フィールド日記

コケ植物

2020.03.13

ホソバオキナゴケ

校内のヒノキ林でホソバオキナゴケが見られます。乾燥してもあまり見た目が変わらずに美しいため、苔庭や盆栽に利用される代表的な種です。自然状態では写真のようにスギやヒノキなどの針葉樹の根元によく見られます。見た目がよく似ている近縁な種にアラハシラガゴケがあり、園芸用途では区別されていない場合もあります。
 

下は葉の基部に近い部分の横断面の顕微鏡写真です。葉緑体を含む小さめの細胞をはさんで大きめの透明な細胞の層があります。この透明細胞層が、アラハシラガゴケでは2~4層であるのに対し、ホソバオキナゴケでは厚いところで5~8層あるのが特徴です。

2020.01.03

エゾスナゴケ

駐車場の近くの岩上にエゾスナゴケが生えていました。和名に「エゾ」とついていますが、全国の低地から亜高山帯にかけて生育しています。コケは日当たりの悪いところに生えるイメージがありますが、本種は日当たりの良い岩上や砂質の土壌によく生えています。長期間の乾燥に強いことから屋上緑化などにも使われている身近なコケです。

2019.12.27

ヒメジャゴケ

校舎裏にヒメジャゴケが生えています。ジャゴケと同様にヘビのうろこのような模様が葉状体の表面に見られます。気温が低くなると無性芽をつけ、葉状体は枯れてしまいます。

下の写真は葉状体の縁に見られる無性芽を拡大したものです。無性芽には耐寒性があり、越冬して春には葉状体となります。また、近くに見られる丸い部分は雌器托で、こちらも春に伸びだし、胞子を飛ばします。

2019.03.29

マキノゴケ

裏道でマキノゴケが胞子体を伸ばしていました。日陰の湿った土や岩の上に生える苔類の仲間です。先端に黒い朔(さく)をつけて伸びる胞子体は、まるでマッチ棒のように見えます。朔の中には胞子が入っており、間もなく裂けて胞子を飛ばすと思われます。蘚類の胞子体は胞子を飛ばした後も比較的長く残りますが、苔類の胞子体は数日で朽ちてしまうことが多いです。苔類であるマキノゴケが、マッチ棒のような胞子体を伸ばす様子は今の時期しか見られない光景と言えます。

2019.03.22

ジャゴケ

ジャゴケが雌器托(しきたく)を伸ばしています。ジャゴケは苔類の仲間で、湿った地面によく見られます。葉状体の模様がヘビのうろこのように見えることが名前の由来です。


ジャゴケの雌器托は一見するとキノコのように見えます。しかし、傘の裏側からは黒い胞子体が見えており、ジャゴケの雌器托であることがわかります。

2019.03.12

ジンガサゴケ

 職員室前の植え込みでジンガサゴケが雌器托(しきたく)を伸ばし始めました。葉と茎の区別がない葉状体をもつ苔類(たいるい)の仲間です。和名は陣笠苔で雌器托の傘が陣笠の形に似ていることが由来です。しばらくすると、雌器托の傘の裏側に、黒い胞子体が見られるようになります。

2019.02.08

ミノゴケ

 ススキ野原の近くのカエデの樹幹にミノゴケが着生しています。ちょうど、マッチ棒のような形の胞子体(ほうしたい、胞子をつくる体)をたくさんつけています。胞子体の先にあるふくらみを朔(さく)といい、胞子が入っています。朔ははじめ帽(ぼう)と呼ばれる帽子状のものをかぶったまま成長します。ミノゴケという名前は帽に茶色いたくさんの長い毛が生え、蓑(みの)をかぶっているように見えることに由来しています。

 葉は乾燥していると強く巻縮していますが、霧吹きで湿らすと一斉に広がります。しかし、葉先だけは湿っていても内側に曲がっており、近縁種と見分けるポイントになります。

2019.01.25

ニワツノゴケ

 中庭にニワツノゴケが見られます。コケ植物はセン類、タイ類、ツノゴケ類に大きく分けることができますが、ツノゴケ類の種数はコケ植物全体の約1%です。ツノゴケ類は写真のように胞子体(ほうしたい、胞子をつくる体)が角状に伸びることが特徴です。写真の個体は胞子体が先端から裂け、中から黄色い胞子が出てきています。

