フィールド日記

種子植物

2019.11.19

ヒイラギ

キャンプ場の近くでヒイラギが咲いています。若木の葉には触れると痛いトゲがあり、古語でひりひり痛むことを表す「ひひらく」がヒイラギに変化したと言われています。しかし成木になるとトゲはなくなります。この個体も一部の枝を除きトゲはありません。

2019.11.12

ノコンギク

ススキ野原でノコンギクが咲いています。林道や河原など身近な場所で普通に見られる野菊の代表です。名前の通り淡い紺色をしていますが、花の色には変異があり、不二聖心で見られるものは白に近いものも多いように感じます。

2019.11.05

チャノキ

校内でお茶の花が咲いています。茶畑で栽培されるほか、逸出したものが各地の樹林内で見られます。茶畑では通常1mほどに刈り込まれていますが、樹林内で自然に育ったものは2mを超えるほどに大きく成長し、茶畑のものとは印象が異なります。不二聖心では第一オークヒルから第二オークヒルの間の道に大きな株があり、たくさんの花をつけています。

2019.11.01

エビヅル

 ヒノキ林の林縁でエビヅルの果実を見つけました。ブドウ科ブドウ属の野生のブドウです。近縁のヤマブドウの方が名前が知られているかもしれませんが、ヤマブドウは標高の高いところに見られ、不二聖心で見られる野生のブドウはエビヅルです。ヤマブドウと同様に果実は食用になります。

2019.10.22

ツルニンジン

校舎裏の斜面にツルニンジンが咲いていました。キキョウ科のつる植物で、根が太く高麗人参(オタネニンジン)に似ていることからツルニンジンと呼ばれています。若芽や根は食用とすることができるそうです。

2019.10.15

シソ

駐車場の近くでシソを見つけました。葉を揉むと、シソ独特の香りがします。中国原産の一年草で、食用に栽培されているものが各地に逸出して野生化しています。葉に皴があるものや、赤紫色のもなど様々な品種があります。

2019.10.11

コメナモミ

共生の森周辺にコメナモミが咲いていました。よく似た種にメナモミがありますが、葉や茎の毛の量や長さで区別することができます。花を包む葉である苞(ほう)や花には粘液を出す腺毛が多くあるのが特徴です。

2019.10.04

オトコエシ

ススキ野原にオトコエシ(男郎花)が咲いていました。秋の七草であるオミナエシ(女郎花)に似ていますが、茎はより太く、葉も大きいことからオトコとつけたと言われています。漢名(中国での名前)を敗醤といい、生け花にすると醤油の腐ったような臭いが水に残ることが由来と言われています。

2019.10.01

ヒヨドリバナ

ススキ野原にヒヨドリバナが群生しています。一般にヒヨドリの鳴くころに咲くことが名前の由来と言われていますが、乾燥した花がらを火おこしの材料としたことから火取花と呼ばれ、それがヒヨドリバナになったという説もあります。

2019.09.24

メドハギ

ススキ野原でメドハギが咲いています。秋の七草の1つ萩(はぎ)の仲間です。直立した茎に密に葉がつく草姿は、他の萩の仲間と印象が異なりますが、花はマメ科らしい蝶形花です。和名は奈良時代から平安時代に活躍した陰陽師が使用した占い用の棒である筮(めどき)に由来するそうです。

2019.09.13

ツルマメ

ススキ野原の近くにツルマメが咲いていました。名前の通りマメ科のつる植物で、草原や林縁などに広く見られます。ダイズの原種と考えられており、本種が品種改良されて栽培種のダイズになったといわれています。

2019.09.10

ゲンノショウコ

 ススキ野原にゲンノショウコが咲いていました。市街地の空き地や山地の草原まで広く見られる野草です。古くから薬草として知られ、薬効がすぐに現れるという意味で現の証拠(げんのしょうこ)と呼ばれているそうです。

2019.09.03

センニンソウ

ススキ野原でセンニンソウが咲いていました。日本に自生するクレマチスです。つる性で、地面を這うように生えており、近づくととても良い香りがしました。しかし、汁に触れるとかぶれることもあるといわれる有毒植物なので注意が必要です。

2019.08.30

ナンバンギセル

今年もススキ野原でナンバンギセルが咲いています。葉緑体をもたず、根でススキなどに寄生して生きています。宿主であるススキが生える草原が減少していることに伴って、数を減らしていると言われています。不二聖心のススキ野原は茶草場として利用されており、毎年草刈りが行われることで、ナンバンギセルが生育する環境が守られています。

2019.08.23

ツリガネニンジン

校舎裏の斜面にツリガネニンジンが咲き始めていました。名前の通り花は釣鐘形をしています。花をつける枝が数段にわたり輪生することも特徴です。明るい林床や林縁に普通に見られる種ですが、そのような生育地の減少に伴い減っているとも言われています。不二聖心では校舎裏のほかに定期的に草刈りが行われているオークヒルの土手などで見ることができます。

2019.08.20

アキカラマツ

オークヒルにアキカラマツが咲いています。名前にアキとあるように、秋に花を咲かせるカラマツソウの仲間ですが、実際には7月頃から咲き始めています。

花には花弁が無く、がくも開花すると落ちてしまうため、多数のおしべが良く目立ちます。この花の姿がカラマツの葉に似ているためカラマツソウと呼ばれています。

2019.08.16

イヌザンショウ

オークヒルの近くでイヌザンショウが咲いていました。香辛料として利用されるサンショウによく似ていますが、サンショウに比べ香りが良くなく食用には利用されないことからイヌをつけて、イヌザンショウと呼ばれています。また、花期も異なっており、サンショウは春に咲きますが、イヌザンショウは夏に咲きます。

2019.08.13

ツルニガクサ

オークヒル近くのヒノキ林の林縁にツルニガクサが咲いていました。名前にツルとついていますが、つる性ではなく、地下に細長い茎を出すことを示しているようです。また、花の時期に虫こぶをつけていることがよくあります。虫こぶとは昆虫などが寄生し、植物の組織が異常に発達したものです。下の写真に見られる緑色のふくらみは果実ではなく虫こぶで、ツルニガクサにはグンバイムシのなかまが寄生することが知られています。

