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フィールド日記

2014.01.21

昇る朝日  ニイニイゼミの抜け殻

今朝は昨日までと比べて若干気温が高く、昇る太陽が実に美しい朝でした。


教頭の田中正延先生が、ニイニイゼミの抜け殻がキンモクセイの木についているのを見つけてくださいました。秋に何度も台風が来たにもかかわらず、落ちることのなかった抜け殻です。蝉の種類で抜け殻もさまざまですが、ニイニイゼミは泥にまみれているので、よくわかります。まもなく中学3年生は授業で「おくのほそ道」の「閑かさや岩にしみいる蝉の声」の句を学習する予定ですが、あの蝉もニイニイゼミだと言われています。


今日のことば
岩に爪たてて空蝉泥まみれ   西東三鬼

2014.01.15

堆積する落ち葉とイボトビムシ

 落葉の時期は樹木によってさまざまですが、さすがに今の時期になると、落葉樹の葉はほとんどすべて落ちつくしてしまいます。落ち葉の降り積もった場所は不思議な静けさをもっていますが、実はその下には多数の生き物が生活しています。

 下の画像の生物は校舎の裏道の脇に堆積する落ち葉の下から採集したイボトビムシ科のトビムシです。属はLobellaかVitronuraではないかと思われます。


 トビムシは跳躍器を持つために「跳び虫」と名付けられていますが、イボトビムシ科のトビムシには跳躍器がありません。トビムシは食物連鎖の底辺を支える重要な生き物です。跳躍器を持たず逃げるのが下手なイボトビムシは、とりわけ多くの生物の命の糧となっている可能性が高いと言えます。

今日のことば

メキシコ産のつゆくさの学名も読みて行く学名は学のよろこびのごと     高安国世

2014.01.12

マリアガーデンの蠟梅(ロウバイ)

マリアガーデンの蠟梅がたくさんの蕾をつけています。


蕾の一つが花開きました。


 冬の自然に貴重な彩りを添える蠟梅は多くの人に愛されている木です。文筆家の杉本秀太郎が亡友、大槻鉄男について書いた随筆には次のような一節があります。

 展墓ののち、高野川の堤を少し引き返して亡友の家を訪ねる。生前に愛していた蠟梅が、折しも窓辺に咲いている。七年のうちに、めっきり背が伸びて、かさ高くなり、夏などは見るも暑苦しく枝葉をしげらせているが、いまは寒々とした裸木に咲きだした胡蝶のような黄花だけが目にいちじるしい。
 大槻は不慮の死によってわれわれを狼狽させた。この日を蠟梅忌と呼びならわしている仲間たちが、一月十四日の日暮れとともに、蠟梅の見える亡友の居間に寄りつどうのである。


 
 今日のことば

 古い家のない町は、思い出のない人間と同じである。    ドイツのことわざ
 
 



2014.01.09

虹とメタセコイア

今日はクラブの時間にこれまでに見たことがないような美しい虹を見ることができました。

本館前からの眺めもすばらしかったですが、寄宿舎の裏のメタセコイアにかかる虹もとても美しかったです。メタセコイアを久しぶりに眺めて「冬のソナタ」を思い出し、生徒たちにそのことを伝えたら、私たちは「冬のソナタ」を知らないんですと言われ驚きました。


 今日のことば

 雨があがって
 雲間から
 乾麺みたいに真直な
 陽射しがたくさん地上に刺さり
 行手に榛名山が見えたころ
 山路を登るバスの中で見たのだ、虹の足を。
 眼下にひろがる田圃の上に
 虹がそっと足を下ろしたのを!
 野面にすらりと足を置いて
 虹のアーチが軽やかに
 すっくと空に立ったのを!
 その虹の足の底に
 小さな村といくつかの家が
 すっぽり抱かれて染めていたのだ。
 それなのに
 家から飛び出して虹の足をさわろうとする人影は見えない。
 ――おーい、君の家が虹の中にあるぞオ
 乗客たちは頬を火照らせ
 野面に立った虹の足に見とれた。
 多分、あれはバスの中の僕らには見えて
 村の人々には見えないのだ。
 そんなこともあるのだろう
 他人には見えて
 自分には見えない幸福の中で
 格別驚きもせず
 幸福に生きていることが――。

