フィールド日記

2011.05.30

マイマイカブリ

平成23年5月30日 月曜日

高校1年生の教室に向かう階段にマイマイカブリがいました。
マイマイカブリはオサムシの仲間で、首の部分が長くなっていることが特徴です。餌であるカタツムリの殻の中に十分に頭を入れるために、このような姿に進化 したものと考えられます。漫画家の手塚治虫は、オサムシが好きであったことから「治虫」というペンネームをつけたと言われていますが、オサムシの中でも
特にこのマイマイカブリが好きだったそうです。

2011.05.29

モリアオガエルの卵②とアシナガバチの営巣④

平成23年5月29日 日曜日

台風2号の接近により、強い雨の降り続く一日となりました。
今日は、不二聖心の自然の様子について、2点確認したいことがありました。一つはモリアオガエルの卵が増えているかどうかということでした。降り続く雨が モリアオガエルの産卵を促しているのではないかという予感がありました。雨の日には天敵であるヘビが活発に行動できないからです。
予感は当たりました。金曜日には1つしかなかった卵塊が今日は5つに増えていました。


もう一つ確認したかったことは、この大雨の中、巣作りの真最中のアシナガバチの母親たちはどうしているのかということでした。驚いたことに母バチはみな雨 に濡れながら巣を守り続けていました。外敵の少ない雨天時は自分も雨宿りしてもいいのではないかと思いましたが、実は母親たちには巣を離れない理由があり ました。
下の写真を見てください。母バチが巣に口をつけているのがわかります。このあとハチはのけぞるような
かっこうをしました。するとみるみるうちに口 からハチの頭ほどの水滴があふれ出てきたのです。
つまり母バチは巣にたまった水を吸い込み、それを外に吐き出すことで、卵と巣を雨水から守っていたのでし た。

2011.05.28

縄文時代のクワガタとベニボタル

平成23年5月28日 土曜日

5月25日の朝日新聞に「縄文クワガタよみがえる」という記事が載りました。次のような内容です。

 縄文時代晩期後半(2500年~2800年前)のノコギリクワガタが、奈良県御所市の秋津遺跡でほぼ
完全な形で見つかった。県立橿原考古学研究所(橿原市)が24日発表した。
大あごなど一部だけが見つかった例はあるが、完全に近い縄文時代のクワガタは全国初という。
大きく湾曲した大あごを持つ体長約6・4センチ、幅約1・5センチのオス。地中約2メートルの同時代の
木の根の下で見つかった。
左前脚以外はほぼ残っており、体毛や爪の先も判別できた。水や土で密閉されて酸素が絶たれ、
細菌が活動できず分解されなかったらしい。同じ地層からは同時代の土器や土偶の破片約1千点も見つかった。

ノコキリクワガタは、ほぼ日本全土に分布する昆虫で、甲虫目に属しています。
下の写真は2008年の夏に撮った不二聖心のノコギリクワガタの写真です。

不二聖心の土地からは黒曜石も出土しており、古くから人間の生活が営まれていた可能性があります。
不二聖心の地中深くから縄文の遺跡とともにノコキリクワガタが発見される可能性も皆無ではないでしょう。
ずいぶん昔の話だと思うかもしれませんが、気 が遠くなるほどの進化の過程を経て現在に至っている
ノコキリクワガタにとっては、2800年前というのは、ごく最近の時間とも言えるのです。
ノコキリクワ ガタが属する甲虫目というグループは4枚の翅のうちの2枚を丈夫な硬い翅にすることよって
環境への適応能力を高めてきました。2枚の丈夫な翅が順調な進化 の歩みを支えたとも言えます。
下の写真は「温情の灯」の近くで撮った、ベニボタル(甲虫の一種)が飛び立つ瞬間の写真です。
紅色の翅が甲虫目の由縁である 硬い2枚の翅です。

2011.05.27

聖マグダレナ・ソフィアの祝日とハンナ・ブレイディとハスジカツオゾウムシ

平成23年5月27日 金曜日

今日は聖心会の創立者・聖マグダレナ・ソフィアの祝日でした。ミサでは神父様のお説教を通して、
「すべての命にすばらしい価値があり、すべての人は 大切にされなければならない。」ということを学び、
そのことを伝える神様の愛を創立者は何よりも大切になさっていたことを再確認しました。