2019.08.02

ヒキヨモギ

 ススキ野原でヒキヨモギが咲いていました。ヨモギとつきますが、キク科のヨモギの仲間ではなく、ハマウツボ科に属します。葉緑体をもち、自ら光合成をして養分をつくる一方で、地下では他の植物から養分を奪って生きている半寄生植物です。日当たりの良い草地を好み、環境省による指定はありませんが、多くの自治体で絶滅が心配されている植物です。ススキ野原が茶草場として定期的に草刈りが行われることにより、ヒキヨモギの生育に適する環境が維持されていると考えられます。

2019.07.30

タケニグサ

共生の森でタケニグサが咲いています。大型で、草姿が竹に似ていることが和名の由来です。花期も終わりに近づき、下のほうの果実は大きくふくらんできています。秋には乾燥した果実が風に揺られてカサカサと音を立てることから、ささやきぐさとも呼ばれています。

花は1本の雌しべと多数の雄しべからなります。花弁はなく、白いがくも開花と同時に脱落します。

2019.07.26

アラゲハンゴウソウ

オークヒルでアラゲハンゴンソウが咲いています。北アメリカ原産の帰化植物です。近縁で同じく帰化植物のオオハンゴンソウは、生態系に被害を及ぼす可能性のある特定外来生物に指定されており、法律により栽培等が禁止されています。本種は特定外来生物には指定されていませんが、同属の帰化植物ですので生態系への影響が心配されています。不二聖心のオークヒルでは数年前に比べて数は減っている印象があります。

2019.07.19

ミツバ

キャンプ場近くの藪にミツバが咲いていました。名前の通り葉が三つに分かれているのが特徴です。栽培品は野菜としてスーパーなどで一年中手に入れることができますが、野生のものはより大型で香りが強いと言われています。

2019.07.12

イヌゴマ

ススキ野原にイヌゴマが咲いていました。シソ科の多年草です。イヌゴマのように名前にイヌがつく植物は多くあります。ほとんどの場合、他に有用な植物があり、それに姿かたちが似ているが役に立たないという場合にイヌがつくようです。本種は、果実が食用のゴマに似ているが、食用にならないということを示しています。

2019.07.09

コクラン

共生の森の近くの林でコクランを見つけました。名前の通り、黒い花を咲かせるランの仲間です。

花はランの仲間らしいユニークな形をしています。ランの花はおしべとめしべが一体となったずい柱をもっています。下の写真ではずい柱の先端に黄色い花粉塊が見られます。

2019.07.02

シオデ

駐車場から校舎へ向かう道の斜面にシオデが咲いていました。つる植物で、巻きひげで他の植物にからみつきながら成長します。花は球形に咲き、花弁が反り返ることが特徴です。山菜の王と呼ばれ、若芽を摘んで食用とします。

2019.06.28

オオチドメ

オークヒルにオオチドメが咲いていました。チドメグサの仲間で、葉や茎を揉んで傷口につけると血が止まることが名前の由来といわれています。本種以外にノチドメやチドメグサなど似ている種も身近に多くあります。本種は茎の先端が斜上することや、葉柄(ようへい,葉と茎の間の柄)より,それに対する花柄(かへい,花と茎の間の柄)のほうが長いことで近縁の種と区別することができます。

2019.06.14

ナルコユリ

校舎裏の斜面にナルコユリが咲いていました。葉腋(ようえき,葉の付け根の部分)から筒状の花が垂れ下がって咲くのが特徴です。和名はこの花の姿を鳴子(なるこ,田んぼに吊り下げて音で鳥を追い払う道具)に見立てています。

2019.06.11

トチバニンジン

ヒノキ林の林床にトチバニンジンが咲いていました。和名はトチノキに似た葉をもつ人参を意味します。ここでいう人参とは野菜のニンジン(セリ科)のことではなく、薬用植物として知られるオタネニンジン(ウコギ科、高麗人参や朝鮮人参とも呼ぶ)と近縁であることを示しています。トチバニンジンにも薬用成分が含まれており、生薬として用いられることもあるとのことです。

2019.06.07

アズマイバラ

正門から坂をあがって、聖心橋を過ぎたところの斜面にアズマイバラが咲いています。主幹は太くなく、垂れ下がるように咲くのが特徴です。園芸植物のバラと同じバラ科バラ属で、十数種ある日本のバラの野生種の1つです。


園芸種のバラは花びらが多数ある八重咲きのものが多いですが、野生のバラは基本的に5枚の花弁と多数のおしべをもっています。

2019.06.04

ハコネウツギ

共生の森やオークヒルにハコネウツギが咲いています。花は初め白ですが、しだいに赤く変化します。近縁種にニシキウツギがあり、こちらも名前の通り花が白から赤に変化します。


両者は葉の裏面の毛の量で区別でき、主脈上に毛が少ないものがハコネウツギで、密生するものがニシキウツギです。確かめたところ、毛は散生する程度でしたので、ハコネウツギと判断しました。

2019.05.31

フタリシズカ

クヌギ林の林縁にフタリシズカが咲いています。和名は能の「二人静」に由来し、花穂を静御前とその亡霊の舞姿に見立てたと言われています。実際には花穂は2本に限らず3本以上あることもよくあります。

2019.05.24

ヨウラクラン

着生ランであるヨウラクランが咲いています。着生とは文字通り、樹の幹や岩にくっついて生えていることを指します。単に生活の場として樹の幹や岩を利用しているだけで、養分を奪う寄生とは異なります。


茎の先端から伸びた花穂には小さい花が多数輪状についています。花は1mmほどで非常に小さいですが、拡大してみるとランの仲間らしい花の形をしています。

2019.05.17

チガヤ

ススキ野原でチガヤが咲き始めました。チガヤの花穂は白い絹毛が密に生え、花が咲いているとよく目立ちます。花穂をツバナといい、若い花穂には甘みがあるので、昔は子どもたちがおやつ代わりに食べていたそうです。

2019.05.14

ヤマサギソウ

ススキ野原にヤマサギソウが咲いていました。日当たりのよい草地に生えるランの仲間です。環境省のレッドリストには載っていませんが、多くの都道府県で絶滅が危惧されている貴重な植物です。農園の方々が茶草場として定期的に草刈りをしてくださっているおかげて、生育に適した環境が保たれていると考えられます。


