シスター・先生から(宗教朝礼)

2017.11.08

2017年11月8日放送の宗教朝礼から

これから宗教朝礼を始めます。

今日は「行い」と「形」をキーワードにお話ししたいと思います。

高校生の時、歌舞伎役者が生徒向けの講演会に来てくださいました。当時、若手だった歌舞伎役者で、より若い人にも歌舞伎を理解してもらいたいと新しいことにも挑戦している方でした。そんな彼が、新しいものを生み出したいからこそ、歌舞伎に伝統的に伝わる、決まった基礎的な動き、「型」を徹底して身につける鍛錬を怠らないようにしている、話してくださいました。「型」を身につけてこそ、新しいものが生み出せるというのです。伝統と新しさは相反するようですが、より新しく、より良く変えていこうとするときに、そのものが本来持っている「型」、そのものの本質と向き合う謙虚さが大切であることを、教えてくれました。

もう一つ、高校時代の記憶に残るエピソードを紹介したいと思います。高校1年生だったあるホームルーム朝礼のこと、担任の先生がいつもとは違った厳しい表情でおっしゃいました「形から入ることも大事です」。○ 推測の範囲ですが、やんちゃで、思ったことをすぐ口にする人が多い学年だったので、きっと先生に「形」より「中身」が大事だと、生意気に訴えた生徒がいたのだと思います。先生は、その時、他に多くを話されなかったように記憶していましが、でも、その時の先生の表情、語気、気迫から、15歳少しの当時に私たちにとって、その短い経験値では測り知れないもの、私たちがその後出会う人生の中で、理屈でなく大切なことを伝えてくださろうとしていたことを察しました。

「心が変われば 態度が変わる/ 態度が変われば 行動が変わる / 行動が変われば 習慣が変わる / 習慣が変われば 人格が変わる / 人格が変われば 運命が変わる / 運命が変われば 人生が変わる」

この言葉を耳にする生徒もいると思います。心が変わることで、態度が変わり、態度が変わることで行動が変わります。そしてまた、行動を変えようとすることで、態度が変わり、態度を変えようとすることで心もついてくることもあるのだと、伝えたいと思います。

秋のつどいが終わり、昨日から球技大会の練習が始まりました。放課後の限られた時間に集まって練習する姿、クラスの黒板などで学年の団結を促す文字を見て、みなさんのパワーと、この行事を通してみなさんがまた成長していくこと、将来、仲間と学生時代を振り返って一生懸命がんばった記憶の1ページとなるのだろうと予感し、微笑ましく、満たされた気持ちになります。情熱をもって、周りと力を合わせて目標に向かうことが、一つ一つの学校行事を楽しむ秘訣だと思います。ぜひ力を合わせてがんばってください。そして、ここでも「形」は大事です。ルールやマナー、そして感謝の気持ちを忘れずにがんばってください。運動系クラブの中には、クラブ練習後にコート端に並んで、礼をして終わるクラブもあると思います。練習をするコートがあること、共に練習する仲間がいること、練習できる健康な身体が今日もあったことに、声に出して感謝を伝えることをぜひ心がけてください。形に表すことが、きっと仲間との関わり、プレーに向かう姿勢、プレー自体を良くしてくれると思います。

さて、今日は各クラスで、プラクティスを決める日です。クリスマスに先立つ4週間をカトリック教会では「イエス様の誕生を待つ期間」待降節として、心の準備をします。静けさのうちに、沈黙や周りの人への優しさを心がけた目標を決めて、守ることで、クリスマスに向けた心の準備をしましょう。プラクティスは、私たちが身近ななことで努力したい「形」「行い」を守ろうとする大切な期間です。各クラスで、心をこめてプラクティスが決められること、待降節を過ごせることを願っています。

(英語科 T.H.)