午後は、中学生は石岡史子先生の講演を聴きました。先生は、ナチスによるユダヤ人大虐殺の犠牲となった
ハンナ・ブレイディという女の子についてお話してくださいました。

先生はユダヤ人の大虐殺の原因の一つに人間の弱さがあることを指摘なさいました。虐殺はヒト ラーだけ
の手によってなされたわけではありません。多くの人がそれに加担し、さらに多くの人がただ黙って見て
いました。困っている人を目の前にして何もし ないことが事態を悪化させたのです。しかし、
その一方で多くの人が勇気をもってユダヤ人を助けました。今自分に何ができるかを真剣に考えた人が
大勢いたの です。石岡先生は一つの言葉を紹介してくださいました。それは次の言葉です。

To save a life is as if you have saved a whole world.
(一つの命を救うことは、世界を救うことにひとしい。)

この言葉の背後には、「一人一人の命の中に無限大の宇宙に等しいものがある。」という思想が存在すると
先生はおっしゃいました。

ミサと講演を通して、命の価値を深く学んだ一日でした。

昨日の「不二聖心のフィールド日記」で温情舎の校舎の跡地について書きました。岩下壮一神父様 が校長を務め歌人若山牧水の訪問の記録もある温情舎という学校の跡地は、今はさまざまな生き物の生活の場所となって
います。その中から今の時期に見られる 生き物を今日も一つ紹介しましょう。下の写真を見てください。
ハスジカツオゾウムシです。アザミの葉につきます。見つけたらそっと近づいて手を伸ばしてみ てください。
面白いことが起こります。

2011.05.26

東北地方へ文房具を送る活動とクリスマスのバッタ

平成23年5月26日 木曜日

温情の会委員会の呼びかけによって集められた文房具の、東北地方への発送の準備が整いました。鉛筆1722本、ノート463冊など、たくさんの文房 具が集まったことをたいへんうれしく思います。これらの文房具は、宮城教育大学の協力を得て、福島県、宮城県、岩手県の小・中学生に届けられることになり ます。


温情の会委員会の「温情」という名前は、不二聖心の前身である「温情舎」という学校の名前に由来しています。その温情舎の校舎の跡地でツチイナゴを見つけ ました。冬の厳しい季節を成虫で乗り切る珍しいバッタです。昆虫博士の矢島稔さんは、このバッタを「クリスマスのバッタ」と呼んでいます。


冬の時期、成虫は枯葉に擬態するために茶色の体色をしていますが、幼虫のころは鮮やかな緑色をしています。周囲の環境に合わせて体色を変えることも生きるための重要な工夫なのです。

2011.05.26

東北地方へ文房具を送る活動とクリスマスのバッタ

平成23年5月26日 木曜日

温情の会委員会の呼びかけによって集められた文房具の、東北地方への発送の準備が整いました。鉛筆1722本、ノート463冊など、たくさんの文房 具が集まったことをたいへんうれしく思います。これらの文房具は、
宮城教育大学の協力を得て、福島県、宮城県、岩手県の小・中学生に届けられることになり ます。


温情の会委員会の「温情」という名前は、不二聖心の前身である「温情舎」という学校の名前に由来しています。
その温情舎の校舎の跡地でツチイナゴを見つけ ました。冬の厳しい季節を成虫で乗り切る珍しいバッタです。
昆虫博士の矢島稔さんは、このバッタを「クリスマスのバッタ」と呼んでいます。


冬の時期、成虫は枯葉に擬態するために茶色の体色をしていますが、幼虫のころは鮮やかな緑色をしています。
周囲の環境に合わせて体色を変えることも生きるための重要な工夫なのです。

2011.05.25

今日の富士山とマツバウンランとアカマツの花

平成23年5月25日 水曜日

昨日は冷たい雨の降る一日でした。富士山には雪が降ったようです。下の写真は今朝の富士山の様子です。
5月15日の「不二聖心のフィールド日記」で紹介した富士山の写真と比較すると山肌の色合いの違いが
わかります。

今日は、今ちょうど紫色の花をつけている植物を2種、紹介しましょう。紫は、古来、
特別に高貴な色とされてきました。
一つは、マツバウンランという、アメリカ原産の帰化植物です。葉が松の葉に似ているところから
マツバウンランと名付けられましたが、松との間に生物学的なつながりは全くありません。
お茶畑の縁にたくさん生えています。

本物の松の花も今咲いています。下の写真は築山のアカマツの雌花の写真です。
ユニークなかたちをした、渋い色合いの松の花には、独特の味わいがあります。

今日は、創立者の命日であり、本当の「聖マグダレナ・ソフィアの祝日」になります。葡萄畑の近くで
育ちスミレの花を愛したという聖マグダレナ・ソフィアは、紫の色を好まれたのではないかと想像します。

 