花は緑色で、注意しないと他の植物に紛れて見逃してしまいます。ラン科らしいユニークな形で、側花弁と呼ばれる2枚の花弁が上に伸びてバンザイをしているようです。

2019.05.10

ハハコグサ

共生の森をはじめ、校内の様々な場所でハハコグサが咲いています。春の七草の1つ御形(おぎょう、または、ごぎょう)はハハコグサのことで、身近な場所でよく見られます。


とても身近な花ですが、花のつくりは複雑です。遠目にみると茎の先端に1つの黄色い花が咲いているように見えます。しかし、実際にはタンポポなどのキク科に見られる頭花(とうか)と呼ばれる花の集まりが、さらに密に集まっているつくりをしています。つまり花の集まりの集まりが1つの花のように見えています。ハハコグサは、タンポポでは緑色の総苞(そうほう,頭花を包む葉)も黄色なので、全体が1つの黄色い花に見えています。

2019.05.07

ハナイバナ

共生の森でハナイバナが咲いています。茎は良く分枝し、上向きの毛があります。街中でも路傍や畑に普通に見られる雑草的な存在です。


しかし、よく見ると車形の可愛らしい花です。同じムラサキ科のキュウリグサに似ていますが、葉が花序の先まである点や、花の中央部の副花冠が淡青色である点によって見分けることができます。

2019.05.03

ヒメハギ

ススキ野原にヒメハギが咲いています。マメ科のハギに似た小さい花ですが、白い房状の付属体が特徴です。『神奈川県植物誌2018』によると「日当りの良い草地で普通に見られるが、市街地周辺では減少している」そうです。不二聖心のススキ野原は茶草場として毎年草刈りが行われ、ヒメハギの生育に適した日当たりの良い草地が維持されています。

2019.04.30

オオバウマノスズクサ

グラウンドの生垣にオオバウマノスズクサが咲いていました。

つる性の木本で、花は長い筒状で独特な形をしています。

花の中には小さなハエが数匹いました。長い筒状の花に入り込める小さいハエをおびき寄せ、花粉を運んでもらっているようです。

2019.04.26

オオジシバリ

校舎裏にオオジシバリが咲いています。和名の通り、茎は横に広がり地面を縛るように群生しています。近縁のイワニガナ(別名ジシバリ)とよく似ていますが、より大型で、葉がへら状になることが特徴です。

2019.04.23

キュウリグサ

校内の畑や植え込みにキュウリグサが咲いています。和名は、もむとキュウリのような匂いがすることが由来です。

2mmほどの淡青色の花の中央には、黄色い副花冠(ふくかかん)と呼ばれるつくりがみられます。また、伸びきっていない花序の先が丸まっていることも特徴です。

2019.04.19

サルトリイバラ

校内の林縁でサルトリイバラが咲いています。つる性で、茎はところどころにトゲがあり、ジグザグに伸びる特徴があります。和名は、猿捕り茨(サルトリイバラ)で、サルが絡まって捕らえられるという意味です。若芽は山菜として食用にされ、葉は餅を包むのに使われることもあります。

2019.04.16

スズメノヤリ

校内の芝地にスズメノヤリが咲いています。茎の先端の花の集まりが、大名行列で用いられた毛槍(けやり)に似ていることが和名の由来です。

1つの花で雌しべが成熟する時期と、雄しべが成熟する時期が分かれている雌雄異熟(しゆういじゅく)という特徴をもっています。下の写真の左は雌性期で、成熟した白い柱頭が見えます。右は雄性期で、柱頭はしおれて雄しべが成熟しています。自分の花粉で受粉してしまうことを避け、遺伝的な多様性を保つ工夫と考えられます。

2019.04.12

カキドオシ

キャンプ場の近くでカキドオシが咲いています。和名の垣通し(カキドオシ)は、垣根を越えて繁茂していく様子に由来しています。花は直立する茎につきますが、花後は横に伸びる匍匐枝(ほふくし)を出して広がっていきます。

花はシソ科らしい唇形花です。

2019.04.09

キランソウ

校内の道端や芝地でキランソウが咲いています。雑草として見過ごされやすいですが、よく見ると可愛らしい唇形花を多数つけています。


また、ジゴクノカマノフタ(地獄の釜の蓋)という変わった別名をもっています。下の写真のように地面にへばり付くように生える様子や、薬草として利用され病気を治す(=地獄の釜の蓋が閉じる)ということが由来のようです。

2019.04.05

フデリンドウ

ススキ野原でフデリンドウが咲いています。青紫色のかわいらしい花ですが、小さく目立たないため、注意しないと見逃してしまいます。ススキ野原は不二農園の方々によって「茶草場」として管理され、毎年冬に草刈りが行われています。そのおかげでフデリンドウの生育に適した日当たりの良い草地が維持されています。

2019.03.26

ヒサカキ

校内でヒサカキが開花しています。独特な強い芳香があるため、校内の森を歩いていると、花を見つけるより先に、匂いでヒサカキが咲いていることがわかります。一般には雄株と雌株に分かれており、下の写真は雌株の雌花で、先端が3つに分かれた雌しべが見られます。

下の写真は雄株の雄花です。多数の雄しべが見られ、雌花に比べてやや大きめです。形も雌花が杯型なのに対し、雄花は鐘型が多いようです。

2019.03.19

コハコベ

お茶畑にコハコベが咲いています。畑や路傍に見られる最も普通な雑草の一つです。一般にハコベと呼んでいるものにはこのコハコベと近縁のミドリハコベがあります。両者は雄しべの数や種子に見られる突起によって区別されますが、判断に迷う個体もあるようです。今回は雄しべの数が3~5本と少ないものが多かったので、コハコベと判断しました。ミドリハコベは8~10本あるものが普通なようです。

下の写真は花を拡大したものです。花弁は5枚と数えます。一見して10枚に見えるのは1枚の花弁が2つに深く裂けているためです。

2019.03.15

クモラン

 校内の梅の木にクモランが着生していました。葉緑素をもつ緑色の根が放射状に広がっており、独特な姿をしています。この姿を蜘蛛(くも)に見立てたことが名前の由来です。葉はもっていませんが、代わりに根が光合成をすることで葉の役割も担っています。着生ランは樹木から養分を奪っていると誤解されることもありますが、くっついて生活しているだけで直接養分を奪うことはありません。

 昨年に受粉してできた果実が裂開し、ラン科の特徴であるほこりのように細かい種子が見られました。

2019.03.01

タネツケバナ

 マリア館前の花壇には前回紹介したミチタネツケバナに交ざって在来種のタネツケバナも咲いています(写真の中央がタネツケバナ、左奥がミチタネツケバナ)。タチタネツケバナに比べ茎の上の方にも葉をつけ、果実は茎に対してやや開いた角度で立つことが特徴です。


