シスター・先生から(宗教朝礼)

2020.02.05

2020年2月5日放送の宗教朝礼から

 おはようございます。これから宗教朝礼を始めます。

不二聖心の生徒たちは長い間よく「聖心の子どもは一人で天国に行ってはいけません。」と言われ学校生活を送ってきました。最近はあまり聞かれなくなったこのことを今日はお話してみたいと思います。
まず、皆さんにとって天国はどのようなところですか?
辞書には天国は神や天使がいる理想世界、神から永遠の祝福を受ける場所、そこで暮らすものにとって理想的な世界とあります。つまりそこは悩みがない、心穏やかに過ごせる、幸せを感じることができる、非常に幸福な場所、そんなイメージでしょうか。天国はほとんどの人たちにとって素敵なところなのでしょう。それではなぜ聖心の子はそんな素敵な場所に一人で行ってはいけないのでしょうか。
聖心女子学院にはこのような生徒を育てたいという目標をまとめたものがありますが、その中に「骨の折れる辛い仕事を自分からすること。そして日頃、そのような仕事をしなければならない人々を休ませるようにすること。将来、どんな立場であってもどんな人の中にいても、その場で光をもとめる人となるように、異なる意見に耳を傾ける謙虚な姿勢、相手を尊重しながら共に歩みを進められる資質を持つこと。」とあります。このように聖心の生徒は自分一人が一人で良い思いをするのではなく、自分の意見を主張するのではなく、絶えず周囲、コミュニティー、社会をよりよくするために心を配れる人になることを求められてきました。
さて、もう一つ「聖心の子は一人で天国に行ってはいけない」のわかりやすい例が特3の壁に貼ってあります。それは昨年お亡くなりになった緒方貞子さんをしのぶというカトリック新聞のコラムで聖心会シスター鈴木秀子氏の文ですがここではそのまま引用いたします。シスター鈴木は緒方貞子さんのエピソードとして、「ある時は学生会長だったサダが小さなことから人のために尽くそうと学生たちに呼び掛け「例えば」と言って「洗面台も髪の毛1本も残っていないようにしましょう。それが人のために尽くすことです」と話しました。他の人と関係を結ぶとは、小さいことを積み重ねるということだというのです。今、隣にいる人と一緒に生きていることが世界の人と共に生きることにつながると彼女は考えていました。」と記しています。緒方貞子さんを上級生として身近に尊敬し、影響を受けてきたシスター鈴木ならではのエピソードですが、ここにまさに聖心の子らの生き方のヒントがあるのではないでしょうか。
昨日をふりかえってみましょう。朝、すれ違う、友人、上級生、職員の方々にしっかり挨拶ができましたか?元気がない、疲れて見える友人に元気よく微笑みながら「おはよう。」というだけで友人はエネルギーをあなたからいただくでしょう。反対に「おはよう。」と声をかけられても沈んだ声、表情でしぶしぶ「おはよう。」と言えばあなたはお友達の一日を地獄に送ることだってできてしまうのです。
 一人で沈んでいる人はあなたの周りにはいませんか?そっと声をかけてみませんか? あなたの一言で友達の一日は明るい日差しに満ちた一日になるでしょう。緒方さんではありませんが洗面台もきれいにしてみましょう。落ちているごみを拾いゴミ箱に入れましょう。教室の後ろに無造作に置かれている提出物も整えてみましょう。お掃除も言われるからするのではなく、誰かがやってくれるのを待つのではなく、皆が気持ちよく過ごせる空間にしようと動いてみてください。これらはきっとすぐにできる一人で天国に行かない第一歩です。
 最後に来週卒業していく高3の皆さん、不二聖心の外でもこのことを忘れずにいてください。あなた達の歩いた後に誰も気づかないような小さな光がさし、周囲を温かくする、そんな姿であってほしいと願っています。
これで宗教朝礼を終わります。
   Y.S.(英語科)