シスター・先生から(宗教朝礼)

2018.10.17

2018年10月17日放送の宗教朝礼から

 おはようございます。これから、宗教朝礼を始めます。

私たちは、日々大きな変化に直面しながら、生活をしています。フィリピン・ドゥシェーンやマグダレナ・ソフィア・バラが過ごされていた時代も、このような大きな変化の中にあったことと思います。フィリピンやソフィーがこの現代にいらしても、このような変化になど左右されることなく、柔軟な判断力で前進されたことでしょう。私たちも変化の時代を生きるために、変化に敏感でありたいと思います。
先日の読売中高生新聞に、新時代ワード100という記事がありました。例えば、AI、無人コンビニ、空飛ぶ車、ゲノム編集、深宇宙探査ゲートウエイ構想などがありました。耳にしたことが、ありますよね。漫画の世界のような空飛ぶ車についての記事をある日の新聞の一面で見たときには、本当に驚きました。空飛ぶ車は、2020年代の実用化を目指しているとのことです。こうなったら便利だなということを実現している現代は、第4次産業革命のただ中であることを示しています。
現在、私たちが当たり前のように使っている日本語は、明治時代に欧米の文化や考え方を吸収する過程で誕生した言葉が多いようです。この言葉、翻訳語の誕生に大きな貢献をしたのが、福沢諭吉や夏目漱石などだったそうです。見たこともないものや概念を示すのに、それを表す言葉がないと困るので、言葉は新たに誕生していきます。現代は、ネットですぐにいろいろな人と繋がることができ、新しい言葉が誕生しやすい環境にあるかもしれません。今年の1月、10年ぶりに国語辞典の広辞苑が改訂されました。新しい広辞苑第7版には、10万語の候補項目の中から厳選され、「スマホ」や「ツイート」、「ふるさと納税」、「朝ドラ」などの現代生活に必須の新語1万語を追加収録したとのことです。言葉も時代に合わせて、大きな進化をしていることがわかります。この新聞の新時代ワード100に掲載されている言葉が、将来どれだけ私たちの生活の中で定着するのでしょうか。次回、広辞苑が改訂されるのは10年後位でしょうか。今、新時代ワードとして取り上げられている言葉から、どのくらいの数の言葉が、残っているのでしょうね。
さて、新時代ワードにもあったAI、これは、大量のデータを分析して答えを導き出したり、人のように学習したりするコンピューターのプログラムのことです。AI時代に向けて、私たち人間はどのような力を育んでいったらよいのでしょうか。人口知能に頼ってばかりで良いはずがありません。それには、論理的な説明力が必要だと言われています。たとえば、地図を説明するのに、どのように説明しますか。筋道を立てて順序よく1つずつ説明しますね。論理的な説明力とは、そのような力です。ある県の高校入試で、地図を見ながらおじいさんに道案内することを想定した文を書く国語の問題が出題されたのですが、半分の生徒が0点だったそうです。論理的な説明力を伸ばしていくためには、説明文を丁寧に書けるようにするといいそうです。皆さんが学んでいる日々の学習の中にも、このような力を鍛える学びがあると思います。例えば、どの教科にもあると思われますが、私の専門である数学で見てみると、計算式を丁寧に書く。これも説明力の1つです。よく、途中式も書かずに、「答えがあっていればいいですか。」と質問されることがあります。その説明がきちんとできるのなら書けば良いのです。この式が等しい→だから次の式を作ることができる→これを繰り返し→答えに行き着く。普段当たり前のように計算をしていると、このようなことに気づきにくいですが、いつも以上に丁寧に書くことが大切なのです。文章題を解くときには、説明を文章で書くということをしても良いのかもしれません。文章で説明することは、国語の問題だけではなく数学でもできるのです。これもひとつの訓練と思い、やってみてください。また、先日、期末試験の答案返しもありました。点数に左右されるのではなく、自分にどれだけの実りがあったのかを見てください。今、そのテスト問題を見て、しっかりと説明ができますか。説明ができれば、大きな実りがあったことになります。各教科、テスト直しをしていることと思いますが、ただ直すのではなく、説明できるような直しをすることを心がけてください。そして、お友達同士で教え合うこと、これはこの論理的な説明力を伸ばすチャンスだと思います。これにも取り組んでみてください。
大きな変化に直面する時代を生きる私たちは、様々な知識をしっかりと自分の中に根付かせ、成長させ、柔軟な判断力につなげて、前進したいものです。これからの時代を切り開いていく皆さんの学びが、大きく実りますように。
これで、宗教朝礼を終わります。
A.S.(数学科)