校長室から

2021年04月

2021.04.27

Silent Walk Ⅰ

 先週、中学1年生と、新旧ルルド、聖心会のお墓、岩下家墓所付近のサイレント・ウォ-クに出かけました。今回は「Heart Story」(創基100年記念 キャンパス巡礼ガイドブック)の19~20、23~26ページにあたる箇所を歩き、聖心の教育に生涯を捧げ今は天国で生徒達を見守ってくださっているシスター方が眠るお墓で、お祈りをしました。

ちょうど同じ日に、聖心女子大学初代学長マザーエリザベス・ブリットについてのシスター増田の記事がブログに掲載されていましたのでご紹介いたします。
http://srsmrscj.blogspot.com/2021/04/blog-post_4.html


 「学び」とはあなた自身から生まれるもの、外から与えられるものではありません

 Catherine Elizabeth T. Britt


2021.04.20

母の会製作レインコート

 母の会により、昨年度の母の会役員の方々が考案してくださったレインコートが、販売されることとなりました。近年、気候変動の影響もあって豪雨が続く日も多く、制服がひどく濡れてしまうことあるのが気になっていました。また、コロナ禍で、より健康面へも配慮が必要とされること等もふまえ、検討の上で導入されることになったものです。フードがついているので、小雨には傘なしでも対応できそうです。生徒には、ウエスト部分がドローストリングになっているとことが人気です。コンパクトに折りたたんで専用ポーチに入れて携行することができますので、校外学習にも便利と思われます。

19都道府県から生徒が集う本学院は、通学におけるニーズも様々です。自家用車通学をしている方々や寄宿生(半数以上)には、必ずしも必要でない場かもしれません。希望者対象に販売されますので、ご家庭でご検討いただき、本当に必要と思われる方々にご購入いただけたら、と思います。

お母様方が考えてくださるものは、いつも大変好評です。生徒や学院のために、いつも心を砕いてくださる母の会の役員はじめ保護者の皆様に、心から感謝申し上げます。

2021.04.13

創立者の絵本

 創立者マグダレナ・ソフィア・バラについて書かれた本はたくさんあります。本年度から、中学1年生に“Saint Madeleine Sophie Barat”(Marian Gabriel Galan, rscj)という英語の絵本も配ることにいたしました。もともとはスペイン語で書かれたものの英訳です。この本は、次のような言葉で締めくくられています。


This story does not end here. 
Though she died on May 25, 1865, Mother Barat continues to live in the heart of each student of the Sacred Heart, students whom she loves, and students for whom she prays.


 今年のイースターには、修道院の聖堂で2人の方々の洗礼式も行われました。お二人共、洗礼名に創立者のお名前を選ばれました(「マリア・マグダレナ・ソフィア」「マドレーヌ・ソフィー」)。お一人は寄宿舎の先生です。

新しく入学した生徒たちの中にも、創立者の思いが息づいています。 

2021.04.07

不二聖心女子学院 2021(令和3)年度 学校目標

~魂を育てる~  Courage et Confiance!


キリスト教の人間観に基づいた人間の全領域にわたる教育

 聖心女子学院の教育は、キリスト教の精神に基づき、「魂を育てる」「知性を磨く」「実行力を養う」の各領域においてバランスよく成長し、「社会に貢献する賢明な女性」として成長していくよう準備します。これら3つの領域が統合されていくためには、生徒・教職員が、各領域を自分自身と関連づけながら学院生活を送ることが必要です。不二聖心女子学院では、毎年、一つの領域に焦点をあて、3年間の中で教育方針をスパイラルに深めていきます。今年は「魂を育てる」という扉から入る年です。(「聖心女子学院の18歳のプロファイル」中の「魂を育てる」の項目参照)

そして、本年度の学院目標を、"Courage et Confiance!"〔「勇気と(神への)信頼」の意:フランス語〕といたします。これは、私たちの創立者 聖マグダレナ・ソフィア・バラ(1779年12月12日-1865年5月25日)がたびたび使われた御言葉です。

⑴ ソフィア・バラの生涯から  
ソフィアが「修道者になりたい」という希望を家族に打ち明けたのは、1793年3月であったと言われます(現在の中学1・2年生にあたる年齢)。同年10月には、マリー・アントワネットがパリのコンシェルジュリーに投獄され、処刑されました。フランス革命は、ブルボン王朝と結びついていたカトリック教会にも大きな打撃を与えました。カトリック教会は排斥され、フランス国内のすべての修道院は閉鎖、ソフィアが洗礼を受けたサンチボー教会は商いの場と化し、司祭を志していた兄ルイは逃亡生活の末に投獄されて処刑を待つ身でした。
ジュワニーの生家(現在はCentre Sophie Baratとして聖心会が運営)を訪ねると、ルイが隠れていた屋根裏部屋に通じる場所で、当時のバラ家が置かれていた状況を担当のシスターが説明してくださいます。すぐ横にはソフィアが使っていた部屋があります。彼女が、子ども心にも時代の重い空気を肌で感じとっていたことは想像に難くありません。
1795年秋、ソフィアはこの年に解放された兄ルイと共にヨンヌ河からセーヌ河へと続く3日3晩の船旅でパリに向かいます(現在の中学3年生・高校1年生にあたる年齢)。彼女がパリで生活した家も残っています。1800年、20歳の時に新しい修道会(後の聖心会)の創立にかかわり、23歳の若さで院長に選ばれ、やがて総長となりました。帰天するまでの63年間に、幾度となく、聖心会や聖心学院の存続を危うくするような嵐を経験しました。

