フィールド日記

2012.09.30

ソバの花が咲きました





2012.9.30  Sunday

不二聖心女子学院内のソバ畑の花が咲き始めました。受粉昆虫はさまざまで、アリだけでも何種か
確認できました。1枚目の写真のアリはキイロシリアゲアリです。3枚目の写真からわかるように
ソバの花には黄色い瘤状の蜜腺があり、ここから甘い蜜がたっぷりと出て、いろいろな昆虫を引き
寄せ、受粉の手伝いをさせています。私たちがおいしいソバを食べられるのは、この黄色い瘤のお
かげと言ってもいいでしょう。
台風17号が猛威をふるっています。農作物への被害が最小限にとどまることを祈らずにはいられません。

今日のことば


悲しみを受いれるとき
苦しみを受いれるとき
『受いれる』ことの
本当の価値を知る


『受いれる』(加島洋造)より

2012.09.29

休日がわかるサルたち





 

 2012.9.29  Saturday
聖心橋の近くでニホンザルの群れに出会いました。休日に学校に行くと、よく猿の群れに出会います。
猿は、学校が休日であることがわかっているように思えてなりません。警戒心もうすらいでいるようで、
たくさんの写真を撮ることができました。 

 

今日のことば

いま生物学者の中で、何を持って進化や発展を定義付けるかと言うと、「種の多様性」だ。最近、世界の
生物学者の意見がほぼ一致して、地球上での生物多様性こそが重要であると言われ始めた。
しかも、種はお互いに協力して生きているわけで、例えば井上民二は、イチジクとイチジクコバチの関係
を研究した。イチジクは緑色の果実の中央に小さい穴が開いていて、その中に花がある。その穴は特殊な
「鍵穴」のような形をしていて、その「鍵穴」に合う特殊なイチジクコバチにしか入れないような形にな
っている。「ケツァール」という千塚治虫の「火の鳥」のモデルになった鳥は、グアテマラやコスタリカ
にいるが、アボガドしか食べない。ケツァールはアボガドを食べた後の種を口から出すが、この鳥の強い
胃酸が発芽のトリガーとなり、その結果、アボガドは芽を出しやすくなる。ケツァールに栄養を与え、
そのかわり発芽しやすくしてもらっているのだ。このように、植物と動物はお互いに協力し合い、種の
多様性を拡げてきた。この協調関係を「共進化」もしくは「共生進化」と呼ぶ。特に、生物同士で「競争」
より「相利」の関係にあるものが、最近の研究でより多いということが解ってきた。
ここから予想されることは、人間も、生物多様性の価値観から、「競争」して相手を蹴落とすのではなく、
お互いに「相利」の関係にした方がより生き延びられる機会が多くなるということだ。民族や文化の違い
を超えて人類も「相利」の関係をつくることが、生物の生き方として優れていることを昆虫や植物から
学ぶ必要がある。

『緑の国へ』(稲本正)より

2012.09.28

イタドリ  ルリチュウレンジ  群がるヤマトシリアゲ

  2012.9.28 Friday

 東名高速沿いの道のイタドリの花の季節が間もなく終わろうとしています。ありふれたイタドリ
の花も近づいてみるとはっとするような美しさを持っています。この花を求めてたくさんの生き物が
集まってきます。

ルリチュウレンジがいました。ルリチュウレンジの幼虫は、ツツジの葉を食べます。おそらく
「温情の灯」の近くのツツジを食べて育ったルリチュウレンジではないかと思います。

 

 イチモンジセセリも翅を休めていました。翅の一文字模様がくっきりと写っています。

イタドリの葉の下にはバッタの死骸が落ちていて、ヤマトシリアゲが群がっていました。
ヤマトシリアゲは一匹で行動することが多く、写真のような光景は珍しいです。


 


今日のことば

 人間とは、人生とは、常に不安定なものではないでしょうか。飛行機を発明したライト兄弟は、
空を飛ぶという不安定なことを克服しようと思って飛行機を作った、と話したといいます。不安定
な時こそ、新しい何かを生むということもあると思います。
役者なら一度は演じたいとあこがれる役の一つがシェークスピアの「ハムレット」ですが、実は、
私は若いころからハムレットが好きじゃなかった。「生きるか死ぬか、それが問題だ」なんて、
そんなの、言っていること自体がおかしい。なんでそんなことで悩むんだ、と。こちらはガキの頃
から食えなくて、毎日空襲にあって逃げまわっていたんです。「今日はなんとか生き延びたぞ」って
思っていたんですから。
少年時代にあんな状況の中でも生きてこられた。役者になって、売れたり売れなかったり、苦しい
こともありました。そんな私がいつも思うのは「人間、太陽がある限り生きていける」ということです。
うろたえちゃあ、いけません。

                                 仲代達矢

2012.09.27

オナガササキリ  夕暮れの富士山

  2012.9.27 Thursday

 すすき野原でオナガササキリのオスが力強い鳴き声を響かせていました。2012年8月10日の
フィールド日記でオナガササキリのメスの写真を紹介しましたが、直翅目のキリギリス科の昆虫
の多くはオスとメスとでは姿が大きく異なることが、この写真からもよくわかります。


 
今日は出張で一日学校の外に出ていましたが、仕事を終えて学校に帰ると夕方の富士山が迎えて
くれました。秋の夕暮れ時の静かな富士の姿をながめていると、一日の疲れが癒されるようでした。


 

               

             今日のことば

           富士の冴え祈りの心諭しけり

                         西山民雄

2012.09.26

シロバナマンジュシャゲ

 

 2012.9.26 Wednesday
通勤途中に、稲刈りの終わった田に雀と烏と椋鳥が来て、落ち穂をついばんでいるのを見かけました。
田のふちにはたくさんの彼岸花が咲いていました。
不二聖心でも彼岸花は満開の時期を迎えています。プール近くの斜面で毎年、赤いヒガンバナが咲き、
校舎の裏やお茶室の近くではシロバナマンジュシャゲを見ることができます。

 

