校長室から

2015.02.05

共生き(2015年2月5日)

今年の1月17日は、阪神淡路大震災からちょうど20年でした。私も、被災者の一人です。当時は、駆け出しのシスターとして、兵庫県宝塚市にある小林聖心女子学院で働いていました。中高生は無事でしたが、小学生がひとり亡くなりました。本当に悲しい出来事でした。

高1のゆり組の担任であった私は、その年、高1の現国・古典・宗教を受けもっていました。震災後、学校が再開された頃、学院として「この経験を何かの形で残しましょう」ということになりました。あやめ組、ばら組の担任と話し合い、高1は生徒全員に短歌を書いてもらうことにしました。一人が3首程度を作って持ち寄り、その中から各担任が一首、『震災短歌 共生き』という歌集にまとめました。ミドリが学年カラーの生徒達でしたので、緑色の用紙に印刷して全員に配りました。私にとって、どんな有名な歌人の歌集も及ばない一番大切な歌集です。

     みんながね 無事ならばいい それだけで 心に響く 母のことばが

その中の歌の一つです。「命の大切さ」を身をもって体験した者同士、多くを語る必要はありませんでした。困難を体験した分、より思いやりのある生徒たちに育ってくれたと思います。

「復興の歌」として大切に歌い継がれてきた「しあわせ運べるように」という歌があります。作者は、神戸市立吾妻小学校で音楽を教えていらした臼井真先生。東灘区の自宅が全壊し、先生ご自身も被災されました。そんな中、子供たちに希望を与えたいとこの曲を作られたそうです。

     地震にも負けない 強い心をもって 亡くなった方々のぶんも 毎日を大切に生きてゆこう 
傷ついた神戸を元の姿にもどそう 支え合う心と明日への希望を胸に  
響き渡れぼくたちの歌 生まれ変わる神戸のまちに 
届けたいわたしたちの歌 しあわせ運べるように

小林聖心の小学生が聖堂で歌う画像がHPに掲載されています。
http://www.nhk.or.jp/kobe/shiawasehakoberu/entry/list/obayashiseishin.html

朝礼でこのような話をした直後、一人の先生が、被災後に小林聖心から不二聖心へ転校してきた生徒について話してくださいました。同じスピリットのもとで温かく迎えていただいたことがわかり、聖心は一つの家庭であると改めて思いました。