"Confiance!"~神への深い信頼のうちに
ソフィアが生まれ育ったジュワニーは、キリスト教信仰の長い伝統をもつブルゴーニュの西北にあります。現在もワインの産地として有名なこの地には、美しいぶどう畑が広がっています。信仰深い家庭で、両親の愛を受けて育ったソフィアは、ヨハネ福音書15章にあるように、「まことのぶどうの木」であるイエスにつながってこそ「豊かな実を結ぶ」ことを心に深く刻みながら成長しました。
総長マグダレナ・ソフィアを描いた御絵には、十字架と聖心会会憲を手にとり神に心を向ける姿がかれたものが多くみられます。イエスの聖心(みこころ)から力を汲み取り、子どもたちの教育を通して世界をよりよく変容していくという使命を生き抜いた姿のシンボルのように思えます。
カトリック教会において「聖人」(せいじん)とは、生涯をかけてキリストの愛の模範に忠実に従い、その教えを実行した人たちに与えられる称号です。ソフィアも帰天後、バチカンで聖人の位に上げられ、聖ペトロ大聖堂にその名が刻まれました。大聖堂に安置された聖女のご像は、傍らの「少女」を見つめるというモチーフで表現されています。この少女は、ソフィアにとって特別な存在であった聖心女子学院の子どもたち、すなわち、今、ここにいらっしゃる皆さんお一人おひとりを表しています。「私の中には二つの炎が燃えている。イエスの聖心(みこころ)に対する愛の炎と、子どもたちに対する愛の炎です」(マグダレナ・ソフィア・バラ)

"Courage!" ~祈りに根差した行動力
聖心女子学院で学ぶ皆さんは、創立者 聖マグダレナ・ソフィア・バラを通して神様から与えられた使命を生きるよう招かれています。それは、イエス・キリストの聖心(みこころ)を学び、それを生涯の中で生きることです。創立以来、多くの人々によって、この使命のバトンはつながれてきました。
皆さんが良く知っていらっしゃる緒方貞子さんもその一人です。緒方さんは聖心女子大学一回生で、初代学長マザー エリザベス・ブリットから多大なる影響を受け、在学中に洗礼を受けました。緒方さんが国際社会に力強く示した地球規模の課題と解決に向けての行動は、神の愛に根差した内的な力に支えられたものであったのではないでしょうか。「文化、宗教、信念が異なろうと、大切なのは苦しむ人々の命を救うこと。自分の国だけの平和はありえない。世界はつながっているのだから。」(緒方貞子)
2021年5月13日から2023年4月27日までの約2年間、聖心グローバル・プラザで、「緒方貞子さんと聖心の教育」というテーマで特別展示が始まり、6月にはオンラインで国際シンポジウム「緒方貞子さんの思いを受け継ぐ」が予定されています(聖心グローバル共生研究所企画)。シンポジウムのプレゼンターの一人は、WFP(国連世界食糧計画)で働く本学院の卒業生です。これらの企画も、"Courage et Confiance!"への理解を深めることにつながるでしょう。

今年のイースター(復活祭)の教皇メッセージの中で、フランシスコ教皇は、新型コロナウイルス感染拡大に対して「世界の一致」を呼びかけられました。コロナによってもたらされた様々なレベルの課題に目をとめつつ、学院として、個人として、またご家族の中で、何ができるのかを考え、賢明に行動してまいりましょう。皆さんお一人おひとりの新年度の日々に、イースター(復活祭)の祝福が豊かにありますように

2021年4月7日 始業にあたって

不二聖心女子学院校長 大原 眞実

2021.04.01

多様性の中で培われるもの

  2020年のノーベル平和賞に、世界各地で食糧支援を行っている国連WFP(世界食糧計画)が選ばれたことは、記憶に新しいのではないでしょうか?WFPは、ローマに本部を置き、1961年に設立された食糧などの人道支援を目的に創設された国連の機関です。

今年、オンラインで行われた授賞式で、WFP事務局長デビッド・ビーズリー氏は、スピーチの中で、「 このノーベル平和賞のメダルに刻まれている“平和と兄弟愛”というアルフレッド・ノーベルの精神にのっとって、彼ら全員を食べさせてあげましょう。 食は平和へと続く道です。」と述べました。
https://ja.wfp.org/news/wfp-chief-urges-world-use-its-wealth-prevent-famine-nobel-acceptance-speech

本学院の卒業生にも、WFPで働く人がいます。彼女は、中学3年生の「卒業研究」で地雷問題に取り組んだことが国際協力の場で働きたいと思ったきっかけだったそうです。また。思春期に、様々な考えをもつ同級生との寄宿舎生活を通して、互いの違いを受け入れ共に生活した経験は、現在、多文化のチームで働くことに、とても役立っていると述べています。