2011.05.24

モリアオガエルの卵と1955年の不二農園

平成23年5月24日 火曜日

今朝の7時に築山の池の縁に生えているシダレザクラの枝にモリアオガエルの卵を見つけました。
築山の池での今年最初の産卵ということになります。5 月23日の正午の時点ではまだ確認できませんでしたので、5月23日の正午以降から5月24日の朝までの間に卵が産み付けられたということになります。
モ リアオガエルの産卵行動は、環境の変化や気候変動の影響を受けます。このようにして、その年の最初の
産卵の日時を何年にもわたって記録し続ければ、そこか ら環境の変化を知ることができるかもしれません。

 

5月23日の「不二聖心のフィールド日記」でオオミノガの蓑虫の写真を紹介しましたが、ミノ (蓑)のイメージがわかない人もいるのではないかと少し懸念していたところ、貴重な写真が見つかりました。
1955年に不二農園で撮られた、蓑を身にまと う農園の方の写真です。外国人のシスターが、
写真の下にOur farmerとお書きになっていました。

2011.05.24

オオミノガとヨツボシホソバ

平成23年5月23日 月曜日

4月に学習研究社から「日本産蛾類標準図鑑」が刊行されました。学研のホームページには図鑑の内容紹介
として次のような文章が載っています。

蛾類は昆虫の中でも多くの種類数があるため、生物相、環境を研究調査する上で重要な生物群となっている。
本書は、最近でも新種が多く見つかっている日本産の蛾類を全種解説し、同定点も紹介した。研究者だけでなく、愛好家、さらには環境アセスに必要な一冊。

蛾を知ることは、環境の質をより正しく判断する目を養うことにつながるというわけです。
不二聖心にもたくさんの種類の蛾が生息していて、そのことが不二聖心の自然環境の豊かさを示しています。
今日は裏門のすぐ近くのアカメガシワの幼木にぶらさがっているオオミノガのミノムシの写真を撮りました。
オオミノガは、枕草子にも出てくる、日本の代表的 なミノガですが、オオミノガヤドリバエが中国から侵入して以来、このハエに寄生される率が高まり個体数が激減しています。将来、ミノムシを知らない子供たちが
増えていく可能性も否定できなくなってきました。裏門の近くでもヤドリバエらしきハエを見かけましたが、
それがオオミノガヤドリバエでないことを願う ばかりです。

もう1枚、今日はヨツボシホソバの幼虫の写真も撮りました。ヨツボシハソバは幼虫が地衣類を食べることで
知られています。写真の手前に写っているのが、その地衣類で、ウメノキゴケの仲間と思われます。
地衣類は空気のきれいな場所にしか生息できません。ということは、ヨツボシホソバ1匹を見つけることが、
その環境の空気の状態の把握にもつながることになります。

昨日、姿を消していたアシナガバチは、今日は巣に戻っていました。

2011.05.22

「国際生物多様性の日」とモリアオガエルとアシナガバチの営巣③

平成23年5月22日 日曜日

今日は、「国際生物多様性の日」です。生物多様性の概念の中で最も重要な要素は、生物の種の多様性であり、絶滅危惧種に指定されているような希少種に対して、私たちは関心を高く持ち続けていかなくてはなりません。
中学のクロークルームの窓にモリアオガエルが2匹いるのを見つけました。1匹は窓に張り付き、
もう1匹は窓枠で身を休めていました。モリアオガエルは不二 聖心に生息する絶滅危惧種の一つです。
窓に映るカメラと比較すると、モリアオガエルが日本に生息する蛙の中では大型の種に属することがわかります。
今年は まだ築山の池での産卵が見られませんが、こうして直に姿を見られるようになると産卵への期待も
高まってきます。

5月15日から見守り続けてきたアシナガバチの巣から親の姿が消えていました。成功率3割の営巣に失敗して
しまったのでしょうか。気がかりです。


その一方で、すぐ近くに別の女王蜂を見つけました。やはりオナモミの茎に巣を作っていました。
オナモミの茎はアシナガバチの営巣場所としてあまりに無防備だと感じるのですが、
もしかしたらオナモミの実に巣を擬態させているのかもしれません。

不二聖心には5種類のアシナガバチが生息しています。(5種が好む環境はすべて異なり、そのすべてが
生息しているということは、それだけ不二聖心の中に多様な環境があるということです。)アシナガバチの
生存のためには、餌となるたくさんの生き物と 営巣のための理想的な環境が不可欠です。アシナガバチは、
不二聖心の生物多様性のシンボルともとらえられるのです。

