フィールド日記
2011.05.10
アフリカ入門とハンショウヅル
平成23年5月10日 火曜日
昨日の中3梅組のホームルームで担任の下川真喜子先生が生徒に『日本人のためのアフリカ入門』
(白戸圭一・ちくま新書)という本を紹介なさいました。先生が引用したのは、次の箇所です。
確かにアフリカからは政治の混乱や貧困に耐えかねた多くの人が域外に流出していますが、圧倒的多数の人は生を受けた土地での暮らしを主体的に肯定 し、祖国で生涯を終えます。アフリカから「脱出」してアフリカ域外で暮らしている人々でさえも、祖国に誇りの念を抱き、アフリカの社会や文化に強い愛着を 抱いていることが一般的です。そこで私は考えました。私たちは、アフリカの人々のそうした気持ちに、どの程度思いを馳せたことがあるだろうか。少し踏み込 んで言うと、私たちは、アフリカの人々が少なくとも我々と同じ程度に祖国に誇りを持ち、我々と同じ程度に優秀で、我々と同じ程度に幸せな暮らしを営んでい ることを知っているだろうか。
日本とアフリカの経済規模や科学技術の水準の差に目を奪われ、国力の差を個々人の幸福度の違いと錯覚し、
「進んだ日本、遅れ たアフリカ」「幸せな日本の暮らし、気の毒なアフリカの暮らし」と思い込んではいないか。
アフリカを深く理解することを通してのみ、私たちは「幸せな日本の暮らし、気の毒なアフリカの暮らし」という型にはまった物の見方から自由になれるのでしょう。不二聖心での教育では、広く知ることとともに深くわかることを大切にしたいと考えています。
ハンショウヅルの蕾が徐々に大きくなってきました。ハンショウヅルは、2つの県で絶滅危惧種に指定されて
いる、ツル性の植物で、ぶらさがるようにし て咲く花の姿が半鐘に似ているところからハンショウヅルと名付けられました。その花は、蕾の時から紫色に覆われた姿が独特の美しさを持っています。実はこの蕾の外側は花弁ではなく、すべて萼片です。植物の中には萼片が一見したところあたかも花弁のように見える種類がかなりあります。ここにも一つ、じっと見 ることで「深くわかる」世界があります。