2018.11.13

土曜講座~コケ入門~

 先週の土曜日に、高校生の希望者を対象とした土曜講座が行われました。テーマは「コケ入門」です。はじめにスライドを用いてコケ植物の分類や生態について学び、その後フィールドに出て不二聖心に生育するコケの観察を行いました。観察をしながら、それぞれ気に入ったコケを採集し、苔玉作りを行いました。下の写真は完成した苔玉です。一緒に採集したカエデやケヤキの種子を埋めているので、春の芽生えが楽しみです。

2018.05.29

ケゼニゴケ

 裏道の湧水が流れ出ているところに、ケゼニゴケが見られます。流れ出る湧水にそって見られることから、特に湿った場所を好む種のようです。


 湧水によって常に濡れており、透明感のある植物体がきらきらと輝いて見えます。このように葉と茎の区別がなく、全身が葉のように見えるものを葉状体といいます。


 葉状体の先端からは雌器托が伸びていました。茶色い綿のような部分から胞子を飛ばしています。雌器托に毛が生えていることが名前の由来です。

2018.05.18

コスギゴケとヒメスギゴケ

 オークヒルの道路わきにコスギゴケが群落をつくっています。スギゴケの仲間は植物体がスギの枝のように見えることが特徴です。コケ植物のセン類の代表として紹介されることも多いです。

 近くに雄花盤をつけた群落もありました。肉眼での観察では同じコスギゴケに見えましたが、非常によく似たヒメスギゴケである可能性が高いです。


 スギゴケの仲間は葉の表面に薄板という細胞が積み重なった板状のつくりがあることも大きな特徴です。コスギゴケは薄板の先端の細胞が横に広がっていて、ヒメスギゴケは横に広がらずやや凹むことがあるという違いがあります。下の顕微鏡写真を比べると、やはりコスギゴケとヒメスギゴケだろうと思います。

2018.05.04

ツルチョウチンゴケ

 ヒノキ林の湿った林床にツルチョウチンゴケが群落をつくっています。先日紹介したコツボゴケと近縁で似た雰囲気をもっていますが、全体的にやや大型で、弱く波打つ葉が美しいコケです。

 ツルチョウチンゴケの仲間は直立する茎のほかに、名前の「ツル」の由来となったと思われる匍匐する茎をもっています。下の写真のように、匍匐する茎が地面に接したところから仮根を伸ばしたり、直立する茎が出たりと新たに成長して群落を広げていきます。生殖器官は直立する茎の先端につきます。

2018.05.01

コツボゴケ

 職員室前の庭にコツボゴケが大きな群落をつくっています。都市部の庭や公園にも普通に見られますが、透明感のある鮮やかな緑色の葉が美しいコケです。

 花のように見えるものは雄花盤といい、造精器などが集まりカップ状の形をつくっています。ここに雨などで水がたまると、下の写真のように精子を含む細胞のかたまりが放出されます。さらに雨粒があたってしぶきが飛び、運よく雌植物の卵細胞まで届くと、受精して胞子体がつくられます。非常に確率が低そうな方法ですが、まわりには胞子体をつけた個体も多くみられることから、それなりにうまくいく方法のようです。

2018.04.20

タチヒダゴケ

 学院内のクリの木の樹幹上にタチヒダゴケの群落が見られます。植物体の先端にある淡褐色のふくらみは「朔(さく)」と言い、中に緑色の胞子が入っています。


 コケ植物は乾燥しているときと湿っているときで姿形が大きく異なっていることが多いため、観察には霧吹きを持って行っています。下の写真は、上の写真の群落を霧吹きで湿らせたものです。あっという間に葉が開き、鮮やかな緑色になりました。


 タチヒダゴケと近縁の種を見分けるポイントの1つは、朔にある気孔が表面ではなく、凹みの中にあるということです。下の顕微鏡写真は朔の表面にピントをあわせたもの(左)と、やや奥にピントをあわせたもの(右)で、気孔が凹みの中にあることがわかります。

2018.04.10

トサカホウオウゴケ

 裏道の石積みにトサカホウオウゴケが群生しています。ホウオウゴケ科の仲間は葉が左右2列に規則正しく並んでおり、その姿が鳳凰の尾の形に似ていることが科名の由来になっています。一万円札の裏面に描かれた鳳凰像の尾と比べると確かに似ています。


 コケ植物の種名を調べるには顕微鏡による観察が必要です。下は葉の先端部の顕微鏡写真です。葉の全周に明るい細胞が帯状に並んでいることと、種名の由来となった鶏のとさかのような鋸歯(ぎざぎざ)があることから、トサカホウオウゴケと判断しました。