        「虹の足」(吉野弘)より

2014.01.08

クスノキの実と鳥のにぎわい

クスノキにたくさんの鳥がやってきて、黒い実をついばんでいます。それはそれは賑やかな声です。先月にはこのような光景はまだ見られませんでした。クスノキはあえて目立たない黒い実をつけ、成熟を遅らせているのかもしれません。そうすることで赤い実を食べつくした鳥たちを集中的に自分のところに集められるからです。
校舎のうしろの道はクスノキの実だらけの状態になっています。



今日のことば

啄みて正月(むつき)の庭に羽小さき鳥遊びゐき、人を愛さむ       宮柊二

2014.01.06

富士山の笠雲  ブナの新芽

牧草地から見る富士山に大きな笠雲がかかっていまた。今日も富士山麓は晴天に恵まれましたが、富士山頂はだいぶ荒れていたようです。



この牧草地の縁にはブナが何本も生えています。かつて生徒が植えたブナですが、元気よく成長を続けています。特徴のある冬芽にも静かにみなぎる力を感じることができました。
ブナは通常1000メートルぐらいの高地に見られる樹木ですが、地域によって標高の低いところでもよく育っている例があります。不二聖心の標高(約200メートル)も決してブナ向きではありませんが、牧草地は何かブナの気に入る条件を備えているようです。




今日のことば

生きるとは、複数の問いを燃やすことだ。    アントナン・アルトー

2013.12.27

イロハモミジの紅葉とカラフルなアリグモ

高1松組横の中庭でアリグモの巣を見つけました。アリグモはアリに擬態するクモで黒色の個体が多いのですが、今回見つけたアリグモはなかなかカラフルでした。これでは擬態の意味が薄れるのではと心配になります。



高1梅組の中庭ではイロハモミジの稚樹が紅葉しているのを見つけました。周囲にモミジの木はありませんから建物を越えて飛んできたものと思われます。イロハモミジの葉はプロペラ状になっていて風によく舞う形をしています。



今日のことば

キリストが百度、千度生まるるとも、
汝の心に生まれざれば、
何の益かあらん。

2013.12.25

聖母子像とクリスマスカラーの万両

今朝の気温は氷点下を記録し、牧草地一面に霜がおりていました。草刈りを終えた牧草地から見える富士山は格別の美しさでした。


第一牧草地から第二牧草地に向かう途中に立つ聖母子像にクリスマスカラーの万両が彩りをそえていました。


静かなクリスマスの朝でした。


今日のことば

冨士の冴え祈りの心諭しけり    西山民雄

2013.12.23

東名高速の下のオナシガワゲラ


裏道の東名高速道路下のトンネルのガードレールにオナシカワゲラがとまっていました。どうやらガードレールに付着した苔を食べているようです。


オナシカワゲラの幼虫は水中に生息して落ち葉を食べます。


秋に落ちた葉は冬の時期に腐って食べやすくなるので落葉食の生き物はこの時期に大きく成長します。一見生き物の気配が乏しくなるように思える冬ですが、冬期に最も活動的になる生き物もいるということです。


今日のことば

だれかの情熱に触れると、なぜかひとは幸せを感じる。     三浦しをん

2013.12.19

バラ科キイチゴ属フユイチゴ

不二聖心の林道や林の縁にはバラ科キイチゴ属のフユイチゴがたくさん生えています。場所によっては斜面全体がフユイチゴで覆われているところもあります。近隣の山林と比較しても不二聖心ほどフユイチゴがたくさん見られる環境は少ないのではないでしょうか。
今年もそのフユイチゴがたくさんの実をつけました。この実を赤ワインと一緒に煮て少し砂糖を加えると美味しいジャムができます。

今日のことば

凡庸な教師はただしゃべる。よい教師は説明する。すぐれた教師は自らやってみせる。そして、偉大な教師は心に火をつける。
                               ウィリアム・アーサー・ワード