 また、茎や葉に毛があることも本種とタチタネツケバナと見分けるポイントです。和名は種漬花で、イネの種を水につけて苗を育てる準備をする時期に咲くことが由来といわれています。

2019.02.26

ミチタネツケバナ

 マリア館近くの花壇にミチタネツケバナが咲いています。在来種のタネツケバナに似ていますが、ヨーロッパ原産の帰化植物で1992年に国内への定着が報告されました。葉は茎の下部に集まってつき、茎の途中にはあまり見られないことが特徴です。


 また、茎に毛が無く、葉の付け根に刺毛状の毛が散生することもタネツケバナと区別するときのポイントになります。

2019.01.15

ロウバイ

 マリアガーデンのロウバイが咲いていました。中国原産の落葉樹で、庭木としてしばしば植栽されています。黄色の花弁は透明感があり、ろう細工のようです。梅のように、1月~2月のまだ葉が開く前に、ろう細工のような花を咲かせることが名前の由来と考えられています。

2019.01.08

アオキ

 聖心橋の手前の林内でアオキが赤い実をつけています。和名は冬でも葉や枝が緑色であることが由来です。『神奈川県植物誌2018電子版』には「ニホンジカの増加に伴いアオキが最初に食べられている」との記載があります。他の植物が葉を落とすなか、青々としたアオキの葉や枝は、シカにとって美味しそうに見えるのかもしれません。

2019.01.04

クロガネモチ

共生の森でクロガネモチが赤い果実をつけています。2016年度に高校1年生が植栽したものです。クロガネモチは関東地方以西に自生もしていますが、庭木としてよく植栽される樹種でもあります。モチノキの仲間で、樹皮から鳥もちをつくることができるそうです。

2018.12.28

タイアザミ

 共生の森でタイアザミが咲いていました。タイアザミは別名トネアザミといい、関東地方で最も身近なアザミの仲間です。秋が花の盛りですが12月に入っても開花している株を見ることができます。

2018.12.25

セイタカアワダチソウ

 共生の森のセイタカアワダチソウが果実をつけています。北アメリカ原産の帰化植物で、明治時代に観賞用として輸入されたと言われています。和名は秋に咲く黄色い花の泡立つように咲く姿に由来するという説と、写真のような冠毛のある果実の姿に由来するという説があります。しかし、もともとアワダチソウは在来種のアキノキリンソウの別名なので、単純にアワダチソウ(アキノキリンソウ)と同じ仲間で草丈が高いからセイタカアワダチソウと名付けられたのかもしれません。

2018.12.18

センリョウ

 聖心坂近くの林内にセンリョウが見られます。前回紹介したマンリョウとともに、正月の縁起物として知られています。万両(まんりょう)に対してやや実の数が少ないため千両(せんりょう)とされたと言われています。赤い実や名前だけを見ると近い仲間のようですが、マンリョウがサクラソウ科に対し、センリョウはセンリョウ科と、植物の仲間としては遠い関係にあります。

2018.12.14

マンリョウ

 校内のマンリョウの果実が赤く色付いています。比較的日陰を好み、校内ではヒノキ林の林床や植木の陰でしばしば見られます。和名は万両(まんりょう)の意味で江戸時代から正月に赤い実を多数つける縁起物として知られているそうです。不二聖心ではこの赤い実を、クリスマスリースの飾りに使用しています。

2018.12.11

クロヤツシロラン

 校内の竹林でクロヤツシロランと思われる果実を見つけました。クロヤツシロランは自ら光合成をせずに、完全に菌類から栄養をもらって生きている菌従属栄養植物です。花は黒っぽく地面から数cmの所で咲くのであまり目立ちませんが、花後に写真のように茎が急速に伸び、目立つようになります。


 下の写真は裂開した果実です。ラン科の特徴であるホコリのように細かい種子が見られました。クロヤツシロランは静岡県では準絶滅危惧種とされています。今後も観察を続け、来年は花を確認したいと思います。

2018.12.07

チカラシバ

 共生の森にチカラシバが群生しています。試験管を洗うブラシのような花穂が特徴です。また、しっかりと根を張り、引き抜くのに力がいることが和名の由来です。

 熟した果実は剛毛とともに穂からはずれ、衣服にくっつきやすくなっています。近くを通ったシカやイノシシなどの動物の毛にくっついて種子を散布しているのだと思います。

2018.11.30

ツルグミ

 校内のヒノキ林の林縁にツルグミの花が咲いていました。和名はつる性のグミを意味し、4月ごろに赤く熟す果実は他のグミの仲間と同様に食用となります。


つる性と言っても、他の植物に巻き付いたりすることはなく、長い徒長枝を伸ばし寄りかかかるように生育している様子をよく見ます。

2018.11.20

スダジイ

 聖心坂の途中に大きなスダジイの木があり、地面にはたくさんのどんぐり(堅果)が落ちています。

 スダジイのどんぐりは、はじめは殻に包まれていますが、熟すと先が割れて出てきます。不二聖心には他にもコナラやクヌギ、アラカシなどどんぐりのなる木がいくつかありますが、スダジイのどんぐりは渋みが少なく唯一アク抜きをしないで食べることができます。

2018.11.16

ハンショウヅル

 校舎裏の斜面にハンショウヅルの果実が見られました。花後に雌しべが発達して羽毛状になったものがよく目立ちます。学名はClematis japonicaで日本のクレマチスを意味します。様々な園芸品種が知られるクレマチスですが、多くの種で花後に雌しべが羽毛状になることが特徴です。

2018.11.09

ハダカホオズキ

 共生の森の近くの林でハダカホオズキを見つけました。光沢のある赤い実がたくさんなっており、よく目立ちます。同じナス科のホオズキは、花後にがくが発達し果実を包み込みます。しかし、本種は花後にがくが発達せず、むき出しのままです。これが和名の由来と考えられます。

2018.11.06

リュウノウギク

 正門から聖心坂を上っていく途中にリュウノウギクが咲いています。いずれも斜面から垂れ下がるように咲いています。栽培されるキクと同じキク属の仲間で、和名は葉をもむと竜脳と呼ばれる香料に似た香りがすることに由来します。実際に葉をもんでみると、クスノキに似た香りがします。