今日のことば


 ヒガンバナと同様に、種子を結ばないシロバナマンジュシャゲが雑種であることを最初に主張したのは
牧野富太郎であった。彼は専門誌『植物分類地理』に「今よくこの植物を観察してみると、これは疑いも
なく雑種であることがうなずける。そして、この両親は赤花を開くヒガンバナと黄花を開くショウキラン
であることが想像される」と書いた。ところが、この論文を読んださる高名な遺伝学者が、赤花と黄花と
の中間が白花になるとは考えられない、さすがの牧野も誤れり、と笑ったという。
しかし、その数年後には稲荷山資生などの細胞学者が核型分析と交雑実験をおこなって、牧野説が荒唐
無稽なものではないことを明らかにした。ただ、親の一方となった赤花種は日本の三倍体ヒガンバナでは
なく、中国のみに分布する種子で殖えることのできる二倍体のシナヒガンバナであろうと考えられた。
これが事実だとすると、黄花のショウキランは中国にも分布するので、シロバナマンジュシャゲの誕生の
地は九州だろうという牧野の推定は外れたことになる。だが調査した限りでは、中国大陸にはシロバナマ
ンジュシャゲは自生していない。中国の学者がシロバナマンジュシャゲと同定したものはよく似て非なる
ものであった。ルーツはどこにあるのか。
謎を秘めた美しい白花は、今年も静かに秋冷の夜に咲いていた。

                         『折節の花』(栗田子郎)より

2012.09.25

静岡県の要注目種モリアザミ

 

 2012.9.25 Tuesday
すすき野原で次々に花を咲かせて始めているモリアザミについて調べてみて驚いたことがあります。
なんと愛知県、奈良県、大阪府、高知県、宮崎県、長崎県では、すでにモリアザミは絶滅したとされ
ているのです。他にも15の県で絶滅危惧種か準絶滅危惧種に指定されています。静岡県の場合も要注
目種となっていました。
モリアザミはとりわけ丈の高いアザミです。青空に映える美しいピンクの花がいつまでも見られますよ
うにと祈らずにはいられません。




今日のことば

高校3年生の短歌

テスト前現実逃避がしたくなり初めて家の床を水拭き          
たくさんの友の言葉に励まされ六年(むとせ)経て知る皆の優しさ     
苦しみを味わうことには意味がある 心に沁みたシスターの言葉    
五時間目窓から覗く青空に平和の欠片広がれ世界に

2012.09.24

ワレモコウ  若山牧水の歌  オトギリソウ

  2012.9.24 Monday

  牧草地の入り口のところにワレモコウが咲いています。ワレモコウは、新潟県、福井県で
絶滅危惧Ⅱ類、長崎県で準絶滅危惧種に指定されているバラ科の植物です。若山牧水の歌に、
「吾木香すすきかるかや秋くさのさびしききはみ君におくらむ」という歌があります。
ワレモコウは、その寂しげな風情に深い魅力を感じさせる花です。

 

 すすき野原を歩いていて一つ気付いたことがあります。同じ場所に咲いているオトギリソウの
中に花弁の形の違うものがあるということです。オトギリソウは地域の固有種が多い植物ですが、
花弁の形の違いが何を意味しているのか、もう少し調べてみる必要がありそうです。


 

 

 
今日のことば

何か植物のことをたずねた時に、寺田(寅彦)さんは袖珍の植物図鑑をポケットから取り出し
たのである。山を歩くといろんな植物が目につく、それでこういうものを持って歩いている、
というのである。この成熟した物理学者は、ちょうど初めて自然界の現象に眼が開け来た少年
のように新鮮な興味で自然をながめている。植物にいろんな種類、いろんな形のあることが、
実に不思議でたまらないといった調子である。その話を聞いていると、自分のほうへもひしひし
とその興味が伝わってくる。人間の作る機械よりもはるかに精巧な機構を持った植物が、しかも
実に豊富な変様をもって目の前に展開されている。われわれは驚異の海のただ中に浮かんでいる。
山川草木はことごとく浄光を発して光り輝く。そういったような気持ちを寺田さんはわれわれに
伝えてくれるのである。

                                 和辻哲郎

2012.09.23

ヤマトシリアゲ(ベッコウシリアゲ)

 

 2012.9.23 Sunday

 今日は全国的に最高気温が30度を超える所がなく、ようやく秋らしい空気が日本列島を覆う
一日となりました。思えば、本当に暑い残暑の日々であったと思います。否が応でも温暖化の
ことを思わざるをえない毎日でした。昨日の「秋の30分ハイキング」の時には、温暖化指標の
蝶として知られるツマグロヒョウモンのメスが優雅にすすき野原の上を舞っていました。
今日の朝日新聞の天声人語には次のような一節が載っていました。


 先ごろの朝日川柳が嘆いた通り、まるで「春夏夏冬」の残暑だった。8月下旬から9月中旬、
北日本の平均気温は統計史上の最高を記録したという。遅れがちな秋とは別に、10年の単位で
みても温暖化は確実に進んでいる。



 「春夏秋冬」が「春夏夏冬」になるとは、何とも悲しいことですが、幸い自然界には秋の姿も
きちんと認めることができています。例えば、すすき野原では、夏の黒色のヤマトシリアゲが姿
をひそめ、秋型の鼈甲色の個体がよく見られるようになってきました。完全変態をする世界最古
の昆虫であり、交尾の時に求愛給餌をすることでも知られるヤマトシリアゲですが、夏と秋で体
の色が全く変わってしまうのもこの虫の大きな特徴です。(以前は、「ヤマトシリアゲ」と
「ベッコウシリアゲ」と呼び分けられ、別種と考えられていました。)
季節が失われていこうとしている今、改めて昆虫の季節型に注目してみるのもいいのではないか
と思います。色の変化だけではありません。キタテハのように季節によって体の形が変わるもの
も数多くいます。何万年と続く日本の四季が生んだ自然界の姿です。


