校長室から

2020.04.14

2020(令和2)年度 学校目標

 不二聖心女子学院 2020(令和2)年度 学校目標

実行力を養う ~ Let Peace Begin With Me ~

 不二聖心女子学院の生徒の皆さん、ご入学、ご進級、おめでとうございます。
本年度、学院では20都道府県からの生徒たちをお迎えしました。入学式はこれからですが、新入生の皆さんは、すでに学院の大切なファミリーです。エンジェルの高3の方々は、お会いできる日を想像しながら、ご自分のチャイルドのためにお祈りくださるようお願いいたします。
 新型コロナウイルス感染症の影響で、本来なら4月にマイアミの聖心で行われる予定だった「世界聖心校長会」(4年毎に開催)は、延期され、バーチャル会議に変更になりました。
 現在は、感染防止のため、人と人、地域と地域に、距離が求められる状況にあります。けれども、「心の距離」は近くありましょう。長い目でみた時、聖心がもつ多様性は、皆さんを大きく育んでいくことでしょう。狭い世界に留まらず、聖心の生徒としてのつながりを信じながら、お互いのために祈り合いましょう。
 どうぞ、しっかりと学習にも取り組んでください。急に課題学習・オンライン学習となり、戸惑うこと、スムーズにいかないこともあるかもしれませんが、先生方も一生懸命考えて動いています。ご一緒に、新しい学びの形を創り上げて参りましょう。
      
カトリックの精神に根ざした全人教育
 不二聖心女子学院では、カトリックの精神に基づき、「魂」「知性」「実行力」の各領域をバランスよく育み、「社会に貢献する賢明な女性」として成長していくよう準備します。学院では、毎年、一つの領域に焦点をあて、6年間でスパイラルに深めていきます。本年度は、「実行力を養う」を意識する年で、学院目標としては“Let Peace Begin With Me”を掲げることといたしました。

⑴世界の現実の中で
 いつもは、全校生が集った聖堂で始業式を行い学院目標についてお話するのですが、残念なことに、本年度は動画でお伝えする形となりました。世界の現実に目を向けてみると、たとえば、UNICEF(国連児童基金)は、世界の人口の40%(30億人)が水と石鹸で手を洗える環境にない家で生活し、世界の学校の47%にそのような設備がなく、世界の医療施設の16%は機能的なトイレや手洗い場所が備えられていないと報告しています。
 皆さんと同年代の多くの子ども達が、コロナウイルスの脅威の中にあって手洗いすらできない状態に置かれているということです。
 このような見えない世界の現実は、私たちに何を語るのでしょうか?

⑵祈りと生活との統合を意識して
 よくみると、社会の課題は、私たちの日常生活における態度や選択、人やものとのかかわりと根底でつながっていることに気づかされます。たとえばコロナウイルスに関してアジアの人々に対する偏見が取り沙汰されることがあります。私たち自身も、日々の生活の中で、根拠を確かめることなく、他の人々を決めつけたり、偏った見方をしてしまうことがあるのではないでしょうか。
 聖書は、「言葉や口先だけではなく、行いと真実をもって愛し合いましょう」(ヨハネの手紙Ⅰ3:18)と呼びかけます。けれども、祈りや思いが、実際の生活の中に統合されていくのはたやすいことではありません。創立者聖マグダレナ・ソフィアのお言葉によるなら、「洋服を着替えるように自分を変えることはできません」が、「神様からの恵みに信頼しながら、長い時間をかけて、自ら努力し続けることが必要なのです」。

⑶創基100年の恵みの中で
 本年度は、1920年に岩下家によって温情舎(学院の前身)が創立されてから100年目の記念の年です。初代校長の岩下壮一神父様はカトリックを代表する最初の思想家と言われた方ですが、キリストに倣い、あえて最も社会から疎外されていた方々のために生涯を捧げられました。 
 温情舎を創立した神父様のお父様 岩下清周の中には、女子教育への展望もあったと言われます。その後、人知を超えた神の計らいの中で、娘亀代子を通して、温情舎は不二農園とともに聖心に移管されました。以後、温情舎の精神は不二聖心女子学院の教育の中に受け継がれ、特に全校生が属する「温情の会」の活動の中に息づいています。
 創基100年の歴史に目を向けると、岩下家の人々、マザーエリザベス・ダフをはじめとするミッショナーの修道女たち、恩人、そして教育の実りである卒業生などの中に、平和のために具体的に働いた多くの先人たちの姿が見えてきます。

今年は、学院の歴史に思いを馳せつつ、一人ひとりが、“Let Peace Begin With Me”に取り組んでまいりましょう。今から聴いていただく歌が、私たちの決意を支えてくれることでしょう。

Let there be peace on earth and let it begin with me.  
Let there be peace on earth, the peace that was meant to be.   
With God Our Creator, family all are we.
Let us walk with each other in perfect harmony. 
Let peace begin with me, let this be the moment now.
With every step I take, let this be my solemn vow.
To take each moment and live each moment in peace eternally.
Let there be peace on earth and let it begin with me.  
 (Jill Jackson-Miller , Sy Miller ) 
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コロナショックのただ中にあって、私たちには、今、一人ひとりの意識と行動の変容が求められています。世界には連帯や共感の動きがある一方で、コロナヘイトや自国第一主義等も見られます。お一人おひとりの言動が周囲に及ぼす影響を考え、頭と心を使って、賢明に生活するようになさってください。
 修道院では、毎日、大切な皆さんのために、ごミサや祈りが捧げられています。
あなた方の「心と体の健康」を祈り、一日も早く、お会いできるようにと願う教職員、そしてシスター方の思いをお伝えして始業のメッセージといたします。
~あなたの行いは、言葉以上に、強い影響を与えていくでしょう~
マグダレナ・ソフィア・バラ

2020年4月 始業メッセージ(動画)より      
校長 シスター大原 眞実
動画で流した時に使用したスライドはこちら