2018.11.02

カラスウリ

 カラスウリの果実が赤く色づいています。花は夜に咲き、翌朝にはしぼんでしまうのであまり目立ちませんが、赤い果実はよく目立ちます。

 果実の中にはたくさんの種子が入っています。種子は下の写真のように中央部が帯状に膨らんだユニークな形をしています。この形を大黒天の顔に見立て、財布に入れておくとお金がたまるという言い伝えもあるそうです。

2018.10.30

ヤマノイモ

 ヤマノイモにムカゴ(珠芽)が見られるようになりました。ムカゴは茎の一部が太ったもので、地面に落ちるとそこから新たな植物体が生じます。ヤマノイモの肥大した根は自然薯(じねんじょ)と呼ばれて食用にされますが、このムカゴも食用になります。

 夏から秋にかけムカゴをつけることは、オニドコロやヒメドコロなどの近縁の種と見分けるときのポイントにもなります。

2018.10.26

ヒキオコシ

 ススキ野原にヒキオコシが咲いています。和名は弘法大師が草の絞り汁を重病人に飲ませたところ、起き上がったという伝説に由来しています。古くから薬草として用いられたようでエンメイソウ(延命草)という別名もあります。

 花はシソ科らしい「唇形花(しんけいか、花びらが上下に分かれ唇のような形の花)」で、雄しべや雌しべが花びらより長く飛び出しているのが特徴です。個体によって雄しべが長く雌しべが短いもの、雄しべが短く雌しべが長いものの2形があり、上の写真の個体は前者のようです。

2018.10.23

コシオガマ

 共生の森からオークヒルに向かう途中のススキ野原にコシオガマが咲いています。ハマウツボ科の半寄生植物で、自ら光合成をしながらも、根では他の植物にとりつき栄養分を奪っています。


アフリカでは同じハマウツボ科の植物が農作物に寄生して甚大な被害をもたらしています。そこで、日本の研究グループはこのコシオガマをモデル植物として寄生に関する研究をしているそうです。近い将来、コシオガマの研究から得られた知見によって寄生植物による深刻な農業被害が解決する日がくるかもしれません。

2018.10.19

アキグミ

 数年前に高校1年生が共生の森に植栽したアキグミがたくさんの実をつけています。同時に植えた他の樹種に比べ、鹿の食害も少なく、大きく育っています。

 グミの仲間の葉や枝は白銀色の特徴的な輝きをもっています。下の写真はアキグミの葉の裏面を双眼実体顕微鏡で観察した様子です。「鱗状毛(りんじょうもう)」と呼ばれるうろこ状の白い毛が密に生えています。

2018.10.05

ヒメガンクビソウ

 キャンパス内のヒノキ林の林床にヒメガンクビソウが見られます。キク科の仲間で1つの花に見えるものは「頭花(とうか)」と呼ばれる花の集まりです。ガンクビ(雁首)とは,昔のタバコを吸う道具であるキセルの先端部分のことです。近縁の種のなかで小型なことと、頭花が下向きに咲く様子がキセルの雁首に似ていることが和名の由来です。

 ガンクビソウにはいくつか似た仲間がありますが、「根生葉(こんせいよう、地面近くから出る葉のこと)」が「ロゼット状(地面に放射状に張り付いている様子)」に花の時期まで残っていることが本種と近縁の種を見分けるポイントの1つです。

2018.10.02

ムカゴイラクサ

 裏道のやや湿った場所にムカゴイラクサが生えています。上方の「葉腋(ようえき、葉の付け根の内側部分)」には雌花の集まり、下方の葉腋には雄花の集まりが見られます。

 和名の通り、むかごをつけています。むかごとは栄養繁殖器官のひとつで、地面に落下するとここから新たな植物体が生じます。


 また、茎や葉には刺毛があります。ヒスタミンなどの化学物質が含まれているといわれており、触れると強い痛みを感じるので注意が必要です。しかし、春の若芽は近縁のミヤマイラクサとともに山菜として利用されます。ゆでたり、天ぷらにしたりすると、刺毛は気にならなくなります。

2018.09.28

ヌスビトハギ

 校舎裏の駐車場に、ヌスビトハギが咲いています。マメ科の仲間で花は小さい「蝶形花(ちょうけいか、マメ科に多く見られる左右対称の蝶に似た形の花)」です。市街地から少し離れた場所の林縁などによく見られます。

 果実は節によって2つに分かれており、「節果(せつか)」と呼ばれています。和名の盗人萩(ヌスビトハギ)の由来は2つの説があり、いずれもこの節果に関係しています。1つは節果の形が、足袋を履いた盗人が忍び足で歩いたときの足跡に似るという説です。もう1つは節果には先の曲がった毛が密生しており、動物や衣服に付着するので、盗人が人に取りつく様子に見立てたという説です。

2018.09.25

ミョウガ

 キャンパス内にミョウガが群生している場所が何か所かあります。野生状態で生育していますが、いずれも栽培されていたものが逃げ出したものと考えられます。

 食用にされる部分は「花茎(かけい)」です。普通の葉とは別に,地下の茎から出てきます。花が咲く前のものが食用にされるので、スーパーなどでは蕾の状態で売られています。自然の状態では下の写真のように淡黄色の花が次々と咲きますが,1つの花は1日でしぼんでしまいます。

2018.09.21

コミカンソウ

 共生の森にコミカンソウが生えています。暖地の畑や道端によく見られる植物です。葉は一見すると、オジギソウやネムノキのように複数の小葉が1つの葉をつくる「羽状複葉(うじょうふくよう)」のように思われますが、小葉に見えるものが1つの葉です。


葉の付け根には、名前の由来となった小さいみかんのような果実が並んでいるのが特徴です。

 枝の先の方には雄花がついていました。がく片と花弁の区別のない6枚の「花被片(かひへん)」からなる可愛らしい花です。

2018.09.14

アマチャヅル

 校内のヒノキ林の林床でアマチャヅルが開花しています。花は星型で、「鳥足状複葉(とりあしじょうふくよう」と呼ばれる形の葉が特徴的です。

 つる性の植物で葉に甘味があることから「甘茶蔓(あまちゃづる)」と呼ばれています。一般に甘茶というと、アジサイの仲間のアマチャから作ったものを指しますが、味が似ることから本種から作ったお茶も甘茶と呼ぶことがあります。しかし、アマチャヅルはウリ科で、アマチャはユキノシタ科なので全くの別種です。