 
今日のことば

転機になったのは、作家の雫石とみさんの番組を制作したこと。雫石さんは、極貧の農家に生まれて、
小学校もろくに出ていません。空襲で家族を全部失い、浮浪生活を送った後、施設に入ったんですが、
ひどい扱いを受け続けた。その彼女が45歳のある日、大学ノートを買って、日記をつけ始めた。
それ以来、書くことが支えになり、やがて作文コンクールに応募して、労働大臣賞をもらう。
それまで見下され、ののしられることしかなかったのに、生まれて初めて人間として認められたんですね。
その後も書き続け、65歳で最初の本を出しました。
87年に雫石さんは、日雇いの仕事でコツコツためたお金を寄付して、「銀の雫文芸賞」という文学賞を
作ったんです。なぜ蓄えを全部はたいて賞を作ろうと思ったのか。書くこと、読むこと、言葉が自分を
変えてくれた、救ってくれたという思いがあったんですね。97年、築40年の木造アパートに86歳の彼女
を訪ねた時、「日記がなかったら、とっくに自殺してますよ」とおっしゃった。「書かなければ生きられ
なかったの」と。その言葉をいただいて「書かなければ生きられなかった」という番組にしました。
その時、自分が何をすべきなのか、はっきり見えた。仕事が自分の人生にカチッとはまったんです。
目指すものが見えると、もう他の人のことは気にならなくなりましたね。
今、不安を抱えている人たちには、志を持つことで救われますよ、と言いたいですね。不況で職を失っ
ても、それはあなたの人間性のせいじゃない。自分が本当に何をしたいのかをちゃんと見つめて、自分
の言葉、志として持っていれば、それが必ず支えになってくれる。志というと、世のため、人のためみた
いに思いますけど、そうじゃない。志は自分を救うんです。                                                      

山根基世

2012.09.22

秋の30分ハイキング ジェミニ・ウィルス センタカアワダチソウ モリアザミなど

 2012.9.22 Friday

 今日、行われた「秋の30分ハイキング」には60名以上の方が参加してくださいました。
ハイキングの前に配布した資料を以下に転載します。

 ハイキングのコースに生息している動植物を紹介します。

◎ムラサキシキブ
「日本の美しい実」という意味の学名(Callicarpa  japonica)を持つ植物です。
不二聖心の森の中では同属の「ヤブムラサキ」もたくさん見ることができます。


 

◎茶
牧草地までの道の両側を含めて広大な面積の茶畑が不二聖心には広がっています。
不二聖心のお茶は減農薬・無添加・無着色で知られていて、使われる農薬の量は平均的な
散布量と比較して格段に少ないと言われます。品種としてもタダニシキや   カラベニと
いった稀少な種類を含みます。
お茶の他に、今月から、そばも作り始めました。


 

◎クルマバッタ
東京都では絶滅したと言われるクルマバッタを不二聖心では、多い日には100匹以上目に
することができます。トノサマバッタやマダラバッタと区別がつきにくいですが、飛んでい
る時に翅に黒い模様がくっきりと入っていたらクルマバッタです。


 


◎ジェミニ・ウィルスに感染したヒヨドリバナ
不二聖心にはたくさんのヒヨドリバナが咲いていますが、牧草地の横の斜面のヒヨドリバナ
だけがジェミニ・ウィルスに感染しています。ジェミニ・ウィルに感染すると葉の色が黄色
く変色します。万葉人はこれを黄葉かと思い歌に詠みました。この万葉集の歌は世界最古の、
植物のウィルス感染記録例とされ、イギリスの科学雑誌「Nature」にもその記事が載りました。
万葉集の歌を以下に引用しておきます。

 この里は継ぎて霜や置く夏の野にわが見し草はもみちたりけり


 
 

◎セイタカアワダチソウ
牧草地のセイタカアワダチソウの花穂が少しずつ黄色くなってきました。一時期、日本中の
すすき野原がセイタカアワダチソウに覆われるのではと危惧されましたが、他の植物を駆逐
していた化学物質がセイタカアワダチソウ自身の繁茂に対しても抑止力としてはたらいたらしく、
日本の秋の風景からススキが姿を消すようなことはまだ起こっていません。

 

◎ナンバンギセル
不二聖心のすすき野原ではたくさんのナンバンギセルを目にすることができます。
ナンバンギセルはススキに寄生することで知られていますが、すすき野原の減少によって
全国各地で数を減らしつつあります。一つの環境が消滅すると、その環境に依存している
多くの生物が同時に姿を消すことになることをナンバンギセルは教えてくれます。
万葉人はこの花の微妙な角度から物思いにふける人間の姿を連想し、ナンバンギセルを
「思ひ草」と名付けました。下の歌を詠むと、寄生という言葉を知らなかった万葉人が
ナンバンギセルとススキの関係には気付いていたことがわかります。

 道の辺の尾花が下の思ひ草今さらになどものか思はむ (万葉集巻十一)

 


◎モリアザミ
すすき野原ではたくさんのアザミを見ることができますが、アザミは種の同定が極めて難
しい植物として知られています。不二聖心のすすき野原のアザミは専門家の方の同定によっ
てモリアザミであることがわかりました。モリアザミの根を粕漬けや味噌漬けにして食べる
地方があるそうです。


 

◎マユミ
「共生の森」には、高校1年生の環境学習の時間に、NPO法人「土に還る木・森づくり
の会」のご指導のもと、たくさんの種類の木が植えられました。写真の木は梅組の3班が
植えたマユミの木です。「共生の森」では既に鹿の食害が確認されていますが、マユミは
最も大きな被害を受けました。しかし、力強く復活し、オニヤンマが翅を休める平和な風景
も見られるようになりました。
 

 

 

