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フィールド日記

2012.08.08

ツノトンボ

  2012.08.08 Wednesday

 今朝は久しぶりに裏の雑木林の縁の道を歩いてみました。雑木林を歩いていて面白いと思
うのは、林の中よりも縁の方が生息する生物が多様だということです。今日は、宮城県と千
葉県で絶滅危惧Ⅰ類に指定されているツノトンボを見つけました。ツノトンボという名前で
すが、トンボとは全く違う種類です。トンボは不完全変態(蛹の時期がない)の昆虫であるの
に対し、ツノトンボは完全変態(蛹の時期がある)の昆虫です。

 

                                            今日のことば

 生き物であれば、壊れることがある。時とともに古くなっていく。行き着く先は死である。
私たちは死ぬことを予知して恐れる。別離を悲しむ動物である。人生というのは過酷なもの
である。
 けれども、「人生は苦なり」と受け入れてしまえば、人生には喜びが満ちていることが見え
てくる。風で一枚の葉がそよぎ、それを私が見ることができるということにさえ、どれだけの
奇跡が満ちていることであろうか。
 まして、私が人間としてこの世に存在していることを思うとき、それが苦しい人生であろう
となかろうと、その偶然の積みかさねの重さに圧倒されて自然の前に平伏さざるをえない。
 自然に対する畏敬の念、三六億年という生命の歴史の時間に対する畏れは私の心を無限の感謝
で満たすのである。

                                                                                            柳澤桂子
 

                                               お知らせ

 いつも「不二聖心のフィールド日記」をご覧いただきありがとうございます。
この度、「不二聖心のフィールド日記」で紹介した内容を中心に不二聖心女子学院の校内
の自然を紹介した冊子『不二の自然4』(カラー写真30枚と解説)が完成しました。
購読を希望する方は、一冊につき切手400円分(送料込み)を同封し、下記の住所にお申
し込みください。(封筒にはお名前とご住所を必ずお書きください。)
なお、不二聖心のパンフレットを希望する方は、「パンフレットも希望」と書いた紙を同
封してください。『不二の自然4』を送る際に同封させていただきます。

 〒410-1126
静岡県裾野市桃園198 不二聖心女子学院 「不二の自然」係

 
 

                                     『不二の自然4』より

                                         不二の自然 95

                                                                 (裏の駐車場で撮影)
   ツノトンボ
  科名 アミメカゲロウ目ツノトンボ科
  学  名 Hybris subjacens

 不二聖心の生態系を変えつつある外来種の一つにメリケンカルカヤという植物がありま
す。第2牧草地は一時期、この植物にほぼ覆いつくされてしまいました。そのメリケンカル
カヤの茎に付いていたツノトンボの卵が孵化しました。ツノトンボは宮城県で絶滅危惧Ⅰ
類、千葉県で絶滅危惧Ⅱ類に指定されている希少種です。今回はさらにもう一か所、別のメ
リケンカルカヤの茎でも孵化を確認しました。外来種が希少種の保全に貢献している珍しい
例です。          

                                                                       (平成23年9月30日)