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フィールド日記

2011年06月

2011.06.30

みこころの祝日の奉仕活動・ガクアジサイ・クマバチ・テングタケダマシ

平成23年6月30日

 今日は「みこころの祝日」でした。先ず御ミサをし、そのあとで全校生徒が奉仕活動をしました。
なかには炎天下、道路脇の草取りを2時間続けて行った生徒もいました。暑さで顔を真っ赤にしながら
一生懸命に作業をしていました。

 ひと仕事終えた生徒たちの達成感あふれる表情です。以前、不二聖心に勤めていらした先生で
「神様が見ていてくださればそれで十分」とよくおっ しゃっていた方がいました。
きっと神様は今日の生徒たちの行いを喜ばれることでしょう。生徒の表情を見ていると、
みこころの祝日に奉仕活動をして一日を過 ごすのは、みこころにかなう過ごし方だと改めて思います。

 奉仕活動の下見をするために朝7時過ぎに「温情の灯」の碑の近くに行き、あたりの様子を見て いたら、
ガクアジサイにクマバチがやってきました。クマバチもなかなか早起きです。外側の花びらのように見える部分は咢でクマバチは見向きもしません。虫 たちの動きを見ていると花の構造がよくわかります。

 テングタケダマシがここまで成長しました。昨日の姿からまたずいぶん変化しました。
一日の時間の経過を感じます。

2011.06.29

今朝の富士山・テングタケダマシ

平成23年6月29日

 朝から富士山のはっきり見える快晴の一日となりました。三島市では今年最高の35.3度を記録し、
御殿場市では6月の観測史上最高の32.7度を記録しました。生徒も暑さによく耐えて頑張っていました。

 テングタケダマシをまた見つけました。コケの生えた土の塊を押し上げて成長している様子がわかります。

2011.06.27

キンケハラナガツチバチ・エビイロカメムシ・カバキコマチグモ・ホタルブクロ

平成23年6月27日

 今日は久しぶりにすすき野原を歩いてみました。
まず見つけたのは、キンケハラナガツチバチのメスです。なかなか大型の個体です。コガネムシの幼虫に
寄生するという、極めてユニークな生態を持っているハチです。キンケハラナガツチバチがどのコガネムシに
寄生するのかはまだわかっていません。
ツチバチの興味深い生態については、集英社文庫の『ファーブル昆虫記』(奥本大三郎訳)の第2巻の
「コガネムシを狩るツチバチ」に非常にわかりやすく解説されています。

イネ科の植物の汁を吸うエビイロカメムシがススキの葉の上にいました。


ススキの葉を食べ物にしている種もいれば、巣の材として活用する種もいます。
下の写真はカバキコマチグモの巣です。ススキの葉を巧みに細工して巣を作っています。
中にはやがて母親となるメスが潜んでいますが、カバキコマチグモの母親は、最後は我が身を子どもに
食べさせてしまうという、驚くべき生態を持っています。神奈川県で雑木林の生物の観察を続ける菅野徹さんは、著書『町なかの 花ごよみ鳥ごよみ』の中で「カバキコマチグモは、ススキの原があれば、
どこにでもいる普通の種類だったが、この十年以上、私の調査区ではまったくいなく なってしまった。
絶滅したのだろうが、原因は不明。」とお書きになっています。幸い不二聖心では今もたくさんの
カバキコマチグモを見ることができます。


すすき野原には、ホタルブクロもたくさん咲いていました。校舎の近くのホタルブクロと比べると花が
一回り大きかったです。今年は不二聖心の図書館の近くでのホタルの目撃情報もあり、
子どもたちがこの花にホタルを入れて遊んだ時代がいっそう偲ばれます。
 

