シスター・先生から(宗教朝礼)

2023.11.22

2023年11月22日放送の宗教朝礼から

 おはようございます。これから宗教朝礼を始めます。

11月もあと1週間ほどで終わり、もう12月になります。12月に入るとすぐ何があるか、思い浮かべることはなんでしょう。今週発表になったので、あっと気づいた人もいるかもしれません。後期の定期試験ですね。計画を立て、少しずつ復習を始めている人、なんとなくわかっているけど、気分が乗らずにまだ何も始めていない人、様々だと思います。どうしてテストってあるんだろう、私も中学・高校生時代に何度も浮かんだ問いでした。
 なぜ同じテストなのに、あの人はあんなにできるのだろう、私とは能力が違うんだな、あの人はもともと頭がいいに違いない、私はやってもどうせできない、と思ったことはありますか。実はそれは大きな間違いです。人は、もともと持っている才能にほとんど差はありません。では、何が異なるのでしょうか。今日は、アンジェラ・ダックワースという女性の書いた著書「GRIT やり抜く力」について少しお話したいと思います。彼女は 近年、アメリカの教育界で重要視されている「グリット」研究の第一人者です。GRITとは、困難なことにも立ち向かう度胸を意味するGuts、苦境にもめげずに立ち直る復元力を意味するResilience、自ら目標を見つけて取り組む自発性という意味のInitiative、そして最後までやり遂げる執念のTenacityの4つの単語の頭文字を取って作られた言葉です。彼女は、大きな目標を達成している人、いろいろな分野で活躍している人は、必ず私たちの見えないところで、何回も小さなことを繰り返し行い、積み重ねを行っている、当たり前のことだけをしているのだと言っています。つまり粘り強く立ち向かう力が、大切だというのです。人がもともと持っている才能、これはある事柄を理解する速さだそうですが、この才能とともに繰り返しを行う努力をかけ合わせて、スキルが身についていくのです。そしてスキルを身につけてから、また更にたくさんの繰り返しをしていく努力を行うことによって、やっと目標達成へと繋がっていくのだと言っています。努力、やり抜く力は、才能以上にとても重要なものなのです。皆さんが社会に出て、何か大きな目標を立て、それを達成できるかは、一人ひとりの努力、やり遂げる力があるかどうかで変わってくるのです。今中学生のみなさんは一人ひとりが持っている才能と努力の繰り返しでスキルを身につけていくときであり、高校生のみなさんは中学の延長でスキルを身につけつつ、身につけたスキルを使って、自分の進学に向けてや、社会との繋がりを作り活動を頑張るなどの目標に向けて、日々の努力を積み重ねて達成することを目指しているときだと私は思います。
でも「努力する」と、文字や言葉で表すのは簡単なことですが、毎日やってみる、やってみようと思い、行動することを習慣化するまでが大変という人もいると思います。毎日やり続けるということを言い方を変えると「今日、たくさん頑張った」で終わるのではなく、「また明日もやってみよう」と思い続けられるかどうかということなのです。それが継続です。彼女は、本の中で、こんなことも言っています。「私の計算がほぼ正しければ、才能が人の2倍あっても人の半分しか努力しない人は、たとえスキルの面では互角であろうと、長期間の成果を比較した場合には、努力家タイプの人に圧倒的な差をつけられてしまうだろう」毎日のコツコツ行う繰り返しがどれだけ重要か、私も社会人となってかなり立ちますが、これからの私にとっても大切な考え方だと思わされました。どうすれば毎日「頑張ろう」「今日もやってみよう」と考えられるのでしょうか。それは考え方と粘り強さに関係すると本の中で言っています。まず、うまくいかなかったり、失敗してしまった時に、「自分には能力がないからだ、やっても無駄だ、無理だ」と悲観的に考える思考だと、途中で投げ出してしまうそうですが、「次はきっとうまくできる」と楽観的に考えられる、つまり心のリセットができるかということ。そして、これまでに何回難しい問題に挑戦してきたかによっても変わるとしています。簡単な問題にだけ取り組んでいるだけでは、突然難しい問題に出会ったときに、すぐにあきらめてしまう傾向にあるというのです。毎日を新しいこと、少し難しいと感じることに挑戦し続けることこそが継続・達成へと繋げられる方法なのです。考え方も、ただできないと考えるのではなく、「まだ」という言葉を付けるようにする、「まだ、できないだけ」「まだ努力がたりないだけ」というように思考を変えていくようにしてみましょう。まだまだこれからなのです。
 毎日、コツコツ取り組むことを続け、スキルをつけ、そのスキルを使っていつかは、社会のために、または誰かのために役立たせたいという想いに繋げられる、やり抜く力を身につけられたらいいなとこの本に出会い、思いました。みなさんはどう感じますか。定期テストをただの評価と考えるか、それともこれからの自分の人生において、自分の将来の目標達成に向けた充実したものにする訓練と思うか、楽しいと感じるほうはどちらだと思いますか。アメリカの元プロバスケットボール選手のマイケルジョーダンという人を知っていますか。彼はNBAで10度の得点王と5度のMVPを受賞した史上最高の選手の一人とされています。最後に彼の言葉を読んで終わりにします。 
どんなことでも、何かを達成する場合にとるべき方法はただひとつ、一歩ずつ着実に立ち向かうことだ
これ以外に方法はない
これで、宗教朝礼を終わります。  
  (数学科Y.M)