シスター・先生から(宗教朝礼)

2019.02.20

2019年2月20日放送の宗教朝礼から

 おはようございます。これから宗教朝礼を始めます。

 先週末は高校の卒業式が行われました。ひと言では言い表せないほど素敵な卒業式でした。卒業生代表のことばからは、多くの感謝を感じ取ることができました。卒業生の歌では、近年まれにみる上手さで圧倒されました。3月の新聞不二に詳細は掲載されると思うので楽しみにしていてください。
私と今年度の卒業生は、長く深い付き合いでした。中学2年の一年間、担任として学校生活を共に過ごしました。彼女たちにとって中学2年の一年間は、決して平坦な道のりではありませんでした。思うように自分を表現できず、お互いにぶつかることもありました。また、悩み、苦しみ、コンプレックスに負けてしまいそうなときもありました。しかし、行事での団結力は優れており、学年で活動する時に手を抜く人がいないそんな学年でもありました。何事も一人で解決せず、話し合い、お互いの存在を認め、良いところを受け入れ、高め合いながら一歩一歩成長していったことを覚えています。中学の時の心配をよそに、彼女たちのこの1年の活躍は目を見張るものがありました。体育大会、秋のつどい、クリスマス・キャロルなど、どの行事でもリーダーシップを発揮し、下級生に的確な指示を出している姿は輝いていました。エンジェルとして優しさだけでなく、時には厳しく指導して下さることもあり、中学の時には見られなかった強さを感じました。6年間彼女たちを見てきて、身体的な成長はもちろんのこと精神的な成長を多く感じました。悩み多き中学時代があったからこそ今年一年輝き続けられたのではないでしょうか。
 聖書の中に、「聞くだけで行わない者は、土台なしで家を建てる人のようだ」(ルカ6:49)という箇所があります。私たちは、いくらよい話を聴いて感動しても、実際に行動に移さないと自分自身の成長にはつながりません。
彼女たちは、中学2年の祈りの会で人の話を心で聴くこと、友人の大切さを学びました。そして、学んだ事で満足するのではなく、実際に実行に移す努力をしました。困っている人がいると自ら歩み寄り、一緒に解決していく策を考えました。この6年様々な話を聴き、行動に起こすことで、しっかりとした家の土台を築けたことと思います。
また、彼女たちは高校生になり、中学の時には課題であった、積極性というものを身につけました。クラブや委員会活動など、自分の活躍できる場所を見つけ、前向きに物事をこなす力を身につけました。欅坂の中で多くの卒業生があっと言う間の6年間だったと感想を述べています。中学2年の時には、早く卒業したいと言っていた彼女たちの心を変えたことは何だったのでしょうか。あっという間だと感じられたのは、そこに充実感があったからだと思います。彼女たちは、何か新しいことを始めるとき、中学の時には「ダメかもしれない」というネガティブ思考でしたが、高校生になり、「やってみよう、きっと大丈夫」とポジティブ思考に変えることができるようになりました。同じ物事を行うときにも気持ちの持ち方一つで良くも悪くもなります。後で後悔することが無いよう今を一生懸命楽しんでというメッセージを彼女たちは残してくれました。私は彼女たちとの関わりで多くの事を学びました。
 皆さんは、卒業生からどのようなことを学びましたか。皆さんが憧れる素敵な上級生はどのような方ですか。人は皆多くの過ちを犯します。欠点のない人はいません。彼女たちも例外ではありませんでした。しかし、彼女たちは、自分の過ちや欠点を認め、直そうと努力しました。自分の欠点を他人から指摘されることや、それを自分自身で認めるということは苦しいことです。でもそこにこそ、人としての成長のきっかけがあるのだと思います。失敗が多ければ多いほど、それだけ人として成長できるのです。彼女たちのさらなる活躍を心よりお祈りしております。
 さて、皆さんは、この1年どのように成長しましたか。成長していない人は一人もいません。
授業やクラブ、委員会活動、学校行事を通して知識や技術が増え、今までできなかったことができるようになりました。また、友人との距離が上手にとれるようになったことも成長の一つです。しかし、この1年の経験が必ずしも楽しいものばかりではなかったはずです。日々の学習や人間関係で悩み、もがき、苦しんだ方も多かったのではないでしょうか。
私は忘れたくないこと、素敵だなと思ったこと、その反対に自分の問題点や失敗したことなどを忘れないようにノートに記しています。この宗教朝礼を考えるにあたり、彼女たちが中学2年生の時に何を考え、どんなことに悩み苦しんでいたのか私の秘密ノートを読み返しました。この1年を振り返り、できなかったこと、失敗したことはきっと後の自分にとって大切なことに変わります。それらを克服するためには、自分の至らなさ、ふがいなさとしっかりと向き合うことが必要です。このような振り返りを繰り返すことで人は成長していくのです。自分が成長できる芽は、学校生活の様々な所に隠されています。4月からよいスタートを切ることができるよう、この1年をよい形で締めくくってください。成長とは新たなステージに進むために無くてはならないものです。
 これで宗教朝礼を終わります。
M.D.(数学科)