2011.05.21

体育大会と「アンネのバラ」

平成23年5月21日 土曜日

今日は、体育大会がありました。どの色も練習の成果を発揮して精一杯健闘し、最後は見事赤組が勝利を
収めました。


選手だけでなく、それぞれの委員会・係の生徒もしっかり責任を果たし、体育大会を支えました。

1959年にヒッポリテ・デルフォルヘ氏によって作出されたバラが、亡きアンネ・フランクに捧 げられ、
それ以来、そのバラは「アンネのバラ」として世界中の人々に愛されるようになりました。
「もし神様がわたしを長生きさせて下さるなら、わたしはつ まらない人間で一生を終わりません。
わたしは世界と人類のために働きます。」という言葉を残したアンネ・フランクに捧げられたバラは、
まさに「平和のシン ボル」と言えるでしょう。「アンネのバラ」は不二聖心でも見ることができ、
今たくさんの美しい花を咲かせています。

 

体育大会を行うことのできる平和な時代への感謝の念を忘れてはならないと思います。

2011.05.20

カルガモのつがいとサンショウバラ

平成23年5月20日 金曜日

今朝、築山の池でカルガモのつがいが悠々と泳いでいるのを見かけました。カルガモの雌雄は区別をつけにくい
と言われますが、このつがいは羽の色の濃淡に明らかな違いがあり、先を行くのが雄、
そのあとを泳いでいるのが雌であることがはっきりとわかりました。


 

下の写真はサンショウバラの写真です。サンショウバラは静岡県、神奈川県、山梨県だけに自生す る貴重な
植物です。山中湖村の「村の花」、箱根町の「町の花」にも指定されています。この写真も朝撮ったものですが、花の周りには盛んにマルハナバチが飛 び交い、羽音がうるさいくらいでした。

私たちが活動を始める前から、自然界の生き物たちは、それぞれの生活のリズムに従って動き始めている
ようです。

2011.05.19

中村久子とハンショウヅルとアシナガバチ

平成23年5月19日 木曜日

今日の国語の授業で中村久子さんの「ある ある ある」という詩を生徒に紹介しました。中村久子さんは、
病のために3歳の時に両手両足を切断した女性で、ヘレン・ケラーをして、「私を世界の人は奇跡の人と言う
けれど、あなたこそ、真の奇跡の人」と言わしめた人物です。
「ある ある ある」は次のような詩です。

さわやかな秋の朝
「タオル取ってちょうだい」
「おーい」と答える良人がある
「ハーイ」という娘がおる
歯をみがく
義歯の取り外し かおを洗う
短いけれど指のない
まるいつよい手が 何でもしてくれる
断端に骨のない やわらかい腕もある
何でもしてくれる 短い手もある
ある ある ある
みんなある
さわやかな秋の朝

「ないないない」と言いがちな私たちに「あるもの」に目を向ける大切さを教えてくれる詩です。

自然の中にたたずむと自分の心が「あるあるある」という思いに満たされていきます。
5月10日に「不二聖心のフィールド日記」で紹介したハンショウヅルがようやく花を咲かせました。

5月15日に紹介したアシナガバチの女王蜂は今日も巣作りに励んでいました。
5月15に「フィールド日記」に掲載した写真と比較して少し巣が大きくなってきたように感じられます。
成功率3割の大家族作りへの挑戦はまだまだ続きます。

2011.05.18

高校3年生の短歌④とアブラギリ

平成23年5月18日 水曜日

高校3年生が最近詠んだ歌を紹介します。

思い出につい手が止まり一時間部屋の片づけ進まないまま
窓あけてやる気まんまんテスト勉強プリント飛ばされやる気消失
お弁当定番メニューのたまご焼き砂糖が多めの母の味
休み明け準備に練習・小テスト五月病にもかかる暇なし
あくびして悲しくないのに涙でるほんとは心が泣いてるのかな
もう少し勇気があれば伝えたいあなたに言えない私の気もち
アルバムを開いて微笑む父と母「大きくなったね」微笑む私
一日が長い長いといいながらふとふりかえるともう金曜日
窓開けて星空見つつ深呼吸夜を一息吸い込んだようだ
制服を衣替えしてふと思うこれで最後の夏服なんだ
みんながいてほんとによかった幸せですこんな友達一生出来ない

アブラギリの花が目につく季節となりました。アブラギリは不二聖心の中で不思議と数が多い樹木の一つです。
風の強い日に、大木のアブラギリから白い花がいくつも一斉に落下していく様子はなかなか壮観です。
アブラギリは、その実から油が採れることからアブラギリと名付けられましたが、別名イヌギリともいいます。
植物の世界では、「イヌ」という言葉はある種の 蔑称として付けられることの多い言葉ですが、
アブラギリの美しい白い花を見ていると、とてもイヌギリとは呼べないという思いになります。

