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フィールド日記

2018.09.21

コミカンソウ

 共生の森にコミカンソウが生えています。暖地の畑や道端によく見られる植物です。葉は一見すると、オジギソウやネムノキのように複数の小葉が1つの葉をつくる「羽状複葉(うじょうふくよう)」のように思われますが、小葉に見えるものが1つの葉です。


葉の付け根には、名前の由来となった小さいみかんのような果実が並んでいるのが特徴です。

 枝の先の方には雄花がついていました。がく片と花弁の区別のない6枚の「花被片(かひへん)」からなる可愛らしい花です。

2018.09.18

ヤマトシジミ

 共生の森でヤマトシジミを見つけました。身近な場所で最もよく見られるチョウと言ってもよいのではないでしょうか。食草はカタバミです。


しばらくすると羽を広げてくれました。紫青色の部分が広いことからこの個体はオスのようです。黒い縁取りは季節によって変化し、高温期にはこの個体のように幅が広くなります。

2018.09.14

アマチャヅル

 校内のヒノキ林の林床でアマチャヅルが開花しています。花は星型で、「鳥足状複葉(とりあしじょうふくよう」と呼ばれる形の葉が特徴的です。

 つる性の植物で葉に甘味があることから「甘茶蔓(あまちゃづる)」と呼ばれています。一般に甘茶というと、アジサイの仲間のアマチャから作ったものを指しますが、味が似ることから本種から作ったお茶も甘茶と呼ぶことがあります。しかし、アマチャヅルはウリ科で、アマチャはユキノシタ科なので全くの別種です。

2018.09.11

ミツカドコオロギ

 不二聖心にはたくさんの鳴く虫が生息しています。写真は共生の森で見つけたミツカドコオロギです。リッリッリッリと鋭く鳴きます。

 写真ではやや見えづらいですが、顔に特徴的な角が発達しており、名前の由来となっています。不二聖心には何種類かのコオロギの仲間が生息していますが、この角によって簡単に本種を見分けることができます。しかし、この角はオスにしかないため、メスの個体は近縁の種ととても良く似ていて見分けることが難しいです。

2018.09.07

ウド

 共生の森でウドの花が咲き始めています。若芽は春の山菜として有名で、畑で栽培されることもあります。


 大型の多年草で、下の写真のように花をつけた茎は2mを超すほど高く伸びていました。「ウドの大木」という言葉のウドはこの植物のことです。「ウドの大木」を辞書で調べると「〔ウドは茎が高く生長するが、食用にはならなくなり、また茎が柔らかくて用途がないことから〕体ばかり大きくて、何の役にも立たない人のたとえ。」(大辞林 第三版)とあります。しかし、これは訂正しなければなりません。大きく伸びたウドがつける花や蕾は食用になります。私は毎年この時期になると、ウドの蕾を穂ごと摘み取り、薄く衣をつけて天ぷらにしています。香りがよく、とても美味です。

2018.09.04

マダラアシゾウムシ

 共生の森のクヌギには樹液を出しているものがあり、様々な昆虫が集まっています。先日はマダラアシゾウムシがいました。クヌギやコナラなどの新芽を食べますが、樹液に集まることもあるそうです。

 ごつごつとした大きな体が特徴で、同じくごつごつとしたクヌギの樹皮によくとけこんでいます。名前は斑脚象虫(まだらあしぞうむし)で、脚に褐色や白色の毛が生え、まだら模様に見えることに由来します。しかし、残念ながらこの個体はすでに脚の毛のほとんどが取れてしまっているようです。

2018.09.03

8月の野鳥の調査

 日本野鳥の会東富士副代表の滝道雄先生が8月の不二聖心の野鳥について調査をしてくださいました。調査の報告書が届きましたので、掲載いたします。

8月度の調査で確認された野鳥は下記の通りです。
 1.ヤマガラ       5羽
 2.ヒヨドリ       17羽
 3.ハシボソガラス    2羽
 4.エナガ       1羽
 5.キジバト       1羽
 6.カワラヒワ      1羽
 7.メジロ        2羽
 8.シジュウカラ     5羽
 9.ハシブトガラス     11羽
10.コゲラ        1羽
11.ホオジロ       3羽
12.イカル        4羽
13.ツバメ        2羽
14.アオゲラ        1羽
15.トビ        3羽
16.スズメ        2羽
17.ガビチョウ      1羽
【特記事項】
1.例年8月初旬に行われる「夏休みこども自然体験教室」で見られるナンバンギセルが今年は見られなかったが、8月25日の調査で見られた。
2.5月~6月に開花するネジバナが第二オークヒルに多く咲いていた。
3.昨年までは第二オークヒルからゴルフ場に続くヒノキ林を歩くとクモの巣が顔や体に付くため、棒でクモの巣を払いながら調査をする状態であったが、今年の5月~7月の調査ではクモの巣がほとんどなかった。8月25日の調査では15個のクモの巣を払いながら調査を行った。
4.昨年まではヒノキ林の林道を歩くとサワガニやヤマアカガエルをたくさん見る事ができたが、今年はほとんど見られなかった。
 不二聖心女子学院の野鳥や植物などの調査を実施し4年目になるが、上記1~4の事象は今
年は例年とは違うと感じた事です。記録的な猛暑が影響しているのか気になるところです。
野鳥に関しては、一年の中で種類も個体数も一番少ない時期です。

2018.08.31

クズ

 共生の森の近くでクズの花が咲いていました。クズは生命力旺盛なつる性植物で、他の植物を覆いつくしてしまうほどです。


 万葉集の時代から秋の七草の1つに数えられ、とても身近な植物だったことがわかります。根からとれるデンプンを和菓子に利用したり、つるの繊維から布をつくったり、葉を家畜の飼料にしたりと、様々な用途に使われてきました。
ところで、帰化植物というと、海外から日本に入ってきた植物に意識が向かいがちです。しかし、実は日本から海外へ渡っていき定着している植物も少なくありません。その代表の1つがクズです。アメリカの南東部では、初めは有用な植物として積極的に導入されたクズが、今では町のいたるところで大繁殖し、現地の人々を困らせているようです。

2018.08.28

コチャガヤツリ

 共生の森にコチャガヤツリが群生していました。カヤツリグサの仲間です。「花序(かじょ、花のつき方)」は線香花火のような面白い形をしています。よく似た近縁な種もいくつかありますが、花の特徴からコチャガヤツリと考えられます。


 カヤツリグサの仲間は、一見するとイネやススキなどのイネ科の仲間のようにも見えますが、カヤツリグサ科という別の科に分類されています。見分けるポイントとして、多くのカヤツリグサ科の植物は下の写真のように茎の断面が三角形になっているという特徴があります。

2018.08.24

シンテッポウユリ

 キャンパス内でシンテッポウユリが白い花を咲かせています。シンテッポウユリは台湾原産のタカサゴユリと在来種のテッポウユリとの交雑由来の種を指しています。園芸目的で育てられていたものが野生化したと言われています。花の外側は赤みを帯びるものから、白いものまで変異が見られるようです。


シンテッポウユリは野生のユリとしては最も目にする機会が多いかもしれません。道路のわきや空き地などいたるところに見られます。ヤマユリなど他のユリは種子から開花まで数年かかるのがふつうです。しかし本種は種子から1年以内に開花し、たくさんの種子をつくるため、急速に分布を広げているようです。