シスター・先生から(宗教朝礼)

2019.02.06

2019年2月6日放送の宗教朝礼

 宗教朝礼

おはようございます。これから宗教朝礼をいたします。
私は理科室での授業が大好きです。明るい壁と広々とした空間。黒板を開くとスクリーンがあり、プロジェクターで画面を簡単に映すことができます。授業の流れの中で生徒にこれを見せたい、ふと思いつくと近くにいろいろな教材があり、見せることができます。また、教師用の実験台が広く、時々、ほかの学年の教材があるとそれに興味を持つ生徒たち。下級生のものだと「懐かしい。〇〇の分野だよね。」と声があがります。上級生の教材だと「これはね・・」と説明をしたりもできます。休み時間に早く来た生徒たちが棚の中のものを見て「これはなんですか?」とか、「これ知ってる!」とか。そんな反応もうれしく感じます。
 この理科室ができて5年になります。その前の理科室は傷だらけでところどころ溶けている実験台、暗い教室、木でできているため開かない引き出し。床はいよいよ腐り始めていたり。薬品のにおいが立ち込めて理科室に入ると誰もが「臭い」と思わず言っていました。私も苦手でした。なんと、不二聖心に小学校があったころから使われていたという、最先端の科学の基礎を学ぶ教室が最も遅れていたとは・・それを知ったのは、小学校から不二聖心に通っていた、ある保護者の方が公開授業のとき、古い理科室に入り「懐かしいわ・・小学校のときから変わっていない。」とおっしゃったときです。「変えなくては!」と強く思いました。そんな極めて使いにくい理科室でした。
 そんな古い理科室を中学1年生の1年間、理科の授業で使った最後の学年が高校3年生の皆さんです。担当は私でした。
その、不二聖心の小学校があった時代から変わらない実験室でたくさんの実験をしましたね。授業では、20人少々の人数で、皆さんはいつも元気な反応をして、本当に目が輝いていました。水の入ったメスシリンダーに沈むプラスチック消しゴムを見て、計算上では密度が1以下になり、どこに間違えがあったか大論争をしていたグループがあり、まさにアクティブラーニングの実践でした。このように、楽しく実験する姿がいつもありました。
大掛かりな理科室のリホームは理科の先生たちが中心になり、より使いやすい、実験しやすい空間を目指しました。ほかの学校の理科室を見学に行ったり、いくつかの専門業者の意見を聞いたり、公立中学で理科を指導されていた先生の話を聞いたり、私も勉強させていただきました。
生徒が入りたくなる明るい教室で、教材や実験用具など物の多い教科ですので、片づけやすく5人の理科の先生が実験道具をできるだけ出しやすいように、何より生徒たちが安全に使えるように・・などなど。
その年の春休みから2つの準備室を片付け始めました。どこから手を付けていいかわからない大昔からの遺物を思い切り捨てるのも大変なエネルギーを使いました。理科室の廃棄物はおおむね再利用できません。ラベルの取れた薬品、壊れたままの教材など。薬品類は専門業者へ。取扱いに悩むものを正しく廃棄することの困難さを知りました。
次の年の夏休みに大々的な工事を経て夏休み明けから新しい理科室を使えるようになりました。つまり、高校2年生の方は中学1年生の9月からは新しい理科室を使用し始めました。覚えていらっしゃいますか?
春休みに取り壊すことが分かっている理科室なのに、当時の高校3年生、現在の高校3年生のエンジェルさんの学年の方々は、卒業前の校内奉仕活動で、理科室の掃除に来てくれました。なかなか落ちないさびだらけの流しをピカピカに磨いてくれました。長い間大きな事故もなく使われた施設に感謝の気持ちが私もわいてきました。
理科室のリホームにおいて、少々残念に思うことが1つあります。それは古い理科室や準備室の写真などの記録を残してないことです。このことは極めて私の個人の思いです。ここに何があったか、どんな使われ方をしていたのか、私の記憶から消えてしまったことが多いのです。私の存じ上げない不二聖心の理科の先生方の知恵を消去してしまったのかしら・・と申し訳なく思うこともあります。
古いものから新しいものに変わるとき、それが今までとは違い便利だったり何か興味を引くものだったりすると、古いものを忘れていきます。そしてやがて新しいものも古くなります。それでいいのかもしれませんが、今使っている理科室は間違えなくあの古くて臭い理科室があったから存在しているのだ、と思い今後も感謝の心を忘れずに使用していきたいと思います。
これで、宗教朝礼を終わります。
                                 K.O.(理科)