2011.05.17

ホホジロアシナガゾウムシ

平成23年5月17日 火曜日

象に姿が似ているところから「ゾウムシ」と名付けられた昆虫がいます。ゾウムシは、日本には1000種以上、
世界には約6万種いると言われますが、 不二聖心にもかなりの数の種類のゾウムシが生息しているものと
考えられます。そのうちの1種が下の写真のホホジロアシナガゾウムシで、「温情の灯」の碑の 近くで
見つけました。ホホジロアシナガゾウムシは、ハゼやヌルデの木の枝を折って産卵します。ということは、
「温情の灯」の碑の近くに、ハゼかヌルデの木 が生えているはずだと推測できるわけです。
生き物のつながりから、実際に目にしていないものの存在を推測することも、自然観察の面白さの一つです。

2011.05.15

富士山とアシナガバチの営巣

平成23年5月15日 日曜日

今日は一日中、富士山がくっきりと見える五月晴れの一日でした。

今年初めてアシナガバチの営巣を確認しました。見つけたのは二か所で、一か所はニガイチゴの葉裏、
もう一か所はオナモミの枯れ茎でした。両方の巣で卵も確認できました。越冬した女王バチがたった
一匹で巣作りを始めましたが、ここから大家族を作り上 げることに成功するのは約3割と言われています。
今後も女王の巣作りを見守っていこうと思います。

2011.05.14

ヤツボシハムシの色彩変異

平成23年5月14日 土曜日

面白いものを見つけました。
下の写真に2匹のハムシのオスがメスを奪い合っている様子が写っています。2匹のオスは体色が全く
異なっていますが、種の異なるオスがメスを奪い合うこと はあり得ません。これはどうしたことかと
不思議に思って専門家の方に写真を見ていただいたところ驚くべきことがわかりました。
2匹のオスは同じヤツボシハ ムシだというのです。

 

ヤツボシハムシは下の写真にあるように8つの黒色紋があるためにヤツボシハムシと名付けられましたが、
時にその黒色紋が拡大したり縮小したりすることがあります。上の2匹のオスのうちの一方は黒色紋が拡大して
体全体を覆ってしまった例であり、もう 一方は黒色紋が薄くなってほとんど消滅しかけている例だったのです。
ここに掲載した3枚の写真はすべて不二聖心で撮影したものですが、限られた地域の一つの種の中に
これだけの色彩変異の多様性があることに驚きました。

2011.05.12

キンランとスダジイ

平成23年5月12日 木曜日

講堂の横の道で絶滅危惧種のキンランを見つけました。ここ数年、姿を消していたキンランが
よみがえったのです。
ところで、この写真に写っているキンランの横の木が何かわかるでしょうか。
植物のことがいろいろわかってくると、これだけの画像である程度の樹木の特定が 可能になります。
5月9日の「不二聖心のフィールド日記」に「キンランは菌根菌と共生関係にありますが、
菌根菌は栄養を特定の樹木から得ていると言われま す。つまり三者が共生関係にあるわけです。」と書きました。
つまり、「特定の樹木」とは何であるかを調べれば写真の樹木の見当もつくということです。
答え は「ブナ科に属する樹木」です。講堂の入り口近くにある樹木のプレートで確認してみたところ、
「ブナ科スダジイ」と書かれていました。
本来、キンランは雑木林でよく見られるランです。雑木林のクヌギやコナラと講堂横のスダジイは
だいぶ姿の異なる樹木ですが、それらが確かに同じ仲間であることをキンランは私たちに教えてくれます。
ちなみに、不二聖心の保護の聖人である聖ローズ・フィリピン・ドゥシェーンの「ドゥシェーン」は「かしの木」を意味しますが、その「かしの木」もまたブナ科に属しています。

2011.05.11

『兄のトランク』とアカメガシワ

平成23年5月11日 水曜日

昨日の中学校朝礼で山本校長先生が、宮沢賢治の弟、宮沢清六さんのお宅を訪問した時の思い出話をなさり、
宮沢清六さんの『兄のトランク』(ちくま文 庫)という本を紹介してくださいました。お話をうかがって
『兄のトランク』を懐かしく思い出し、昨晩久しぶりに読み返して、次のような一節に出会いまし た。