                今日のことば

話は変わるが、つい最近、ぼくは東海道新幹線で京都へ向かった。その車窓から風景をな
がめているうち、思わず愕然とした。稲はほとんど刈り取られ、田の縁や、川の堤、崖下の
いたるところに、黄の絨毯を敷いたかのような秋草が咲き誇っていたからだ。それはアメリ
カ産のセンタカアワダチソウの群生なのだった。
この植物は実に強い生命力を持ち、根から特別の液を出して他の植物を駆逐してしまうという
話を、ぼくはだいぶ前にきいたことがある。その人の話によると、アワダチソウの種子は米軍機
のどこかにくっついて、「入国」したのだという。最初、九州に根をおろし、やがて大阪、京都
へ達する。そして、さらに中部、関東、東北にまで着実に群落をひろげている、とのことだった。
まさに、その通りになったのだ。
ぼくが愕然としたのは、このアワダチソウによって、日本の秋の情感をこの上なく育んできた薄が、
みるみる姿を消しつつあることだった。ぼくは夢中で夕日に光り、そよぐ薄を車窓から捜した。
薄はまだかろうじて残っている。しかし、その姿は激減していた。おそらく、遠からぬうちにこの
詩情豊かな秋草は絶滅してしまうであろう。

                    『月は東に』(森本哲郎・平成4年6月刊行)より

2012.09.21

クサヒバリ(草雲雀)

 

 2012.09.21 Friday
  立原道造の詩で出会って以来、一度実物を見てみたいと思っていたクサヒバリ(草雲雀)
をついに不二聖心で目にすることができました。なんと見つけたのは理科室前の廊下です。
美しい鳴き声の聞こえてくる場所を探っていったら廊下の壁の上方のわずかな隙間にたどりつきました。
ラフカディオ・ハーンは、クサヒバリが十二銭で売られていた事実を随筆に書き残しています。
日本に長く伝わる鳴く虫の文化を大切にしたいと切に思います。

 

今日のことば

日暮れ時になると、きまって草雲雀のきわめて小さな魂が目を覚ます。すると、部屋中が何とも
言えぬ甘く繊細な音楽で満たされる。銀の鈴を鳴らしたように、それはチリチリとさざめくのだ。
宵闇が濃くなっていくにつれ、鳴き声はいよいよ甘くなってゆく。あるときは大きく高まって、
家全体を妖精の奏でるような響きで震わせ、あるときは糸のようにか細い声で微かに囁く。
しかし、高くとも低くとも、この世のものとも思われない音色を帯びている。

                  「草雲雀」(ラフカディオ・ハーン)より

2012.09.20

「秋の30分ハイキング」の下見  ススキ  ヒキオコシ  アザミ

  2012.09.20 Thursday

  9月22日の学校説明会終了後に希望者を対象に予定されている「秋の30分ハイキング」の
コースの今朝の様子を紹介します。
すすき野原もようやく秋らしくなってきました。すすきの穂もまだ一面というわけではありませんが、
少しずつ増えてきました。


シソ科のヒキオコシの花も咲き始めました。この花にもたくさんの種類の昆虫が集まってきます。
ヒキオコシは東京都で絶滅危惧Ⅰ類、千葉県と鹿児島県で準絶滅危惧種に指定されています。


 

 22日にはまだ咲かないのではと思っていたアザミの開花も確認できました。



よく見るとアザミの花の上にクモが隠れていて獲物をねらっています。
22日にも生き物たちのさまざまな姿をお目にかけることができたらと願っています。


 


    今日のことば


一日一日が祭礼だ
雲も風もたまらなくいい
この世は素晴しいものを満載した
豪華船なのだ
                 辻邦生

2012.09.19

NPO法人「土に還る木・森づくりの会」の方々のご指導による屋外テーブルづくり

  2012.09.19 Wednesday

  高校1年生は9月12日の環境学習の時間に手ノコでの間伐実習を行いました。
(9月12日の「不二聖心のフィールド日記」参照)今日はその体験をさらに深めるために、
NPO法人「土に還る木・森づくりの会」の方々のご指導のもと、間伐材を用いた屋外テーブル
作りに挑戦しました。

 午前中に御殿場からヒノキの間伐材から作られた板が学院に到着しました。


 

 NPO法人「土に還る木・森づくりの会」のご指導のもと屋外テーブルづくりが始まりました。


  

 根気のいる組み立て作業です。


 
 

 技術を要するインパクトドリルを用いての作業です。


 

 仕上げの塗装をする姿は職人のようでした。


 
 

 完成したテーブルに座っての記念撮影です。


 


間伐材がこんなにもすばらしいテーブルに姿を変えることに驚きと感動を覚えました。森を
元気にするために切られた木が新たな命を得たようにも見えます。
NPO法人「土に還る木・森づくりの会」にとって記念すべき200台目の屋外テーブル完成だ
とうかがいました。このような社会的に意味のある活動が世の中にさらに広まっていくことを
願わずにはいられません。貴重な体験をさせてくださったNPO法人「土に還る木・森づくりの会」
の指導者の方々に心から感謝申し上げます。


 

 

             今日のことば

     知っていることが多くなると知らないことはもっと多くなる。

                               加賀乙彦

2012.09.18

ヤマホトトギス 

  2012.09.18 Tuesday

 学院の近くに、五竜の滝で知られる中央公園があります。歌人の若山牧水が訪れたことも
ある公園で、公園内には牧水の歌碑があります。今朝、その歌碑の近くに彼岸花が咲いてい
ました。彼岸花は日本の秋を彩る代表的な花です。
不二聖心にも秋を感じさせる花が増えてきました。写真の花はヤマホトトギスです。昨年は
数が少なくなり心配しましたが、今年はたくさんの蕾を確認できて安心しています。
ヤマホトトギスは大阪府で絶滅危惧Ⅰ類、北海道、滋賀県、奈良県で準絶滅危惧種に指定
されています。

 
 

               今日のことば

     富士が嶺やすそのに来り仰ぐときいよよ親しき山にぞありける

                              若山牧水

2012.09.17

栗  クリオオアブラムシ  ヒイロタケ  『不二の自然4』

  2012.09.17 Monday

 9月22日の学校説明会終了後に希望者を対象として実施される「秋の30分ハイキング」
(詳細はトップページの「公開行事」に掲載)で小さな栗畑を通ることになっています。
その栗畑の栗の木が見事な実をつけています。栗の木を好むクリオオアブラムシの姿も確認
できました。栗の木によく発生するヒイロタケの鮮やかなオレンジ色が一際目を引きます。
「共生の森」へと続く小さな空間は、栗畑独特の世界を楽しむことができる場所です。