2011.06.26

バッタの羽化・ホタルガ・テングタケダマシ

平成23年6月25日 土曜日

 バッタの羽化の様子を早朝に撮影しました。羽化の時は、無防備な状態で危険に身をさらす時です。
ですから多くの昆虫は、早朝のまだ他の生き物が活 動する前の時間帯に羽化をします。このバッタも数分後には翅を整えて活動できる姿に変わっていました。短時間の観察ではありましたが、
バッタが羽化の時に羽を開くようにして乾かすことを初めて知りました。種の同定については、
専門家の方の意見をうかがおうと思っています。


裏の駐車場で今年初めてホタルガに出会いました。ホタルに似ていることからホタルガと名付けられた蛾です。
羽が伸びきっていないところを見るとこれも羽化直後かもしれません。

 校舎の裏の道でテングタケダマシを見つけました。「山と渓谷社」の『日本のきのこ』という図 鑑には、
テングタケダマシは「今のところ関西以西から知られている」という記述があります。
関西以西のきのこがなぜ不二聖心に生えているのか、これも専門 家の方に質問してみようと思っています。

 自然界にはわからないことがたくさんあります。しかし、その「わからなさ」が自然の魅力でもあります。

2011.06.24

ヒメコウゾ

平成23年6月23日 木曜日

 クワ科コウゾ属のヒメコウゾの実が赤く色づいていました。童謡「赤とんぼ」の歌詞に「山の畑の桑の実を小籠に摘んだはまぼろしか」という歌詞があ りますが、同じクワ科に属するヒメコウゾの実も桑の実と同じような甘い味がします。和紙の原料であるコウゾは、このヒメコウゾから品種改良されて作られたものです。
不二聖心では東名高速沿いの道でたくさんのヒメコウゾの実を目にすることができます。
日本古来の植物と現代文明の象徴が結びついた様子には何と も言い難いミスマッチの味わいがあります。

2011.06.21

高校3年生の短歌⑦とキボシツツハムシ

平成23年6月21日 火曜日

高校3年生が前期中間試験後に詠んだ短歌を何首か紹介します。

 ありがとう小学生の大きな声私は言えず横断歩道
あと少し夏休みまであと少しそれが終ればすぐ冬休み
寝ていると不快な音が聞こえてくるもはや目覚まし蚊飛行中
まさやんのデビュー当時の本見付け思わずレジへ母への土産
今年初口に広がるほろ苦さ愛しの君は抹茶アイス
この先はどこへ向かって進もうかぼくの人生地図のない旅
血液型関係ないと言うけれど気にしちゃうんだ私B型

6月19日に撮影したハムシを専門家に同定していただいたところキボシツツハムシというハムシであることが
わかりました。コナラやカエデの葉を食べるそうです。これもまた不二聖心の雑木林が養っている命の一つです。

2011.06.19

ネジバナ・クリの花・カシワマイマイ

平成23年6月19日 日曜日

 ネジバナが咲いているのを見つけました。ネジバナは別名「もじずり」とも呼ばれますが、これは、
百人一首の「みちのくのしのぶもじずりたれゆゑに 乱れそめにしわれならなくに」の歌にも出てくる
「しのぶもじずり」の模様にネジバナの姿が似ているところから付けられた名前だと言われています。


栗の花が、気が付いたら盛りを過ぎていました。「栗花落」と書いて「つゆり」と読む名字の人がいます。
「つゆり」はおそらく「梅雨入り」のことで栗の花 が盛りを過ぎるのが梅雨入りの頃であることから
生まれた名字でしょう。四季の風物の変化は人間の名前にまで影響を与えています。

 最後は、ドクガ科の蛾、カシワマイマイの幼虫の写真です。カシワマイマイは6月の下旬に蛹になります。
自然界は、決められた暦に従って、少しずつ、しかし着実に、変化を遂げていきます。