賢治の生まれた明治二十九年という年は、東北地方に種々の天災の多い年であった。(中略)この年の六月十五日には、三陸海岸に大津波が襲来し、最高 二十四メートルの高波が海岸の家屋を破壊し、二万一千人の死傷者を出した。その上、七月と九月には大風雨が続き、北上川が五メートルも増水、家屋、田畑の 損害も甚大であった。
そして夏になっても寒冷の日が続き、稲は稔らず赤痢や伝染病が流行した。
賢治が日清戦争の直後に、この周期的に天災の訪れる三陸海岸に近い寒冷な土地に生まれたことと、
彼が他人の災厄や不幸を常に自分自身のものと感じないでいられなかった善意に満ちた性格の持ち主であった
こととは、実に彼の生涯と作品とを決定する宿命であった。

宮沢賢治が2011年を生きていたら、今回の震災に何を思い、どう行動しただろうかと考えずにはいられません。


不二聖心の校舎の裏道では、アカメガシワの葉が成長を続け、名前の由来となった赤い色も徐々に目立た
なくなってきました。蜜腺が育って甘い蜜を出すように なり、たくさんのアリが集まってきています。
アカメガシワは災害や開発などで緑が失われた地にいち早く芽生え、森林の傷跡をふさぐと言われています。
津波で緑が失われた地でもあちらこちらでアカメガシワが芽生え、たくましく葉を茂らせていくことでしょう。

2011.05.10

アフリカ入門とハンショウヅル

平成23年5月10日 火曜日

 昨日の中3梅組のホームルームで担任の下川真喜子先生が生徒に『日本人のためのアフリカ入門』
(白戸圭一・ちくま新書)という本を紹介なさいました。先生が引用したのは、次の箇所です。  

 確かにアフリカからは政治の混乱や貧困に耐えかねた多くの人が域外に流出していますが、圧倒的多数の人は生を受けた土地での暮らしを主体的に肯定 し、祖国で生涯を終えます。アフリカから「脱出」してアフリカ域外で暮らしている人々でさえも、祖国に誇りの念を抱き、アフリカの社会や文化に強い愛着を 抱いていることが一般的です。そこで私は考えました。私たちは、アフリカの人々のそうした気持ちに、どの程度思いを馳せたことがあるだろうか。少し踏み込 んで言うと、私たちは、アフリカの人々が少なくとも我々と同じ程度に祖国に誇りを持ち、我々と同じ程度に優秀で、我々と同じ程度に幸せな暮らしを営んでい ることを知っているだろうか。
日本とアフリカの経済規模や科学技術の水準の差に目を奪われ、国力の差を個々人の幸福度の違いと錯覚し、
「進んだ日本、遅れ たアフリカ」「幸せな日本の暮らし、気の毒なアフリカの暮らし」と思い込んではいないか。

 アフリカを深く理解することを通してのみ、私たちは「幸せな日本の暮らし、気の毒なアフリカの暮らし」という型にはまった物の見方から自由になれるのでしょう。不二聖心での教育では、広く知ることとともに深くわかることを大切にしたいと考えています。

ハンショウヅルの蕾が徐々に大きくなってきました。ハンショウヅルは、2つの県で絶滅危惧種に指定されて
いる、ツル性の植物で、ぶらさがるようにし て咲く花の姿が半鐘に似ているところからハンショウヅルと名付けられました。その花は、蕾の時から紫色に覆われた姿が独特の美しさを持っています。実はこの蕾の外側は花弁ではなく、すべて萼片です。植物の中には萼片が一見したところあたかも花弁のように見える種類がかなりあります。ここにも一つ、じっと見 ることで「深くわかる」世界があります。

2011.05.09

高校3年生の短歌とキンラン

平成23年5月9日 月曜日

連休前に高校3年生が詠んだ短歌を紹介します。体育大会に向けての歌が増えてきました。

6年目こなくていいよと父に言う ふとふり向くとその父がいる    
今年こそ4人の団長筆頭に狙うはトロフィー ファイナルチャンス   
時間ない時間がないと嘆きつつ ちゃっかり見てる韓国ドラマ     
ありがとう母の骨折れ気づかされる一人でこんなにしてたんだね    
寄宿生高3の悩みはただ一つ 夕食の話題今日はどうしよう      
毎年の居残りダンスつらいけど「今年で最後」に動き良くなる     
イースター色とりどりのたまごたち もったいなくて食べられないの  
きれいだな桜舞い散る4時間目それでも私は花より団子        
ごめんねとその一言が言えなくてたかが一言されど一言        
絆創膏傷口隠して見ないふり心の傷は隠せないまま          
各色が協力している光景は勝ち負けなんて関係ないな         
ほろ苦い甘さひかえめこの味が青春の味ビターチョコ         
新緑の若葉が萌える窓の外 心も豊かに決意も新たに