2018.09.07

ウド

 共生の森でウドの花が咲き始めています。若芽は春の山菜として有名で、畑で栽培されることもあります。


 大型の多年草で、下の写真のように花をつけた茎は2mを超すほど高く伸びていました。「ウドの大木」という言葉のウドはこの植物のことです。「ウドの大木」を辞書で調べると「〔ウドは茎が高く生長するが、食用にはならなくなり、また茎が柔らかくて用途がないことから〕体ばかり大きくて、何の役にも立たない人のたとえ。」(大辞林 第三版)とあります。しかし、これは訂正しなければなりません。大きく伸びたウドがつける花や蕾は食用になります。私は毎年この時期になると、ウドの蕾を穂ごと摘み取り、薄く衣をつけて天ぷらにしています。香りがよく、とても美味です。

2018.08.31

クズ

 共生の森の近くでクズの花が咲いていました。クズは生命力旺盛なつる性植物で、他の植物を覆いつくしてしまうほどです。


 万葉集の時代から秋の七草の1つに数えられ、とても身近な植物だったことがわかります。根からとれるデンプンを和菓子に利用したり、つるの繊維から布をつくったり、葉を家畜の飼料にしたりと、様々な用途に使われてきました。
ところで、帰化植物というと、海外から日本に入ってきた植物に意識が向かいがちです。しかし、実は日本から海外へ渡っていき定着している植物も少なくありません。その代表の1つがクズです。アメリカの南東部では、初めは有用な植物として積極的に導入されたクズが、今では町のいたるところで大繁殖し、現地の人々を困らせているようです。

2018.08.28

コチャガヤツリ

 共生の森にコチャガヤツリが群生していました。カヤツリグサの仲間です。「花序(かじょ、花のつき方)」は線香花火のような面白い形をしています。よく似た近縁な種もいくつかありますが、花の特徴からコチャガヤツリと考えられます。


 カヤツリグサの仲間は、一見するとイネやススキなどのイネ科の仲間のようにも見えますが、カヤツリグサ科という別の科に分類されています。見分けるポイントとして、多くのカヤツリグサ科の植物は下の写真のように茎の断面が三角形になっているという特徴があります。

2018.08.24

シンテッポウユリ

 キャンパス内でシンテッポウユリが白い花を咲かせています。シンテッポウユリは台湾原産のタカサゴユリと在来種のテッポウユリとの交雑由来の種を指しています。園芸目的で育てられていたものが野生化したと言われています。花の外側は赤みを帯びるものから、白いものまで変異が見られるようです。


シンテッポウユリは野生のユリとしては最も目にする機会が多いかもしれません。道路のわきや空き地などいたるところに見られます。ヤマユリなど他のユリは種子から開花まで数年かかるのがふつうです。しかし本種は種子から1年以内に開花し、たくさんの種子をつくるため、急速に分布を広げているようです。

2018.08.21

クサギ

 駐車場から共生の森へ行く道の途中にクサギが咲いていました。花は長い筒状の部分があり、長い口吻(こうふん)をもつアゲハチョウの仲間の大型のチョウが蜜を吸いに訪れているのをよく見ます。

クサギとは臭い木という意味で、葉をちぎったり傷つけたりすると、独特の臭いがすることに由来しています。臭いからクサギとは少しかわいそうな気もしますが、平安時代の本草書(薬物書)にもある歴史のある名前だそうです。個人的には、ピーナッツのような匂いで、それほど嫌な感じはしませんが、感じ方は人それぞれのようです。

2018.08.17

コガンピ

 ヒノキ林の林縁に、コガンピが咲いていました。1m以下の小低木で、冬になると地上部は基部を残して枯れてしまいます。地域のよっては草原の減少に伴って数を減らしているようですが、不二聖心では林縁や草原の手入れがされているために、毎年見ることができています。


近縁のガンピやサクラガンピなどは高級和紙の原料として利用されてきましたが、コガンピの樹皮はもろく、和紙の原料としては使えないようです。植物では、有用な植物に似ているが役に立たない植物の名前にイヌをつける習慣があり、コガンピは別名イヌガンピと呼ばれています。

2018.08.14

アリノトウグサ

 オークヒル沿いの斜面にアリノトウグサが生えています。和名は「蟻の塔草(ありのとうぐさ)」で全体を蟻塚に、花を蟻に見立てていると言われています。

 アリノトウグサは1つの花の中で先に雄しべが成熟し、その後に雌しべが成熟する「雄しべ先熟(おしべせんじゅく)」という性質を持っています。下の写真は雄性期で、雄しべと開いた花弁が目立ちます。

下の写真は雌性期の花で、すでに雄しべと花弁は落ちて、羽毛状の雌しべの柱頭が目立ちます。雄しべ先熟は、雄しべと雌しべの成熟する時期をずらすことによって、自分の花粉で受粉しないようにする植物の工夫であると考えられています。

2018.08.10

カナビキソウ

 オークヒルにイネ科の植物などに交じってカナビキソウが見られます。葉緑体を持ち、自ら光合成をしながらも、地下ではほかの植物から栄養分を奪っている半寄生性の植物です。

 下の写真は花のアップです。葉は細く、花も小さく目立たないため、周りの植物に紛れて見逃しやすいですが、よく観察するとオークヒルのところどころに生えていることがわかります。

2018.08.07

コニシキソウ

 お茶畑のわきなど、いたるところにコニシキソウが見られます。北アメリカ原産の帰化植物ですが、日本各地の畑や路傍に普通に見られる雑草になっています。一方で在来種のニシキソウはコニシキソウにおされて少なくなりつつあるそうです。

 コニシキソウは受粉にアリをうまく利用しています。下の写真は雄花を拡大したものです。雄しべの根もとにあるものは蜜腺です。アリが蜜を吸おうと頭を近づけると、ちょうど雄しべの先端に頭があたり、花粉がつくようになっています。

下の写真は雌花を拡大したものです。雄花と同様に蜜腺が見られます。雄花で花粉をつけたアリが蜜を吸おうと頭を近づけると、やはり雌しべの先端の柱頭に頭がぶつかり、受粉するようになっています。雑草として見過ごしてしまう植物もよく観察すると大変興味深い生態をもっています。

2018.08.03

アイナエ

 オークヒルの一部にアイナエが群生しています。図鑑によると日当たりの良い暖地の低湿地に生えるとなっていますが、オークヒルも生育に適した環境なのでしょうか。芝生に交じって生え、長い花茎の先に白い小さな花をつけています。

