シスター・先生から(宗教朝礼)

2020.05.14

2020年5月15日の宗教朝礼から

  皆さんのいない教室では、静けさの中にチャイムの音がどこかさみしげに響いています。皆さんと会えない日々が続くと、教師にとって生徒たちの存在がどれほどの支えであるかに気付きます。このような状況になったからこそ、不二聖心の教師になることができて良かったと改めて感謝しました。

 この休校期間の初めの頃、シスター大原が職員朝礼などで「ピンチをチャンスに!」とおっしゃっていました。今回、教師も生徒たちもオンラインでの授業や課題の提出など新たな学習方法を学ぶことができました。オンライン学習では、より主体的な学習姿勢が必要です。今までの授業では教師が指導していたことも、皆さんの自主性が頼りです。これは勉強への姿勢を変えるチャンスです。「I do not call anything difficult a problem.  Rather, I call it a chance.」とマザーテレサの言葉にもあります。すべてがうまくいっているとき、楽なことは確かですが、成長はあまりありません。つらいときにこそ、自分を深く知ることができます。この試練が私たちを成長させるための恵みなのかもしれないと思うと、勇気が湧いてきませんか?
最後にフランス語文学のひとつ、アルベール・カミュの『ペスト』から私が希望を感じた一節を引用します。最近またベストセラーになっていました。
タルーは勝負に負けたのであったー自分でいっていたように。しかし、彼、リウーは、いったい何を勝負にかちえたであろうか?彼がかちえたところは、ただ、ペストを知ったこと、そしてそれを思い出すということ、友情を知ったこと、そしてそれを思い出すということ、愛情を知り、そしていつの日かそれを思い出すということになるということである。ペストと生とのかけにおいて、およそ人間がかちうることのできたものは、それは知識と記憶であった。おそらくはこれが、勝負に勝つとタルーの呼んでいたところのものなのだ!(宮崎峰雄訳、p.431)
 
 新型コロナウィルスによって私たちの生活は大きく変わりました。不安や不自由なことはたくさんあるでしょう。しかし、それを理由にしてしまっては負けることと同じです。ストレスで押し潰れそうなとき、アンジェラスの鐘の音を思い出してください。私たちは皆さんと一緒に祈っています。
私たちの心が愛で満たされますように。私たちの社会のために今も働いてくださっている方々に安らぎのときがありますように。
M.N.(外国語科)