 
 
岳麓新聞で『不二の自然④』が取り上げられました。


 

   

              今日のことば

 今日も朝が来て、私たちはいつもと同じように仕事を続けています。するとこの暮らしに
保険があるような気がしてくる。でも人類史で見れば現代人のように永らう命は奇跡的なこ
とです。人類は何万年も死と隣合わせで生きてきた。しかしどんなに追い詰められても、命
の流れを止めずに生き抜いた。極まった時こそが、チャンス。私たちもそのパワフルな人類
史をゆく途上の一人なのだということに、まず気づいて欲しい。                                            

                                 鶴岡真弓

2012.09.16

アオジソの花とツユムシの幼虫  温暖化を考える

 

 2012.09.16 Sunday


今日も暑い一日でした。裾野市は最高気温が30度を超えました。この暑さはいったいいつまで
続くのかと思います。
  アオジソの花にとまっているツユムシの幼虫の写真を撮りました。今の時期にこのような写真
が撮れるのは、基本的には関東より南の地方だけです。しかし今年は東北地方でも、もしかしたら
ツユムシの幼虫を9月に見ることができるかもしれません。ツユムシが年2回発生する地域が年々
北に広がっていると言われているからです。生き物の生態の変化から気候変動の兆しを読み取る
努力がますます必要になってきたと厳しい残暑の中で思っています。

  


今日のことば

カムパネルラ、また僕たち二人きりになったねえ、どこまでもどこまでも一緒に行かう。
僕はもうあのさそりのやうにほんたうのみんなの幸(さいわい)のためならば僕のからだなんか
百ぺん灼(や)いてもかまはない。

                     『銀河鉄道の夜』(宮沢賢治)より

2012.09.15

子持ちのサワガニ

 

 2012.09.15 Saturday

  檜林の中で子供を抱えたサワガニのメスを見つけました。サワガニは、全国各地で希少種に指定
されていますが、不二聖心では甲羅の青いサワガニの姿をたくさん目にすることができます。
世代交代も順調に進んでいることが確認できました。檜林の中には、同じく希少種であるヤマアカ
ガエルも多数生息しています。高校1年生が総合学習で行った「森の健康診断」と「間伐実習」は
希少種の維持にも役立つ活動であると言えます。

 


今日のことば

あなたの喜びがあるところにあなたの宝があり
あなたの宝があるところにあなたの心があり
あなたの心があるところにあなたの幸せがある

                       アウグスティヌス

2012.09.14

中学3年祈りの会  ヤマトタマムシ  コアシナガバチの巣  スズメバチ

  2012.09.14 Friday

  9月13日~9月14日まで中学3年生の「祈りの会」の引率で神奈川県松田町にある聖心丹沢学舎
に行ってきました。神父様の講話に合計4時間、耳を傾け、学んだことをシンボルで表現したものを
発表しました。最後の分かち合いでは次のような感想が聞かれました。

 これからはみんなの役にひそかに立てる人間になりたい。
小さな幸せを大切にして生きていきたい。
愛される人となるために先ず人を愛そうと思った。
一人一人が唯一の存在であると再確認できた。
家に帰ったら家族にありがとうの気持ちを伝えたい。
そっと人に寄り添える人間になりたい。
自分一人だけで物事を解決しようとする癖をなくしたい。
自分こそが神様からの贈り物であることに気づけた。

 

 わずか2日間で大きく成長した中学3年生の姿に感動しました。

 

 
 
  学校に帰ってみると職員室の机の上にいろいろなものが乗っていました。
先ず、プールサイドで死んでいたヤマトタマムシです。


 
 

 次は、本館前にソテツについていたコアシナガバチの巣です。高校3年生が見つけてくれました。
何らかの要因で営巣がストップしてしまったようです。


 
 

 先日、駆除したスズメバチの死骸も乗っていました。同じ種でも担う役割によってこれほど
体の大きさが違ってしまいます。


 

                今日のことば

今日が残りの人生の最初の日です。どんなものに自分の人生を燃やしますか。どんなものに
自分の命をけずっていきますか。

                           ある神父様の問いかけ

2012.09.12

間伐体験学習 女子高生手ノコで木を倒す

  2012.09.12 Wednesday

 高校1年生の総合学習(環境学習)の時間に間伐体験学習を行い、生徒が実際に手ノコで
木を倒す経験をしました。これは6月に行われた「森の健康診断」の調査の経験を土台とし
て行った活動です。指導は今回も矢作川水系森林ボランティア協議会のメンバーの方々にお
願いしました。

 まずは手ノコで受け口を作り、木を倒す準備をしました。

 その後、反対側からもノコギリを入れ、最後は力を合わせて木を倒しました。

 達成感にあふれる笑顔です。

 わずかな隙間に倒された様子がわかります。

 年輪から樹齢は50年程度であることもわかりました。

 
間伐体験で一番の感動は空が開けることです。

 開けた空間から指す光を見て、「光あれ、だね。」と創世記の言葉を口にした生徒がいた
ことが印象的でした。光が林床にあたることで森の植生はさらに豊かになっていくことでしょう。


 

               今日のことば

生物社会は好きなものだけを集めたらダメ。主木を中心にできるだけ多くの構成木を混ぜる、
混ぜる、混ぜる。競い合いながら発展していきます。
                                      宮脇昭

2012.09.11

夏の雲・秋の雲  ショウリョウバッタモドキ

  2012.09.11 Tuesday

 まだまだ残暑の厳しい日が続きますが、空には秋らしい雲も少しずつ見られるようになって
きました。体育館の上には、夏らしい雲と秋らしい雲の両方を見ることができました。


 ショウリョウバッタモドキほど写真の撮りにくいバッタはありません。あまりに上手にイネ科
の植物の葉に同化してしまうのでピントが合わないのです。これほどの擬態の名手もどんどん数
を減らしています。矢島稔は1983年に既にショウリョウバッタモドキの激減を嘆く文章を書いて
いますし、現在、6つの県で、絶滅危惧種・準絶滅危惧種に指定されています。


