シスター・先生から(宗教朝礼)

2018.01.24

2018年1月24日放送の宗教朝礼から

  不二聖心の生徒の魅力を尋ねられたら、あなたは何と答えますか?

私なら、「行動力」と答えます。特に誰かのために行動をおこすパワーのすばらしさを挙げたいと思います。
 日々の生活の中でもそれは感じることができます。荷物を持っていると、「先生、お持ちします」と声をかけてくれる生徒がいます。バスの中で、立っている人の荷物を座っている人たちが持ってあげることもあります。入口付近で目上の方に道を譲ったり、階段で下の段に立ったり、小さなことでも思いやりの心が行動となっています。中には、“やらなくてはいけない”という気持ちの人もいるかもしれません。でも、それが習慣となれば、知らないうちにあなたの行動の基準となり、あなたの人柄を形作っていくのです。
 不二聖心の生徒たちの行動力が、私の心に深く刻みつけられた経験があります。23年前のちょうどこの頃のことです。
 23年前、つまり1995年1月17日の出来事はみなさんも知っていますね。阪神・淡路大震災が起こった日です。今年も追悼の催しが行われ、ニュースでも報道されていました。
当時の「新聞不二」には、次のように書かれています。
     1月17日の兵庫県南部地震と、これに伴う阪神・淡路大震災では死者行方不明者は5,400人以上、また避難所生活を強いられた方々は一時32万人にも及びました。
     宝塚市にある小林聖心も地震の大きな被害を受けました。ロザリオヒルに建築された木造の研修等の一部が半壊したほか、聖堂の窓ガラスが割れたり、図書館の本が散乱、教室のヒーターもほとんど倒れて使用不可能になってしまったそうです。
    
 この時、不二聖心では温情の会を中心に募金を行い、わずか2日間で30万円を超す募金が集まりました。この募金は3回も行われ、総額80万円近くになりました。
 実は不二聖心ではとても早い対応をしました。地震の翌日、当時の校長でいらしたシスター奥井と田中先生が水と牛乳を何箱も持って、小林聖心に向かったのです。【シスター奥井は現在ソフィア・バラ・センター(本館)のコーディネーターでいらっしゃいますし、田中先生には高校生が体育を教えていただいていますね】新幹線から在来線に乗り換えましたが、西宮北口からは電車が運行しておらず、お二人は2時間以上も線路の上を歩いていかれました。水と牛乳を背負ってです。途中であまりの重さに、必要な人に譲ろうかという話も出たそうですが、お二人は最後まで支援物資を小林聖心にお届けになり、シスター方に大変感謝されたということでした。
 これだけではありません。2月になると、高校3年生と先生方が順番に三ノ宮中山手教会や神戸市・芦屋市で泊まり込みでボランティアに赴いたのです。宿泊場所は港に停泊しているフェリーです。卒業式を間近に控えた高校3年生の希望者13名が、2泊3日で次々と現地に入ったのです。この時のことをUさんは次のように書いています。
   

 一日目の夜、夜回りに行って出会った方の中に田上さんというおじさんがいました。地震で焼け出され、今は路上生活です。お話を聞いてみると、それまで神戸駅の近くのマスダアパートに住んでいたとのこと。罹災証明証書をとるには身分証明書と住所が必要ですが、田上さんは身分証明書もなければ住所も知らないと言いました。この件を任された私は生まれて初めて110番をし、神戸駅付近の交番につないでもらい……生田署へ赴き、地図で探し……自転車で神戸駅の交番へ行き、そこでやっと神戸駅とはかけ離れた所にマスダアパートを見つけました。……知らない神戸の町で地図を片手に、一人のおじさんのために走り回った……

彼女はこの経験を「自分の判断力と行動力が大いに試されるもの」だったと言っています。

 先生方も延べ13人の先生方が現地に行かれました。授業をやりくりしながらの強行軍です。当時、不二聖心に来て4年目であった私はというと、募金に参加したもののボランティアに行くことはできませんでした。授業のやりくりができなかったこともありますが、なにより勇気がありませんでした。ボランティアの経験もなかったし、どう動いていいのか見当もつかず、自分が役に立つという自信がありませんでした。お恥ずかしい話ですが、教員1年目の時、御殿場コロニーでのワークキャンプ(2泊3日)に参加したのですが、初めてのことに対応できず、だんだんと食欲がなくなってしまって、ちゃんと働けたという訳でもなく、ましてや引率としても頼りない状態でした。
 ボランティアに参加した生徒や先生方はいろいろ忙しい中でも、誰かのために時間を使い、身体を使い、心を使ってくださいました。その機会はきっとあなたたちの身近にもあるはずです。求められた時に応えられる行動力、気づいて動く心配り――これらを、私自身もそしてあなたも持つよう、心がけていきましょう。

M.H.(国語科)