 下の写真のように、花茎より下の茎は地上から1cmほどの高さしかなく、2~4対ある葉も周りの植物に埋もれてほとんど目立ちません。おそらく周りの植物が大きく育っている場所では十分に光が得られず生育できないと思われます。この場所は、定期的に芝刈りが行われているため、アイナエの生育に適した環境が保たれているのかもしれません。

2018.07.24

ハエドクソウ

 校内の日当たりの悪い斜面や林床にハエドクソウが咲いています。全体に有毒成分があり、根を絞った汁でハエ取り紙をつくったことが和名の由来です。


 花には小さいアリが来ていました。花の蜜には毒が含まれていないのでしょうか。ハエドクソウは花や葉の形状や花期の違いによって「ハエドクソウ」と「ナガバハエドクソウ」の2種類に区別されることがあります。写真のハエドクソウは葉の基部の形状などからナガバハエドクソウだと思います。

2018.07.17

ヤマユリ

 校内でヤマユリが開花しています。手のひらほどの大きな花で、強い芳香があります。とても立派な花なので園芸品種のようですが、本州の近畿地方以東に自生している日本固有の野生植物です。


 校内では急な斜面に垂れ下がるように咲いている個体はよく見ますが、平らな場所に生えているものはほとんど見ません。ヤマユリの「鱗茎(りんけい、いわゆる球根)」は苦味がなく、ゆり根として食用になります。おそらくイノシシなどの野生動物も鱗茎を掘って食べてしまうので、斜面など掘って食べにくい場所にある個体が残っているのだろうと考えられます。

2018.07.10

ネジバナ

 古くなった木製のベンチにネジバナが咲いていました。花が茎にらせん状につき、ねじれて見えることが和名の由来です。花のねじれの向きは決まっていないようで左巻きや右巻き、ほとんどねじれないものなど変異があります。


 ネジバナはランの仲間です。下の写真は花をアップで撮影したもので、小さくてもちゃんとランらしい左右対称な花のつくりをしています。ランの仲間には絶滅危惧種に指定されている希少な種も多いですが、ネジバナは最も身近に見られるランの仲間と言ってもよいのではないでしょうか。


 芝生に交じって群生し、雑草のように扱われることもあるネジバナですが、いざ育てようと思うと意外に難しいことが知られています。それはランの仲間は菌根菌と呼ばれるカビやキノコの仲間と共生しており、菌根菌がいない環境に移されてしまうと弱って枯れてしまうからです。一枚目の写真のネジバナも、かわいそうだからと別の場所に植え替えてしまうとかえって弱ってしまう可能性があります。一見すると土もなく厳しい環境に見えるベンチの上も、ネジバナにとっては菌根菌に囲まれて、他にライバルとなる植物のいない快適な環境なのかもしれません。

2018.07.06

ハナイカダ

 校舎の裏の斜面にあるハナイカダの果実が紫黒色に熟していました。葉の中央に花をつけるというユニークな特徴をもっています。ハナイカダという和名は、この特徴を筏(いかだ)に乗る人の姿に見立てたことが由来になっています。

 ふつう、植物の芽は茎の先端か、「葉腋(ようえき)」と呼ばれる葉の付け根にできます。花芽も茎の先端か葉腋にできるのがふつうなので、葉の中央に花が咲いていると違和感を覚えます。しかし、上の写真をよく見ると、葉の付け根から果実までの葉脈が太くなっていることに気が付きます。ハナイカダは、葉腋から伸びた花の軸と葉脈が癒合した結果、葉の中央から花が咲いていると理解されています。

2018.07.03

タシロラン

 校内でタシロランの開花を確認しました。全体が白いのは葉緑体を持たないためです。タシロランは養分のすべてを光合成ではなく土壌中の菌類から得ています。

 1970年代までは大変珍しいランでしたが、最近では分布域を広げつつあるようです。常緑広葉樹林内に生えるということで、そのような環境が増えているのかもしれません。とはいえ、現在も環境省によって準絶滅危惧種に指定されており、環境の変化によって絶滅の危機に瀕する可能性があります。不二聖心ではこの季節になると注意して観察していますが、見られる年と見られない年があります。今年はこの1株しか確認できていません。今後も観察を続けたいと思います。

2018.06.26

ナワシロイチゴとアオガネヒメサルハムシ

 ススキ野原にナワシロイチゴが咲いていました。「苗代(なわしろ)」とは稲の苗を育てる場所のことです。苗代で稲の苗を育てる時期に赤い果実ができることからナワシロイチゴと呼ばれたそうです。しかし、現在の稲作ではすでに田植えも済んでいるのでずいぶんと時期がずれてしまっています。ピンク色の花弁は直立し、雄しべや雌しべを包むように咲きます。

 葉は食べられたような痕だらけで、よく観察すると下の写真のような2mm前後の小さなハムシがたくさんついていました。アオガネヒメサルハムシだと思います。しかし、観察したときには葉ではなく花に集まっていたので、花粉を食べている可能性もあります。体中に花粉をつけて動き回っているので、受粉の手助けになっていそうです。ナワシロイチゴは多少食べられてしまう代わりに、アオガネヒメサルハムシに受粉を手伝ってもらっているのかもしれません。

2018.06.15

サルナシ

 学院の森にサルナシが生育している場所があります。先日、様子を見に行ったのですが、すでに花の時期は終わっており、果実ができつつありました。マタタビ科のつる性の落葉樹で、葉の柄の部分が赤くなるという特徴があります。


 2~3cmになる果実は秋に熟し、甘く食用になります。キウイフルーツと近縁で、味や果肉の見た目はキウイフルーツに似ています。近年は、ベビーキウイなどの名称でスーパーの果物コーナーに海外産のサルナシが売られていることもあります。秋になったら再びこの場所を訪れて、不二聖心産のサルナシを味わってみたいと思います。

2018.06.12

エビガライチゴ

 2週間ほど前から共生の森でエビガライチゴが咲いています。植物体に長い赤色の腺毛が密生しており、白い花弁は直立して雄しべや雌しべを包むように咲くのが特徴です。中部日本の代表的なキイチゴ類の一種で赤く熟した果実は食用になります。


 がくは花が咲き終わるといったん閉じ、実が熟すころに再び開きます。写真に見られる先端の方のものはつぼみではなく、咲き終わった後の花で、中にはまだ熟していない青い果実が見られます。腺毛からはネバネバする液体が分泌されており、小さい虫は絡まって動けなくなっているようです。エビガライチゴの長い腺毛と開閉するがくは果実が成熟するまで虫からの食害を防ぐ働きがあるのかもしれません。

