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フィールド日記

2013.03.14

タチツボスミレと夏目漱石

  2013.03.14 Thursday

 昨夜は警報が出ないのが不思議なぐらいの暴風雨に駿東地区も見舞われました。さぞや野の景色も荒れてしまっていることだろうと思いつつ出勤しましたが、裏の雑木林ではたくさんのタチツボスミレの花を見ることができました。中には水滴をまとって立っている花もありました。漱石は「菫ほどな小さき人に生れたし」という句を作りましたが、小ささの中に秘められた強さもなまなかなものではないという気がします。

今日のことば

 駐車場近くの雑木林の斜面にたくさんのタチツボスミレが咲いています。万葉の時代から春の花として親しまれてきた菫は文学作品にも数多く登場してきました。近代の作品の中でとりわけ印象深いのは、夏目漱石の「菫ほどな小さき人に生れたし」の句です。司馬遼太郎は「漱石の人と生涯と作品が、この一句でわかるような気がする」と言いました。知の巨人は余人のあずかり知らぬ苦悩を抱いていたのでしょう。漱石は、可憐な菫の花に特別な輝きを見ていたのだと思います。 

「不二の自然57(タチツボスミレ)」より