『枕草子』


 築山の紅梅が咲き始めました。高校三年生の時に、突然の病で天に召されたひとりの生徒のご両親の思いがこめられたものです。命の尊さについて学ぶ中学一年生の宗教の授業では、必ずこの梅の木の話もいたします。11月の追悼ミサでは彼女のご遺影も飾られ、全校で祈りを捧げます。私自身、生前の彼女に会ったことはないのですが、とても身近な存在に感じています。

 学院が大好きであったという彼女を思わせるように、苗木は本館前の築山にしっかりと根付きました。毎年、青空に映える濃紅梅色と香りが、私たちの目を楽しませ、心を和ませ、学院での生活の一瞬一瞬を大切にするようにと語りかけてくれています。
        

2021.01.18

すくすくと

 学院アーカイブに「すくすく」という名称の寄宿舎からのお知らせが保管されています。現在の「寄宿舎便り」にあたるものですが、異なるのは、「すくすく」が寄宿舎の先生方と寄宿生とで一緒に発行されていたという点です。

 1982年3月16日に発行された記事の中に、発刊当時、寄宿舎の主任であったシスター菅野敦子の次のようなものがありました。


 草花がそうであるように、春先には、様々に込められた人の「念」の種子が蒔かれるものです。いつしか芽を出し、開花し、実を結ぶ日を期待しつつ、生徒の歩みを見守りたいもです。



 学院も年度の終りに向かう中、私自身は高校3年生との面接を終え、中学3年生との面接に入っています。一人ひとりの生徒に込められた神様の「念」の種子が花開くようにと願いつつ、成長の軌跡に耳を傾けています。

 

2021.01.12

早春の香り

  キャンパスのあちらこちらに、春の季語とされる蕗の薹が顔を出しています。雪の多い地方では、白い雪の下に緑鮮やかな蕗の薹ですが、ここ富士の裾野では枯葉の下に隠れていることが多いです。そこにあると知らずに踏まれても、育ちゆくたくましくさ。古来、日本では邪気を払うとか、体に刺激や活力を与えるとされ、早春に食卓を飾ってきました。修道院でも、野草独特の苦みを楽しみながら、皆で早春の味覚を楽しみました。


土の香も携へて来し蕗の薹   稲畑汀子


 今日から、学院生活が再開されました。生徒たちの生き生きとした生命力に満ちた姿が学院に戻ってきた様子は、まさに春の到来のようです。多様な地域から生徒がつどっていること等も考慮し、授業はハイブリット型(対面とオンラインから選択できる形)で進めてまいります。多くの学校が再開されるこの時期に、全ての児童・生徒たちがコロナ禍から守られるよう祈ります。

2021.01.05

アーカイブ・ウイングにて

 創基100年を祝う本年度、中学一年生は学院のアーカイブ室で学院史にふれています。過去を思うだけではなく、海外や日本の姉妹校についても学びながら、世界5大陸に広がる姉妹校生と共に歩んでいることをも実感しています。(下の写真は、展示されている姉妹校のグッズを着用している様子)

 コロナによるパンデミックのさなかにも、海外姉妹校に留学する生徒たちの中には、帰国させられることなくお世話してくださった学校も多くありました。この1月以降も、姉妹校留学制度やそれ以外の形態で、一年間の留学に出発する生徒達がいます。

 ニューヨークやパリで働いた岩下清周(不二農園創設者)、ヨーロッパに長く留学した岩下壮一(温情舎初代校長)、そして海を渡って日本にやってきた聖心会のミショナリーのシスターたちによって創られた学院のDNAともいうのでしょうか、どんな状況にあっても、未知なる世界や異文化に開かれたフロンテイア・スピリットは鮮やかに息づいています。

2021.01.01

新しい年に

 謹んで、初春のお慶びを申し上げます。

 富士を眺めつつ、皆様のご健康とご多幸をお祈りいたします。


あまそそる 富士の高ねし くれないに
はゆるあしたは 
さやけかりける…

  「不二聖心女子学院校歌」より