フィールド日記
2014.10.19
2月の大雪で倒れたクヌギとクヌギとクヌギトゲマダラアブラムシ
2月の大雪で倒れたクヌギの切り株から再び芽が出て、ここまで大きく成長しました。
若い木は生命力があり、それに惹かれてたくさんの生き物が集まってきます。
上の画像に写っているのは、クヌギトゲマダラアブラムシとアブラムシの出す甘い汁をなめようと集まったアリです。クヌギトゲマダラアブラムシは名前の通り、クヌギだけに集まるアブラムシで、多くのアブラムシはこのように特定の植物との強い結びつきを持っています。
次の画像は成虫の拡大画像で翅があります。
次の画像は幼虫の画像です。
農業害虫として扱われることの多いアブラムシですが、生態系や生物多様性の理解には非常に役に立つ生物でもあります。
今日のことば
億兆の中の一匹秋刀魚焼く 野村親信
2014.10.15
間伐材を用いたベンチ作り
NPO法人「土に還る木・森づくりの会」の方々のご指導のもと、高校1年生が総合学習の時間に間伐材を用いたベンチ作りに挑戦しました。直前に講習を受けたインパクトドリルの使い方もしっかりマスターし長いネジを巧みに打ち込む姿が見られました。
間伐材が生まれ変わったベンチは、ペンキが乾き次第、中学校の中庭や寄宿舎の中庭や山の家の駐車場などに置かれることになっています。
今日のことば
帰りには素直となりし花野かな 吉野佳一
空青きゆゑを学びてより高し 中尾公一
2014.10.07
希少種ケラの幼虫
職員室で仕事をしている時に生徒から呼ばれ、廊下に出てみると、そこには「新種か見つかった」と興奮している3人の中学1年生がいました。大事そうに「新種」を包んだ紙を広げてみると、そこにはケラの幼虫がいました。やなせたかしの「手のひらを太陽に」に出てくる、あのケラです。残念ながら新種ではありませんでしたが、ケラは神奈川県と京都府が要注目種に指定している希少種です。昔に比べて本当に姿を見かけることが少なくなりました。ましてや幼虫などめったに見ることはできません。3人の生徒のおかげでたいへん貴重な体験をすることができました。
今日のことば
ぼくらはみんな 生きている
生きているから 歌うんだ
ぼくらはみんな 生きている
生きているから かなしいんだ
手のひらを太陽に すかしてみれば
まっかに流れる ぼくの血潮(ちしお)
ミミズだって オケラだって
アメンボだって
みんな みんな生きているんだ
友だちなんだ
やなせたかし
2014.10.04
ハゼの紅葉と実
ウルシ科のハゼの紅葉が始まりました。ウルシ科の樹木はどれも紅葉が一際美しいです。
紅葉に比べて実は目立ちませんが、和ロウソクの材料になることで知られています。
不二聖心では、牧草地や東名高速沿いの道、温情の灯の碑の近くなど、いろいろなところでハゼの木を見ることができます。
今日のことば
誰かさんが 誰かさんが 誰かさんが みつけた
ちいさい秋 ちいさい秋 ちいさい秋 みつけた
昔の昔の 風見の鳥の ぼやけたとさかに
はぜの葉ひとつ はぜの葉あかくて 入日色
ちいさい秋 ちいさい秋 ちいさい秋 みつけた
サトウハチロー
2014.09.30
お茶の花
気がつくとお茶畑のお茶の花がたくさん咲いていました。近くにはハナアブの姿も見られました。これから11月頃までお茶の花は咲き続け、多くの生き物たちを養っていきます。
今日のことば
茶の花や黄にも白にもおぼつかな 蕪村
2014.09.26
ニホンザルの親子
久しぶりに聖心橋でサルの家族に出会いました。金網の向こう側に子ザルも小さく写っています。
金網の上を自在に歩く姿は見事です。
不二聖心では、よく見られる光景ですが、グローバルな視点で見ると、これだけ緯度が高くて野生のサルが人里近くで見られるのは極めて珍しいことです。
今日のことば
しがみつきながら体をかたむけて子は犬という生き物を見る 俵万智
2014.09.23
白いヒガンバナ ヤマガラ カノコガ
校舎の裏で3種類の動植物を観察することができました。
一つ目は白いヒガンバナです。先週は黄色いヒガンバナの話題がニュースになっていましたが、不二聖心では白いヒガンバナを毎年目にすることができます。
二つ目はヤマガラです。秋になって急に姿を目にすることが増えてきました。北村薫の名作『盤上の敵』の、ヤマガラが鳴くラストシーンは忘れがたいです。
三つ目は、カノコガです。小鹿の模様と同じ模様なので、「鹿の子蛾(カノコガ)」という名前がつけられています。
今日のことば
時知らぬ山は富士の嶺いつとてか
鹿の子まだらに雪のふるらむ 在原業平
灌仏の日に生まれあふ鹿の子かな 松尾芭蕉
2014.09.17
三井物産環境・社会貢献部の方のご講演
高校1年生の総合学習の時間に、三井物産環境・社会貢献部社有林・環境基金室の大木貴嗣さんと斉藤江美さんの講演がありました。森の恵みの話から日本の林業の現状や三井物産の社有林を活用しての社会貢献の話まで話題を多岐に及びました。
特に印象に残ったのは日本とドイツの林業の比較の話です。大木さんは実際にドイツに行って現状を視察していらしただけに、その言葉には説得力があり、講演後の食事の席でも明治時代とは違った意味で日本はドイツに学ぶことができると力説していらっしゃいました。
講演が終わっても生徒たちと大木さん、斉藤さんとの談笑は続き、生徒が木に対して関心を深めていく様子が見られました。その輪にメキシコからの留学生も加わり、斉藤さんと楽しそうにスペイン語で話をしていました。
今日のことば
大木を見つつ閉す戸や秋の暮 飯田蛇笏
2014.09.15
ツリガネニンジンと盗蜜
今年もツリガネニンジンがたくさんの花を咲かせています。蜜を吸うために訪れた虫は花の中に潜り体に花粉をつけて次の花に移動します。体についた花粉が次の花の雌蕊につき受粉が成立したことになります。
受粉昆虫は花から蜜をもらう代わりに受粉の手伝いをするわけですが、中には花に潜る手間を省いて花弁に穴を開け蜜を盗む輩もいます。被害にあったツリガネニンジンを見つけました。
この行為を盗蜜と言います。
今日のことば
もう一度、
あなたが好きだな、
気持ちがよいと感じる場所について考えてみよう。
その場所はいろいろな要素が「ある」のではなく、「ない」のではないだろうか。
ものが少ない。
大勢の人がいない。
匂いがしない。
雑音がない。
そして巨大ではない。
松山巖
2014.09.10
森の健康診断と間伐体験学習
高校1年生の総合学習の時間に、矢作川水系森林ボランティア協議会の方々のご指導のもと、森の健康診断と間伐体験学習が行われました。森林の樹木の混み具合を測定して間伐すべき木を決め、手ノコとロープを使って伐採をしました。
倒れた木の樹高を測ったら約16メートルでした。樹齢は約50年です。
空には大きな穴があき、そこから光が森に射しこみました。この光が森を健康にしていきます。
今日のことば
ことばって、何だと思う?
けっしてことばにできない思いが、
ここにあると指すのが、ことばだ。
長田弘