今年も雑木林でキンランが見られる季節になりました。かつて雑木林で普通に見られたキンランは、今では
41の県で絶滅危惧種に指定されるようになってしま いました。キンランは菌根菌と共生関係にありますが、
菌根菌は栄養を特定の樹木から得ていると言われます。つまり三者が共生関係にあるわけです。
三者が共 存できる不二聖心の雑木林だからこそ生きられるランであり、不二聖心のフィールドの「共生」の
シンボルと言えます。

2011.05.08

ワラビとヤマトシリアゲムシ

平成23年5月8日 日曜日

今日の不二聖心は初夏の陽気が戻り、イカルやウグイスが風薫る五月の空に鳴き声を響かせていました。
4月14日の「フィールド日記」に中学1年生のワラビ採り体験の授業のことを書きましたが、
5月に入ってワラビはすっかり成長し若々しい葉を広げています。
今日はワラビの葉の上でヤマトシリアゲムシがとまっている姿を何度も見かけました。
ヤマトシリアゲムシは名前の通り、尻を上げて葉の上にとまる珍しい昆虫 です。気に入ったメスにオスが
エサをプレゼントして機嫌をとるという生態も非常にユニークです。この行動は「求愛給餌」と呼ばれます。


ワラビの葉には特殊な酵素が含まれるために、その葉を食べることのできる生き物は限定されてしまうのですが、今日はカクモンヒトリとワラビハバチと思われる幼虫がワラビの葉を食べていました。

他にも何種類かの生き物がワラビの葉を求めてやってきていましたが、
その訪問者を狙うカニグモ科のクモも目撃しました。

フィールドを歩いた時間はごく短時間でしたが、それでもこれだけの生き物と出会うことができました。
今度は「ワラビとつながる生き物探し」というテーマで授業をしたらきっとすばらしい授業ができると思います。

2011.05.07

八十八夜を過ぎたお茶畑とカルガモ

平成23年5月7日 土曜日

今日は終日曇り空で肌寒さを感じる一日でした。それでも不二聖心では、ツバメが飛び、ヤマガラが鳴き、
モリアオガエルがあの独特の声を草陰で響かせるなど、生き物たちの活発な動きを見聞きすることができました。
八十八夜も過ぎてお茶畑は若葉が萌えいで、一年中で最も美しい季節を迎えています。
曇天の下でもその色の鮮やかさは際立っていました。

ここのところプールサイドに一羽だけカルガモがいるのをよく見かけます。いつもプールサイドのほぼ同じ
位置でじっとしています。カルガモというと親子で移動する、可愛らしい姿をテレビなどでよく目にしています
ので、一羽だけのカルガモはいっそう寂 しげな様子に見えてしまいます。

2011.05.06

エゴノキとエゴツルクビオトシブミ

平成23年5月6日 金曜日

今日も不二聖心はとても良いお天気でした。少し汗ばむほどの陽気でしたが、木陰はひんやりとしていました。枝を横に広げる樹形の場合には木陰の面積も広くなりますが、その種の樹木の一つにエゴノキがあります。
今日はエゴノキの若葉の上でエゴツルクビオトシブミが揺りかご作りに励んでいました。長い首を器用に動かして葉を切り取り、その切り取った葉を巻き上げて 揺りかごを作ります。巻き上げた葉の中には卵が産み付けられてあり、卵から孵った幼虫はその葉を食べて育ちます。つまり揺りかごは幼虫にとって部屋であり 食べ物でもあるわけです。何と効率的な自然界の仕組みかと思います。


オトシブミの名前の由来は、巻き上げた葉が手紙(ふみ)のように見え、オトシブミは最後に揺りかごを地上に切り落とすため、「落とし文(オトシブミ)」と 名付けられました。ところがオトシブミの中には、巻き上げた葉を落とす種類とぶらさげたままにしておく種類があります。エゴツルクビオトシブミは後者です ので、落とさないけどオトシブミということになります。

2011.05.05

ハナイカダとアリ

平成23年5月5日 木曜日

先週からハナイカダの花が咲き始めました。ハナイカダは、葉の上に花がつく、極めて珍しい植物です。
花の蜜を求めて既に3種類のアリがハナイカダを訪れるのを確認しました。この小さな花がどれだけの命を
養っているのか、調べてみる価値がありそうです。
ハナイカダにはママコナやアズキナやイボナなどの別名があります。「ナ」は漢字で表記すると「菜」となり、
その葉が好んで食用とされていたことから付けら れた名前であろうと前川文夫博士は述べています。
蕾の時期の若葉が最もおいしいということですから、来年はぜひ食べてみたいと思います。