 

 

               今日のことば

高校3年生の歌

だんだんと静かになりゆくセミの声 夏も終わりて卒業近づく      
ここに来て初めて知ったよ本当の友を 照れて言えないいつもありがと  
繰り返す季節の重み増すばかりトンボの影に秋を感じて         
憧れの女性はナウシカ、峰不二子 強く明るく生きていきたい      
春がすぎ夏もすぎさり秋が来た別れの冬まであと半年          
リミットが近づくにつれ思い知るみんなと過ごせる大きな幸せ 

2012.09.10

不二聖心に「そば畑」現れる

  2012.09.10 Monday

 第1牧草地から第2牧草地へ向かう途中の芝地に新たにそば畑が作られました。この場所は、
もともと畑地として利用した歴史が過去にあり、芝地を耕しても大きな石はほとんど出てこな
かったそうです。このようなところにも不二農園の長い歴史がしのばれます。
15aの広さに5㎏の種が播かれました。収穫が楽しみです。

 

               今日のことば

 

 木があれば虫や鳥が寄ってくるし、花も咲くし。動物が死ねば、それが肥料になるし。
そういう循環のようなものは、頭で勉強するだけだと実感しにくいかもしれません。
やはり自分の体で経験しないと。それが都会の子なんかはできなくなっていますもんね。
世界を理解するのに、木を植えるというのはすごく大事なことだと思います。木はいのちの
シンボルですね。木を植えることは、いのちを知ることにつながると思うんです。

                                             

                              谷川俊太郎

2012.09.09

「秋の30分ハイキング」の下見 クルマバッタ オトギリソウ ヒヨドリバナなど

  2012.09.09 Sunday


9月22日(土)の学校説明会終了後に希望者を対象として行われる「秋の30分ハイキング」
(詳しくはホームページのトップページの「公開行事」をご覧ください)のコースの下見を
してきました。
今日も安定した晴れの一日でした。9月に入っても雨の少ない日が続きます。


 

 東京都では絶滅したと言われるクルマバッタを100匹以上見ました。


 

 

 ツルボの花やオトギリソウの花をいくつか見かけました。

 

 オンブバッタはなぜかヒヨドリバナの上でよく見かけました。


 


クリスマスのバッタ、ツチイナゴの幼虫もだいぶ大きくなってきました。
 

 

 

 当日も晴れてほしいと切に願っています。


 

              今日のことば

自然写真を撮るためにもっとも必要なものは何かと聞かれたら、それは対象にたいする深い
興味だと思う。初めは漠然とした気持ちでいい。花、昆虫、ある種の生き物への興味、山へ
の憧れ、あるいはある土地への思い……。それが何であれ、まず、その対象に対するマイン
ドの部分での関わりである。そして次は、その気持ちをさらに深めていくことが必要になっ
てくる。言いかえれば、どんどん好きになっていくプロセスだと。それが、勉強をしていく
ことだと思う。

                                星野道夫

2012.09.08

ヤブガラシの花とキンケハラナガツチバチ

 

 2012.09.08 Saturday
  ヤブガラシの花にたくさんのキンケハラナガツチバチが集まってきていました。その名の通り、
金色の体毛が美しいハチです。
ツチバチはハナムグリやコガネムシなどの甲虫の幼虫に卵を産み付け、孵化したハチの子どもは
甲虫の幼虫を食べて育つことで知られています。集英社文庫の『ファーブル昆虫記2 狩りをするハチ』
(奥本大三郎編・訳)に収められている「コガネムシを狩るツチバチ」には、ファーブルがその事実を
つきとめていく過程が実に興味深く綴られています。その中から、ハチの子どもが甲虫の幼虫をどのよ
うにして食べていくのかを記した部分を引用してみましょう。


ツチバチの幼虫は、母親のハチがうみつけてくれたその場所から、用心しながら食べていきます。
小さいハチの幼虫のくびはのびて、すこしずつ奥のほうへと、大あごがとどくようになっていきます。
するとハチの幼虫は、ハナムグリの幼虫が生きていくために、それほど重要でないところから食べ
はじめます。
そうして、だんだんと、ハナムグリの幼虫が生きていくのにたいせつなところにうつっていくのです。
最初に幼虫がかみつくと、きず口からハナムグリの体液がにじみ出してきます。まずこれを飲めば、
消化にもいいし、栄養があるでしょう。ツチバチの幼虫にとっては、これが母乳のようになるわけです。
小さな幼虫がすこし体液を吸ったぐらいでは、大きなハナムグリの幼虫は、すぐには死んだりはしません。
次に食べるのは内臓の外側の脂肪です。これをかじり、それから皮の裏側の筋肉を食べます。
そしてその次が、たいせつな内臓です。このころには、ハナムグリの幼虫はとてもよわっていますが、
まだ生きています。
最後に神経と呼吸器です。ここまでツチバチの幼虫に食べられてしまうと、ハナムグリの幼虫はとうとう
死んでしまいます。そのときまで、生きたままの新鮮な肉を、ツチバチの幼虫は食べることができたのです。

 
以前にハチ学の権威の先生にキンケハラナガツチバチはどのコガネムシの幼虫を狩るのか質問したところ、
まだそれは明らかになっていないということでした。不二聖心はキンケハラナガツチバチの宝庫です。
ここでなら世界初の発見ができるかもしれません。

今日のことば

夏に冬を慕い、冬に夏をのみ思うは愚者なり。夏ありて夏を楽しみ、冬来たれば冬を味わう。
この心を神は嘉す。自然における草木の如く、正しき成長はそこにのみある。
浅川巧

 

お知らせ

ホームページ内の「不二の自然」(12エサキモンキツノカメムシと13ニホンザル)を更新しました。
画像をクリックすると写真を拡大することができます。

2012.09.07

ムラサキシキブ  オオセンチコガネ  「無言館の青春」の感想

  2012.09.07 Friday

 富士山の実に美しい朝でした。芙蓉の花の数も日に日に増えています。


 
  

