校長室から

2020年11月

2020.11.23

Heart Story

  今月、創基100年記念キャンパス巡礼ガイドブック”Heart Story”が発刊されました。学年の周年誌とは異なるため、比較的自由に考えて作ることができました。裾野市の情報誌『SUSONO STYLE(すそのスタイル)』に倣い、棚の中に置いておく立派な冊子ではなく、身近に携行して読めるようなものをと考えました。

私が聖心会のノビスとして過ごした修練院や大きな修道院は、今は壊され、寄宿舎となりました。アーカイブのシェルドン・コーナーは、マザーダフの院長室であった時代もあるようです。当時の形は失われても、祈りがしみこんでいるように思います。

今は、ここにいらっしゃらない方、天国にいらっしゃる方も含め、皆で作ってきた「不二聖心女子学院」というハート・ストーリーを、これからも皆で丁寧に書いていきたいです。物語の主人公は、いつも、生徒たちです。

2020.11.16

未来への旅

 コロナ禍のため、高校2年生の研修旅行は、フランス「ルーツへの旅」から、沖縄・種子島「未来への旅」に替えて実施する方向で準備が進められています。下見で訪れた種子島宇宙センター宇宙科学技術館で、土井宇宙飛行士の次のような言葉に出会いました。


 スペースシャトルに乗っている私たちにとって、ふるさとと言えば地球しかありません。アメリカも日本もウクライナもインドも、それらの国がどこにあるかは見えなくとも、この地球が私たちのふるさとなのです。(土井隆雄)


 沖縄での平和学習、種子島での宇宙への学びから、生徒たちが生きていく未来についての考えを深め、一人ひとりが神様からいただいている使命を再認識し、勇気と力をいただくような旅にしたいと願っております。

 

2020.11.09

諸聖人の月に

  長く校医として支えてくださった女医先生が帰天されたとのお知らせをいただきました。静かに聴診器をあててじっと耳を澄まされる様子が、お祈りのようだと思うような先生でした。丁寧に人の身体に聴き、神様に聴いて、診察後に言葉を授けてくださっているように思われ、診察室での時の流れが他とは違う印象でした。

heal(癒す)は、ギリシャ語のholosが語源で、「本来の姿に戻る」という意味があると言います。長い間に、どれほど多くの生徒たちが、本来の力を回復するための助けとなってくださったことでしょう。寄宿生に何かがあれば、昼夜・休日を問わず、診てくださいました。不二聖心をとても大切に思っていてくださった先生ご夫妻に、学院も修道院も言葉で表しきれないほどにお世話になりました。

お父様にあたる先代の院長先生は、温情舎初代校長の岩下壮一と親交があったと伺ったことがあります。馬に乗って、御殿場までいらしていたそうです。壮一が校長を務めた温情舎から100年の記念の年に先生が帰天されたことに、深く感じるものがあります。感謝のうちに、これからも天国から学院を守ってくださると信じています。

20201109校長室

2020.11.02

秋のつどい「100 for 1 ~新歩~」に寄せて

 例年、11月3日に実施される「秋のつどい」(学院祭)が、明日に迫りました。本年度は、オンライン開催となります。

 コロナ禍で9月以降もハイブリッド授業が続く中、秋のつどいのために実質的に動き出すことができたのは9月上旬からでした。前期期末試験も迫る時期です。新しい生活様式や時間的制約の中で準備に入った生徒たちを心配していた私の思いが的外れであったことを、目の前に現れた秋のつどい委員長の姿勢が教えてくれました。彼女の表情は、学院史上初のオンライン秋のつどいが開催できることへの感謝に溢れ、新たな試みを楽しんでいるように見えました。他の委員や顧問の先生方も同じであったと思います。前向きなリーダーシップのもと、生徒も教職員も、短い準備期間ながら、制約ではなく可能性に目を向け、「新歩」というスローガンを胸に今日まで進んでまいりました。

 保護者の皆様には生徒たちの思いを汲み取っていただきながら、学習活動の一端をご覧いただけたら、と思います。今回は、一般公開は致しませんが、何らかの形で様子をお伝えできれば、と願っております。なお、生徒達への贈り物として、11月3日(秋のつどい)を発行日とする創基100年記念ハンドブック「Heart Story」を作成いたしまた。後日、お配りする予定です。