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フィールド日記

2012.09.08

ヤブガラシの花とキンケハラナガツチバチ

 

 2012.09.08 Saturday
  ヤブガラシの花にたくさんのキンケハラナガツチバチが集まってきていました。その名の通り、
金色の体毛が美しいハチです。
ツチバチはハナムグリやコガネムシなどの甲虫の幼虫に卵を産み付け、孵化したハチの子どもは
甲虫の幼虫を食べて育つことで知られています。集英社文庫の『ファーブル昆虫記2 狩りをするハチ』
(奥本大三郎編・訳)に収められている「コガネムシを狩るツチバチ」には、ファーブルがその事実を
つきとめていく過程が実に興味深く綴られています。その中から、ハチの子どもが甲虫の幼虫をどのよ
うにして食べていくのかを記した部分を引用してみましょう。


ツチバチの幼虫は、母親のハチがうみつけてくれたその場所から、用心しながら食べていきます。
小さいハチの幼虫のくびはのびて、すこしずつ奥のほうへと、大あごがとどくようになっていきます。
するとハチの幼虫は、ハナムグリの幼虫が生きていくために、それほど重要でないところから食べ
はじめます。
そうして、だんだんと、ハナムグリの幼虫が生きていくのにたいせつなところにうつっていくのです。
最初に幼虫がかみつくと、きず口からハナムグリの体液がにじみ出してきます。まずこれを飲めば、
消化にもいいし、栄養があるでしょう。ツチバチの幼虫にとっては、これが母乳のようになるわけです。
小さな幼虫がすこし体液を吸ったぐらいでは、大きなハナムグリの幼虫は、すぐには死んだりはしません。
次に食べるのは内臓の外側の脂肪です。これをかじり、それから皮の裏側の筋肉を食べます。
そしてその次が、たいせつな内臓です。このころには、ハナムグリの幼虫はとてもよわっていますが、
まだ生きています。
最後に神経と呼吸器です。ここまでツチバチの幼虫に食べられてしまうと、ハナムグリの幼虫はとうとう
死んでしまいます。そのときまで、生きたままの新鮮な肉を、ツチバチの幼虫は食べることができたのです。

 
以前にハチ学の権威の先生にキンケハラナガツチバチはどのコガネムシの幼虫を狩るのか質問したところ、
まだそれは明らかになっていないということでした。不二聖心はキンケハラナガツチバチの宝庫です。
ここでなら世界初の発見ができるかもしれません。

今日のことば

夏に冬を慕い、冬に夏をのみ思うは愚者なり。夏ありて夏を楽しみ、冬来たれば冬を味わう。
この心を神は嘉す。自然における草木の如く、正しき成長はそこにのみある。
浅川巧

 

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