 ムラサキシキブの実が紫に色づき始めました。ムラサキシキブの学名はCallicarpa japonica
といい、「日本の美しい実」という意味を持ちます。日本では、昔から紫を格別高貴な色として
きましたが、ムラサキシキブの学名もその色の美しさを特に強調しています。
 

 

 

 久しぶりに糞虫のオオセンチコガネの姿を接写することができました。これもまた美しい
紫色をしています。鹿が多い奈良公園はたくさんのセンチコガネが生息することでも知られています。
鹿の糞を食べて育つセンチコガネは糞の掃除屋としての役目も果たしているのです。不二聖心でも、
たくさんの鹿がいることが、センチコガネの数の多さと関係しています。


 
今日のことば

    「無言館の青春」(窪島誠一郎)についての中学3年生の感想

◎「無言館」という言葉は小学生の時に一度聞いたことがありました。絵に少し興味がある
私は少しだけ行ってみたいなという気持ちがありましたが、それを誰かに言ったことはあり
ません。それは正直「戦争」が怖いからです。だから普通の美術館ではない無言館は私にと
って近寄りがたい場所でした。しかし、改めてこの作品を読んで、この絵を描いている画学
生は普通の画家と同じような気持ち、ただ絵が好きだという気持ちで描いていることがわか
り、それを恐ろしいと思っていた自分が情けなくなりました。いつ行けるかわからないけれ
ど、生きている間に一度は行けたらいいなと思います。

◎私は、この「無言館の青春」を読んで、「そういえば、兵士となった学生にも、今の私た
ちのような特技や趣味があったんだ。」と今頃になって気づかされた。それを不条理な戦争
によってあきらめ、またさらに家族とも離れ、二度と会えないというのを理解して戦争へ行
くというのは、本当にむごい。私には絶対にできない。夢をあきらめて死んでいった学生の
志は、今の日本には足りない志だと思った。画学生たちが私たちに教えてくれた「魂の静け
さ」を少しでも正しく心に留められたらいいと思う。


◎私は無言館について書かれた「春さんのスケッチブック」という本を小学四年の時に読ん
でから、ずっと無言館のことが気になっていました。いつか行きたいと思いつつ、未だ行け
ていません。今回もまた無言館とご縁があったので、絶対行きたいです。夢をあきらめ命を
捨てた彼らの絵を心におさめたいです。

◎私は戦争が、こんなにも若い人の、未来ある人々の命をうばっていったものだということ
を初めてここで知りました。むごいことをしたな…と思い、つらいです。でもみんな絵が大
好きで未来を信じていたように感じます。家族を大切にしていました。無言館に行ってみた
いです。現実を見つめなければならないと改めて知らされました。
私の祖父の兄はフィリピンで亡くなっています。しかし、みんなくわしく教えてはくれませ
ん。今はもういないから、六十年以上前のことだから、という思いが強いのだと感じます。
近年、平気で「死ね」などと言える人を見かけますが、何だか同じあやまちを犯そうとして
いるような気がしてなりません。今度、祖父の兄のことをきいてみようと思います。動かぬ
歴史をもっと知って、ちゃんと未来にも伝えられるようにならないといけないと思いました。

2012.09.06

ルリタテハの成虫と幼虫

  2012.09.06 Thursday

 ルリタテハの写真を撮りました。このチョウも樹液に集まるチョウですが、こちらに気づく
とワラビの葉の上へと移動してしまいました。いつみても美しいチョウだと思います。幼虫時代
の姿とのあまりの違いに驚いてしまいます。
ルリタテハはアジアに広く分布しています。軍医としてビルマ(ミャンマー)に赴いた人見勝氏は
次のような文章を残しています。

 昭和19年の雨季7月頃でしたか、ビルマのアラカン山の自動車輸送路上に止っているルリタテハ
を見出した時の感激は忘れられません。故郷の知人に逢った時のような懐かしさを覚え、廻診任務
を忘れて赤土の上に舞戻ってくる蝶の姿に見入っていました。

 

 

 これが幼虫の姿です。

 

今日のことば

この世の生において、おまえの肉体は力つきぬのに、そのなかで魂のほうがさきに力つきるとは、
恥ずべきことである。
                             マルクス・アウレリウス

2012.09.05

樹液の雫  ヒカゲチョウ

  2012.09.05 Tuesday

 今朝も樹液とそこに集まる虫の様子を観察しました。
樹液は雫がたれるほどよく出ていました。まだまだボクトウガの活動は活発なようです。

 カナブンも貪るように樹液をなめていました。


ヒカゲチョウがいました。ヒカゲチョウは樹液に集まる、常連のチョウです。よく似た仲間に
クロヒカゲがいますが、標高200メートル程度の不二聖心でよく見られるのは、ヒカゲチョウの方です。
ヒカゲチョウやクロヒカゲは、大陸にも日本にも生息していますが、ヒカゲチョウは北海道にはいません。
チョウの研究家として著名な高橋真弓先生は、「クロヒカゲより遅れて生息域を北に広げたヒカゲチョウ
が本州の北端のあたりに到着した時には、津軽海峡によって本州と北海道が分断されていたので北海道に
渡れなかった可能性がある」と述べられています。
大地の歴史に運命を変えられたチョウという視点を含めると、この地味なチョウがとても魅力的なチョウ
に見えてきます。
 

 

 

                今日のことば

「センス・オブ・ワンダー」というのは、何かに対して感動する心であり、驚きの気持ちですね。
美しい地球の景色に対して、素直に驚ける、素直に感動できるような心を持つことが大事だと思います。
「別に珍しくないんじゃない」なんて白けずに、「あ、すごい」と感じられるかどうか。「こんな景色
は見たことがない」と感じるかどうかですね。「ふーん、別に、そんなに」って言ってしまうことで逃
してしまっている感動って、かなりあるんじゃないかなと思います。

                                     