2011.05.04

アミガサタケとモリアオガエル

平成23年5月4日 水曜日

久しぶりに中学校校舎の中庭のアミガサタケの様子を観察しました。アミガサタケは「春の使者」と言われ、
ヨーロッパでは好んで食用にされるキノコで す。不二聖心では毎年、中庭のイロハモミジの木の周囲に生えます。
今日のアミガサタケはすっかり老菌となってしまい、春が終わったことを告げているようで した。

校内の2か所の池でモリアオガエルの産卵を確認しました。まだ産みたてのようで手で触れるとふ わふわとした感触が伝わってきました。こちらはさしずめ「夏の使者」といったところでしょうか。残念ながら親ガエルの姿は確認できませんでした。近くに天 敵のシマヘビが這い回っていましたので、巧みに姿を隠していたのかもしれません。


「春の使者」を送り、「夏の使者」を迎える。そんな思いにさせる今日の不二の自然でした。

2011.05.03

カキドオシとムラサキケマン

平成23年5月3日 火曜日

5月に入り、不二聖心で見られる花の数もますます増えてきました。
下の写真は、シソ科のカキドオシです。花は唇形花で、下唇にあたる部分の模様が蜜のありかを示す目印となり、長く伸びた部分が蜜によって招き寄せられた虫 の着陸場となっています。蜜を求める虫にとっては理想的な花の構造ですが、迂闊に近づくと予想外の出来事が待っています。実は、この写真の花の裏にはハナ グモが
潜んでいるのです。

迂闊に近づけない花は他にもあります。下の写真はカキドオシのすぐ近くに咲いているケシ科の
ムラサキケマンです。ケシ科の植物の多くは毒性を持っています。ムラサキケマンも例外ではなく、
誤食すると嘔吐などの症状を引き起こします。反芻動物の場合 には重症化するようで、
不二聖心で昔飼っていた牛の中にもムラサキケマンに苦しめられた牛がいたかもしれません。

2011.05.02

ヒゲナガルリマルノミハムシとゼンマイハバチ

平成23年5月2日 月曜日
不二聖心の森は若葉の季節を迎えています。
植物の生命力あふれる若葉の季節ですが、実はこの季節は植物にとって受難の季節でもあります。柔らかい若葉を好んで食べる生き物が自然界にはたくさんいる からです。たとえば甲虫目の中には、「葉を食べる虫」ハムシが約780種、日本だけで存在し、その多くは若葉の季節に現れます。下の写真はその一例で、ヒ ゲナガルリマルノミハムシです。オオバコの葉を好んで食べます。雑木林で見つけました。

もちろん若葉を食べるのは、甲虫だけではありません。下の写真はゼンマイの若葉ですが、食痕が はっきりと
見てとれます。食べたのはゼンマイハバチの幼虫で姿は見えませんが葉の裏に潜んでいます。
ゼンマイハバチはゼンマイの若葉をすべて食べつくしま す。そうするとハバチの幼虫に襲われたゼンマイは、
もう一度、一から成長を始めます。ところが若葉を茂らせる時期になると、親になったハバチがまた卵を産み
付け、若葉は再び食い尽くされてしまいます。最初にゼンマイハバチの襲撃を免れたゼンマイは順調に成長を
続け、一度襲われたゼンマイは二度にわたって襲 撃を受けるということです。この不運なゼンマイと容赦ない
ゼンマイハバチの関係は、最大で2億年以上続いている可能性があります。

2011.05.01

クリメコブズイフシとマンジュウホコリ

平成23年5月1日 日曜日
今年も栗畑のクリの木の若葉に赤いふくらみが目立つ季節となりました。一見したところ、植物の組織の一部
のように見えますが、このふくらみはクリタマバチ の虫こぶ(幼虫の部屋)で、この部屋自体はクリメコブズイフシと呼ばれます。クリタマバチは1940年頃に中国から日本に入ってきた栗の害虫です。
虫こぶ のできる仕組みについてはまだよくわからないことも多いのですが、若葉が育つ力をうまく利用して
虫こぶがふくらんでいく様子を見ていると自然界の神秘を感 じます。

一見しただけでは何かよくわからないものをもう一つ見つけました。変形菌のマンジュウホコリで す。中身は、最初はカスタードクリームのようなペースト状ですが、やがて黒くなってこしあんのようになります。
以前に不二聖心の森の中でマンジュウホコリ を割ってみたことがありますが、白い皮から黒いあんこのようなものが出てきたときには、まさに「マンジュウ」だと思いました。

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