2018.06.05

テイカカズラ

 校内の林でテイカカズラが咲いています。「カズラ」とはつる性植物の総称で、テイカカズラの花も他の樹木や岩にぶら下がって咲いています。


 「テイカ」は藤原定家に由来しており、定家が恋した式子内親王の墓石にからみついた本種をテイカカズラと呼ぶようになったそうです。下の写真はセカンドオークヒルで撮ったものです。白く見える部分はすべてテイカカズラの花で、15mはあるヒノキを覆いつくす勢いで繁茂しています。この強い生命力を見た昔の人々がテイカカズラと定家の執念を結び付けて考えたのかもしれません。

2018.05.25

タチツボスミレ

 タチツボスミレが閉鎖花をつけています。つぼみのように見えますが、このまま花が開くことなく受粉が行われ、種子がつくられます。


 ふつうの花では、昆虫などに花粉を運んでもらうため、うまく受粉に成功しなければ種子をつくることはできません。しかし、閉鎖花では下の写真のようにほとんど受粉に成功し、種子をつけているようです。


 今日は創立者聖マグダレナ・ソフィアの祝日です。彼女は特にスミレの花を好んだといわれています。残念ながら今の時期に紫色の可憐な花を見ることはできませんが、花期の終わりに閉鎖花をつけて確実に子孫を残すスミレの姿を見ることができます。

2018.05.15

ニワゼキショウ

 校舎近くの芝生やオークヒルにたくさんのニワゼキショウが咲き始めました。北アメリカ原産で明治20年ごろに渡来し各地に広がったそうです。


 名前は庭に咲くセキショウという意味です。セキショウは川の縁などに自生しています。下の写真はマリア館前のビオトープ池に植栽されたセキショウです。4月に撮影したもので、黄緑色の棒状のものが花の集まりです。花は全く似ていませんが、葉のつき方は似ています。

2018.05.11

ウマノアシガタ

 駐車場の近くにウマノアシガタが群生している場所があります。別名をキンポウゲといいますが、本来はウマノアシガタの花が重弁になったものをキンポウゲと呼んでいたようです。花弁には光沢があって遠くからでも目を引きます。

 ウマノアシガタの由来は、葉の形が馬の足跡に似ているという説と、花の形が馬用の履物である馬沓(うまぐつ)の形に似ているという説があるようですが、どちらもあまり似ていないような気もします。

2018.05.08

ホソバオオアマナ

 クリ畑の隅にホソバオオアマナが咲いていました。周りによく溶け込んでいたので在来種かと思いましたが、地中海沿岸地方原産の帰化植物でした。観賞用に栽培されていたものが野生化して分布を広げていると言われています。

 英語版ウィキペディアによると、この仲間は、星の形をした花をキリストが誕生したときに現れたベツレヘムの星に見立てて“Star-of-Bethlehem”と呼ばれているそうです。

2018.04.24

ナベワリ

  先週、ヒノキ林の斜面にナベワリが咲いているのを見つけました。花は緑色で下を向いています。有毒植物で、舐めると舌が割れるという意味の「舐め割り」が訛ってナベワリとなったと言われています。

 ナベワリ属は日本にナベワリを含む2種と北アメリカ東部に1種が知られています。被子植物では60前後のグループでこのような東アジアと北アメリカ東部に隔離分布をする植物が見つかっています。これらの植物は古第三期 (約6500万年前~)の地球が比較的温暖だったときには北極圏を取り囲むように分布していましたが、その後の寒冷化に伴い南下してきて、現在見られるような隔離分布を示すようになったと考えられています。

2018.04.17

スルガテンナンショウ

 校舎の近くにスルガテンナンショウが咲いていました。「仏炎苞(ぶつえんほう)」と呼ばれる筒状の葉に花の集まりが包まれており、独特の雰囲気があります。


 近縁の種には、草姿や模様がマムシに似ていることからマムシグサと呼ばれるものもあります。本種は仏炎苞の上部の内側に微細な突起が密生することや、付属体と呼ばれる棒状の部分の先端が前方に曲がり球状にふくらむことで区別されます。スルガテンナンショウの分布は中部地方の太平洋側とされており、『神奈川県植物誌2001』に記録がないことから、不二聖心がほとんど分布の東限と言ってよいかもしれません。

2018.04.13

サトザクラ

 職員室横の八重咲きのサトザクラが満開を迎えています。サクラの園芸品種は200種類以上あると言われていますが、これらを総称してサトザクラと呼んでいます。生徒と花弁の枚数を数えたところ、1つの花につき23~32枚の花弁がありました。


 ヤマザクラなど野生のサクラの花には5枚の花弁と多数の雄しべがあります。八重咲きのサトザクラは遺伝子の異常によって雄しべが花弁に変化したものと考えられています。花を分解してみると、下の写真のように花弁と雄しべの中間の形をしたものが見られました。確かに、雄しべが花弁に変化しているようです。

 木曜日には家庭科クラブの生徒たちが、開ききる前の花を摘み取って「桜の塩漬け」づくりをしていました。サトザクラは目で見て楽しむだけでなく、食用にも利用されています。この後、塩や酢に漬け込み、1か月ほどで出来上がるそうです。

2018.04.06

ジロボウエンゴサクとタチツボスミレ

 ジロボウエンゴサクとタチツボスミレが並んで咲いていました。写真の中央の淡紅紫色の花がジロボウエンゴサクで、そのまわりがタチツボスミレです。

 ジロボウエンゴサクとタチツボスミレは花の後方に「距(きょ)」と呼ばれる筒状の部分をもっているという共通点があります。江戸時代、子供たちがスミレとエンゴサクの距をひっかけて草相撲のような遊びをしたときに、スミレを「太郎坊」と呼び、エンゴサクを「次郎坊」と呼んでいたことが、ジロボウエンゴサクの由来と言われています。

2018.04.03

モミジイチゴ

 モミジイチゴが白い花を咲かせています。不二聖心ではいくつかのキイチゴの仲間が見られますが、このモミジイチゴが最も早く花を咲かせるように思います。花は下向きに咲くので、覗き込むように写真を撮りました。


 葉は変異が大きく、また、近い種との雑種をつくりやすいことから分類は難しいグループのようです。不二聖心に見られるものは下の写真のように、切れ込みが深いものが多いです。