校長室から

2023年07月

2023.07.28

祈りと感謝のうちに

 今年619日、聖心会第14代総長を務めたシスターパトリシア(Patricia García de Quevedo)が天に召されました。私がローマで終生誓願を立てた時の総長様でした。 

 フランス「ルーツへの旅」で、高校2年生全員を連れていくことにした最初の旅の時には、創立者の生家であるCentre Sophie Baratの責任者でした。パティは、創立者ソフィーの精神に根差した特別な旅の意味を理解し、また日本の子どもたちが心地よく過ごせるようにと心を配ってくださいました。英語、フランス語、スペイン語で、生徒たちはシスターと話しました。たいへん可愛がってくださる様子は、すぐに彼女たちに伝わりました。いつもならシスターに「おつぎしましょう」という生徒たちが、甘えてみたかったのでしょう、うれしそうにシスターからジュースをついでいただいていた姿等が思い出されます。

現総長様の追悼のお言葉の一部を紹介します。

A song speaks to me of our Paty. “Gentle woman, quiet light, morning star, so strong and bright. Gentle sister, peaceful dove, teach us wisdom, teach us love.” Thank you for being with so many of us in so many places, in so many ways. Kind and gentle, strong and deep, ever faithful, a woman of discernment. I know you will continue to be with us and help us be true to the spirit.  Barbara Dawson

不二聖心で学ぶ全ての生徒たちを、これからも天国から見守ってくださいますように。

2023.07.21

夏休みを前に

 気候変動の影響で、各地で、自然災害が起こり、多くの被災者が大変な生活を送っています。4月来、静岡県も、学院も思わぬ影響を受け、思いがけずオンラインに切り替え当たり不便な思いをすることもありました。とっさの時に、その人の強さや柔軟性等が問われるのですが、とても賢く対処してきた生徒たちを誇りに思います。

 今日は、夏休み前最後の全校集会、そして生徒たちが帰った後の職員会議で”Set Our Hearts on Fire”(本年度の学院目標)をもとに主体的な学びについて分かち合う機会がありました。保護者の方々と共に、生徒からも学びながら「将来性に溢れた未完成の作品」である彼女たちの夢を応援していきたいと願っています。

一人ひとりの人生には与えられた使命があり、
     それを見つける責任があることを、生徒たちが信じるように 
                               聖心会 第6代総長 ジャネット・スチュアート

 お休みの間も、毎日、修道院では生徒たちのために祈りが捧げられていることを伝え、子どもたちをご家庭にお返しいたしました。スクールバス、そしてたくさんのお迎えの車がキャンパスを出ていく様子を先生方と見守りながら。 

2023.07.15

ESD~森と茶園に包まれた学院として

 本日は全校保護者会・講演会等がありました。学院内の農園の茶園でとれた「ほうじ茶檸檬もなか」は今日のみの限定販売、完売しましたので、店舗をご案内しました。
ver1 https://www.youtube.com/watch?v=hzzn4Na9dR4 
ver2 https://www.youtube.com/watch?v=Y8mv1gsiZs8

 21万坪の広大な不二農園の敷地に建てられた学院は、創立時から自然との共生の中で教育が行われています。その一環として、高校1年生の総合的探究の時間に、ESDをテーマに主として気候変動や生物多様性の課題と向き合っています。キャンパス内の森を使い、矢作川水系森林ボランティア協議会の協力のもとで行われる「森の健康診断」や「間伐体験」、NPO法人土に還る木 森づくりの会による「植栽体験」等、本学院ならではのフィールドワークができるのも特徴です。静岡大学農学部等の先生による茶草場農法の講義、三井物産フォレストによる社有林の取り組みの紹介等、多くの方々とのネットワークのうちに、この探究学習は進められています。

 このプログラムをよりよいものにしたいとの思いもあり、昨日、東京農大を訪ねました。林産化学、きのこ学がご専門の学長様はじめ、地域環境科学部や生物産業学部の先生方から考えるヒントをたくさんいただきました。何より農学(Agricultural Science)が扱う領域の広さが新鮮で発想の転換がありました。いただいたパンフレットには「生命、食料、環境、健康、エネルギー、地域創生――幅広いフィールドの課題に取り組み、地球環境や社会をより良くする答えを生み出してい」く学問であると記載されています。今回の体験を何らかの形で今後の教育活動に生かしていきたいと思います。

 

2023.07.07

七夕の祈り

 今日の中学2年生の英語の授業で、短冊に英語で願いを書いて笹に飾るというのでのぞいてみました。一人ひとりの夢、世界への希望、日常の場で経験していること等をもとに、さまざまな願いが書かれていました。

 先日、上智大学の曄道学長様が来校され、講演会、交流会が開催、高大連携協定も結ばれました。今後、聖心女子大学にはない学部を中心に、教育的な連携が進められていくことになります。これは、中学生も含め全員の生徒たちの日々の学びに資するものです。来月には、東京理科大学で、不二聖心の生徒対象の宇宙についての講演会、数学博物館の見学、学生との交流、キャンパス・ツアーを開いていただけることになり、希望する生徒、保護者が参加いたします。私も伺うつもりで、楽しみにしています。

 ひとりひとりに、夢があり神様から与えられたギフトがあります。開花し、実っていくための手助けができますように。


 

2023.07.01

世界との出会い

 「不二聖心への入学は、世界との出会いでした」――、これは、5月にキャンパス内のマリア修道院(山の家)で開かれた卒業生(21回生)の茶話会で伺ったお言葉です。象徴的な光景として、寄宿舎の朝食を説明してくださいました。日本では見たこともないような卵料理が出され、「ナイフとフォークでどのようにいただくの?」と話したそうです。海外からのミッショナリーのシスター達がかかわっていてくださっていた時代のことで、当時のレシピやカトラリーが学院アーカイブに保管されています。

 卒業前には、コックさんが料理を担当する時代に移ったそうですが、いつも時代も変わらないのは、同じ食卓を囲む生徒同士の家族的なつながりだったと仰っていました。そんな寄宿舎の小さな食卓もまた世界の一部であり、そこで育まれた力が彼女たちをより広い世界へと踏み出す助けとなったのでしょう。

 参加者の中には、現在ニューヨークで弁護士をされている方もいらっしゃり、同じような志をもつ生徒がいたら、とお声がけくださいました。最近、法学部を志す生徒も多いので、心強く思いました。姉妹校や卒業生を含めた大きな家族としてのつながりに支えられながら生徒たちが育っていくことを感謝のうちに思います。