2011.06.18

ライポン

平成23年6月18日 土曜日

 今日の産経新聞の「朝の詩」のコーナーに、八十歳になられる安倉栄美子さんの素敵な詩が載っていました。
次のような詩です。

 もういいかーい
あの声がどこからか
ふと 聞こえる
まあだだよー
まあだだよー
私は慌てて叫ぶ
新緑溢れる初夏の大地
花咲き蝶飛び交う
私は未練たっぷりです
やがて必ず来るその日
でも今は もう少し
居させて下さいな
美しいこの地球に

 「新緑溢れる初夏」の不二聖心の花々には蝶だけでなく、たくさんのハチもやってきています。
6月11日の「不二聖心のフィールド日記」で紹介した ライポンを本館前でも見かけるようになりました。
ライポンはコマルハナバチのオスの別名です。不二聖心の自然を紹介した冊子「不二の自然」に載っている
コマルハナバチについての文章を再録しておきます。

 マルハナバチは、ネズミの古巣を使って営巣することで知られる、ハナバチの一種です。
近年、トマトの授粉用に輸入されたセイヨウオオマルハナバチ の野生化によって、その生息域を脅かされつつあると言われています。サクラソウなどいくつかの希少な植物が受粉をマルハナバチに依存しており、
生態系の維 持のためにもマルハナバチの存在は非常に貴重であると言えるでしょう。
写真のマルハナバチは、コマルハナバチのオスで、東京の世田谷・目黒あたりの子がつけた
「ライポン」という名前で今も呼ばれることがあります。昭和五十 年代の後半までは子供たちがバッチのようにこのハチを服につけて遊ぶ姿が見られたそうです。オスですから刺される心配がないのです。
マルハナバチは英語でbumble beeと呼ばれますが、bumbleには「ハチなどがブンブンいう」という意味があり、bumble beeはマルハナバチの羽音から生まれた名前と想像できます。『ハリー・ポッター』に出てくる、
鼻歌好きの校長先生の名前・ダンブルドアは、古英語でマル ハナバチという意味を持っています。
マルハナバチは、人間との間に、実に多様で深い関わりを持っています。

2011.06.17

カノコガとアシナガバチの営巣

平成23年6月16日 木曜日

 6月になると不二聖心で必ず見られるようになる蛾、カノコガを今日は目にすることができました。
この蛾を見ると今年ももう6月かとしみじみ思いま す。カノコガのという名前は翅の鹿の子模様から
つけられました。鹿と日本人との関わりの深さも感じさせてくれる蛾です。
写真のカノコガは腹部の大きい雄で す。腹部の模様からフタオビドロバチに擬態しているという説もあります。


「温情の灯」の石碑の近くで営巣していたアシナガバチのことがずっと気になっていました。
静岡県東部に大雨洪水警報が出るような荒れた天気の日もありま したので、巣が無事かどうか
気になっていたのです。2つの巣のうちの1つは無事でした。巣のサイズもずいぶん大きくなっていました。


もう1つの巣は親が死んでしまったようです。親のいなくなった巣は無残に荒らされ、
巣の中の卵もすべて食べられてしまっていました。
寒さに耐えて冬を越えた親バチの必死の生の営みはすべて無に帰してしまいました。
自然界の厳しさを感じます。

2011.06.16

セッコク

平成23年6月15日 水曜日

 昨日は中学校朝礼が行われている間中、ホトトギスの鳴き声が聞こえていました。今日の朝礼の時間には
ガビチョウがけたたましい声で鳴いていまし た。そのままでは朝礼の進行に支障をきたすので
窓を閉めたほどです。ガビチョウは特定外来生物に指定されていて、いわゆる外来種の中でも環境への悪影響が
特に懸念される生物と言えます。不二聖心の自然も外来種の脅威にさらされていて、
その影響で生態系が変化することも大いにあり得るというのが現状です。
環境を維持することで守っていきたい希少種が不二聖心の自然の中にはたくさんありますが、
下の写真のセッコクもその一つです。31の県で絶滅危惧種に指定されているセッコクが、
不二聖心では毎年白い美しい花を咲かせています。