                                 野口聡一

2012.09.04

ボクトウガと樹液  カブトムシ

  2012.09.04 Tuesday

 夏休み子供体験教室に参加した小学生から、体験学習で実際に観察した「ボクトウガの幼虫と樹液」
についてのすばらしいレポートが送られてきました。ボクトウガの幼虫がクヌギの材に穴をあけることで、
クヌギの木は樹液を出し、その樹液に近寄ってきた虫をボクトウガの幼虫は食べると考えられています。
その関係が見事にとらえられているレポートでした。
今朝、9月に入ってボクトウガの幼虫と樹液の様子に変化は見られるか、確認してみました。
最初に目に入ったのはカブトムシでした。

  
次に見つけたのはクワガタでしたが、その頭の先にボクトウガの幼虫の頭部が確認できました。


 
別の木ではボクトウガの幼虫が移動しているところにでくわしました。まだまだ活発に活動して
いるようですから、樹液の季節はしばらく続くかもしれません。


 

              今日のことば


地球上で人間は、自分たち一種類だけが増え、オオカミなど天敵を滅ぼし続けている。でも、
昆虫はそんなことしません。天敵を滅ぼし、自分たちの数が増えれば、餌の植物を食べ尽くして
全滅してしまいます。もっと自然が全体的に、有機的につながっていることを考えなくては。
 

                                奥本大三郎

2012.09.03

大豆の母 ツルマメ

  2012.09.03 Monday

 すすき野原からキャンプ場へ向かう途中にツルマメ(Glycine soja)の花が咲いていました。
ツルマメを改良して栽培化することによって、大豆は作られたと考えられています。学名の
sojaには「醤油の」という意味がありますが、醤油も味噌も納豆も、始まりはこの小さな花
からということなのだと思います。 

 

               今日のことば

置かれた場に不平不満を持ち、他人の出方で幸せになったりしては、私は環境の奴隷でしかない。
人間と生まれたからには、どんなところに置かれても、そこで環境の主人となり自分の花を咲かせよう。

                                 渡辺和子

2012.09.02

「秋の30分ハイキング」のコース紹介  マルバノホロシの実

  2012.09.02 Sunday

 今日は、9月22日(土)の学校説明会終了後に予定されている「秋の30分ハイキング」
(詳しくはトップページの「公開行事」を参照してください)の下見をしてきました。
まずお茶畑を通って、牧草地へと向かいます。途中でギンヤンマの姿を見かけました。
不二聖心ではオニヤンマと並んで、比較的よく見られるヤンマ科のトンボです。


 

 牧草地からは富士山が少しだけ見えました。

 
牧草地を通ってすすき野原へと向かいます。東京都では絶滅したと言われるクルマバッタ
がたくさん飛んでいました。写真から確認できるクルマバッタは赤丸の部分ですが、これは
ほんの一部です。


 

 すすき野原の手前は丈の低い笹を中心とした植生です。この植生はススキと混在すること
なく安定した状態を保っています。

 

  徐々に植生の中心がススキへと変わっていきます。


 
 

 すすき野原が終ると、高校1年生が環境学習で作っている「共生の森」が見えてきます。


 
 

 坂道を下って裏の駐車場へ向かいます。


 

 坂道の途中に、福岡県で絶滅危惧Ⅰ類、鹿児島県で絶滅危惧Ⅱ類、鳥取県で準絶滅危惧種
に指定されているマルバノホロシの実がなっていました。9月22日には少し色づいているか
もしれません。


 

 最後に裏の駐車場で大楠を眺め講堂へと戻ります。
9月22日には一人でも多くの方に不二聖心の自然を味わっていただけることを楽しみにしています。


 

               今日のことば

 この人だから毒がある。でも、よく分かる。ビートたけしさんは書いた。「ほんとに、ヤンマ
の姿を見つけると必死になって追いかけまわしてさ。目がもうヤンマばっか見てるから、ドブの
中落っこっちゃったり、クソだめに落っこっちゃったりなんかするんだよね」
「オニヤンマと川遊び」から引いた。さすがにあちこちに落ちなくなったが、いまもオニヤンマ
を見ると胸が騒ぐ。先日、琵琶湖畔で水面近くを滑るように行ったり来たりする雄姿だけでなく、
杭に止まって抱え込んだバッタを一心に貪る猛者にも出会った。もう「旅はこれにて足れり」と
いう気になるのが不思議だ。
ヤンマとは大形のトンボのこと、とは、昔は誰でも知っていた。トンボの古名「エンバ」が語源
ともいう。オニヤンマはなかでも日本最大で、緑の目と黒に黄の縞をあしらった体が美しい。
コラムニストの泉麻人さんが「オニヤンマは田舎のバスと同じように、なかなかやってこない」
と書いたのも、そうそうと読んだ。
カブトムシみたいな養殖話はないから数も減っているはずだ。それでも、終わりに近づいた夏の
思い出にオニヤンマの姿を刻んだ少年がいよう。いや、心ときめいたおじさんもきっとある。
子どもの頃を振り返っているようで、たけしさんは一文をこう始めている。「俺、ヤンマが好き
なんだ」。もちろん現在形である。
「春秋」(日本経済新聞・2012.08.26) 

2012.09.01

ツユクサ

 

 2012.09.01 Saturday
ツユクサの花をじっくり観察してみました。
ツユクサの花というのは、実にユニークな構造をしています。雄しべに目を向けてみてください。
雄しべは6本ありますが、葯がついているのは手前の2本だけで、あとの4本は黄色く変色して
いて花粉をつけていません。この黄色は何の意味を持っているのでしょうか。実は昆虫を引き寄
せる役目を果たしているのです。花びらの青には昆虫はあまり反応しません。そこで雄しべの黄色
が代わって昆虫を引き寄せる役目を果たしているのです。ツユクサを見ていると、多くの花の構造
が昆虫との関わりで生まれてきたことがよくわかります。

 

 
今日のことば

かへる日もなきいにしへを
こはつゆ草の花の色
はるかなるものみな青し
海の青はた空の青


三好達治

 

お知らせ

9月22日(土)の学校説明会終了後、希望者を対象に「秋の30分ハイキング」を不二聖心女子学院
の校内で実施することになりました。詳しくはトップページの「公開行事」をご覧ください。

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