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フィールド日記

2012.11.29

ウスタビガの交尾  森の中の鳥の声

  2012.11.29 Thursday

 高校1年生の美術選択の生徒たちが寄宿舎の入り口に蛾がとまっていることを教えてくれました。
駆けつけてみると、そこにいたのはヤママユガ科のウスタビガでした。よく見ると翅の陰にもう一匹隠れていました。どうやらメスのフェロモンに引き寄せられてオスがやってきたようです。
ウスタビガの幼虫はブナ科の植物の葉を食べることで知られています。高校1年生は今年、「共生の森」にブナ科の樹木の苗木をたくさん植えましたので、今日のような光景はこれからますます
不二聖心で増えていくことと思われます。

 ちなみにヘルマン・ヘッセの「少年の日の思い出」の最後の場面で、主人公が親指でつぶす蛾はウスタビガと同じ科に属する蛾です。

10月28日に不二聖心の森で鳴いていた鳥の声について、専門家の方に声の主を推測していただきました。
その推論の展開の仕方がすばらしく、一つの音から感じ取れる情報量とはこれほど豊かなものなのかと感動します。以下にその推論を引用します。

聴きなしますと「キョロンキョキョン......ツィヨツィヨツィヨ」と聞こえます。
こちら、鳴き声の種類は「さえずり(Song)」、声の主は声質や冒頭部分の節から「ツグミ類」ではないでしょうか。加えて、ツグミ類の中でもこのようなさえずりに該当するものはアカハラ、シロハラ、マミチャジナイが挙げられると思います。このさえずりの厄介な部分は、「繁殖期に成熟した雄が鳴く、完成したさえずり」ではないことです。特に中節、終節の部分に不明瞭で特徴のつかみづらい(よく分からない)節があり、全体的に未完成なさえずりである「ぐぜり」の可能性があります。10月下旬に聴かれたものでしたら、時期的に考えて今年生まれの若鳥が来春に向けてさえずりの練習しているのかもしれません。ここからは本当に推測の域を出ませんが....マミチャジナイならさえずりの冒頭節にもっと騒がしく音階が盛り込まれて、中節、後節はほとんど山がありませんし、アカハラならばよりシャープで終始途切れや濁音のあまりないさえずりになると思います。後節のツィヨツィヨツィヨはこの3種のどれにも該当しませんが、冒頭節に適度なスタッカートが混ざる点、その後連続的でなく中・後節が訪れることなどから、この声の主は渡来して間もないシロハラではないかと思います。

今日のことば

私は好きだった、
信じることのできる自分が。
人を、生きている世界を、
その未来を 信じると、私がいう時、
星ほどの数の 子供たちが、
信じる、といっているのを感じた。

                   大江健三郎